心臓
Online ISSN : 2186-3016
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52 巻 , 11 号
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OpenHEART
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循環器診療とPET検査 企画:上原雅恵(東京大学医学部附属病院 循環器内科)
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[臨床研究]
  • 田村 旺子, 小寺 聡, 篠原 宏樹, 石田 純一, 清末 有宏, 安東 治郎, 赤澤 宏, 小室 一成
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1243-1252
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    背景:アントラサイクリンによる心筋障害の報告が増える一方,その予防的薬物治療は確立していない.

     方法:β遮断薬,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系阻害薬のアントラサイクリン心毒性に対する予防効果を調べるため,文献を検索し,ランダム化比較試験のメタアナリシスを行った.主要エンドポイントは化学療法後の左室駆出率(LVEF),副次エンドポイントは治療を要した心イベントとした.

     結果:9試験(n=762)のβ遮断薬,4試験(n=284)のRAA系阻害薬のランダム化比較試験が含まれた.β遮断薬はコントロールと比較して治療後のLVEFが有意に高かった(mean difference 2.79,95%信頼区間 0.60-4.98,p=0.01)一方で,RAA系阻害薬はコントロールと比較してLVEFに有意な差を認めなかった(mean difference 5.96,95%信頼区間 −1.70-13.62,p=0.13).副次エンドポイントでは,β遮断薬はコントロールよりも心イベント数が有意に少なかった一方,RAA系阻害薬ではコントロールとの間で有意な違いはみられなかった.

     結論:β遮断薬はアントラサイクリン心毒性の予防に有効であることが示された.RAA系阻害薬は統計学的には有効性はみられなかったものの,限られた患者数のために95%信頼区間の幅が広くなっており,必ずしも有効でないとは言えず,今後RAA系阻害薬を用いたランダム化比較試験が増えることが望まれる.

Editorial Comment
[臨床研究]
  • 宮内 綾子, 神田 順二, 高根 晴美, 船渡川 勝康, 岩井 利恵
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1254-1261
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     目的:悪性腫瘍を合併した下肢深部静脈血栓症(deep vein thrombosis;DVT)の臨床的特徴を解析すること.

     対象・方法:2015年1月~2017年12月に下肢静脈超音波検査にて,新規にDVTと診断された208例中,悪性腫瘍を合併した63例(男24例/女39例,平均年齢68.7歳)の,(1)患者背景,(2)DVT発症の特徴,(3)DVT発症後の経過と生命予後について検討.

     結果:(1)腫瘍臓器別では,婦人科がん(卵巣,子宮がん)18例,胃がん13例,肺がん・血液系がん各5例,膵がん4例,他18例.臨床病期は,進行がんが50例と全体の79%を占め,次いで早期がん8例(13%),手術後5例(8%)であった.悪性腫瘍治療内容は,化学療法施行例を34例(54%)と高率に認めた.(2)DVT発症部位は,近位型血栓と遠位型血栓ともに半数であり,全体の23例(36%)に肺血栓塞栓症を発症していた.DVT発症時期は,悪性腫瘍診断時(0カ月)より,先行した例を含め−2.5~99カ月(中央値2カ月).悪性腫瘍診断前後6カ月以内の発症が37例(64%)と高率であり,そのうち12例(21%)はDVT発症と悪性腫瘍診断が同時であった.(3)抗凝固療法は54例(86%)に施行された.追跡期間中に死亡が35例(56%)にみられ,DVT発症から死亡までの期間は0.5~22カ月(中央値2カ月),6カ月以内の死亡は28例(全死亡の80%)とDVT発症後の予後は極めて不良であった.

     結論:悪性腫瘍合併DVTは,進行がんや化学療法中でリスクが高くDVT発症後の生命予後は不良であった.悪性腫瘍診断時を含め診断後早期よりDVT発症を認めていることから,悪性腫瘍患者では早期よりDVT発症を念頭においた検査・診療が重要と考えられる.

Editorial Comment
[臨床研究]
  • 永友 克己, 丸目 恭平, 山本 展誉, 開地 亮太, 森 隆之, 小牧 聡一, 石井 正将, 日下 裕章, 戸井田 玲子, 黒木 一公, ...
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1264-1272
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     背景:時間外入院(夜間,週末,祝日)のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者は時間内入院と比較して臨床転帰が不良であることが知られている.時間外の循環器内科医の診療体制(院外待機もしくは院内当直)がSTEMI患者の臨床転帰に影響を及ぼすかどうかは検討されていない.宮崎県立延岡病院(当院)では,週の半分は循環器内科医が院外待機を行い,残りの半分は院内当直を行っているため,時間外の循環器内科医の診療体制とSTEMI患者の臨床転帰について検討を行った.

     方法:2013年から2017年の期間で当院を時間外に受診し,STEMIの診断で経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行され,冠動脈ステントを留置された連続症例194人の検討を行った.臨床転帰は院内死亡に加え,主要心血管イベント(MACE:心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,ステント血栓症,再血行再建術,不安定狭心症による入院,心不全による再入院)とし,中央値11カ月の観察を行った.

     結果:患者を時間外の循環器内科医の診療体制に従って院外待機群(n=93)と院内当直群(n=101)の2群に分けた.両群間で受診から再灌流までの時間(p=0.775),最大CK(p=0.783),院内死亡率(p=0.865)は同等であった.Kaplan-Meier曲線では両群間のMACEの発生率は同等で(p=0.901),多変量Cox回帰分析では,循環器内科医の診療体制はMACEの規定因子ではなかった(p=0.813).

     結論:当院の時間外診療において,循環器内科医の診療体制はSTEMI患者の臨床転帰に影響を与えなかった.

Editorial Comment
[症例]
  • 八並 由樹, 橋本 重正, 森 唯史, 仲村 尚崇, 成田 圭佑, 古川 浩二郎, 平田 雄一郎
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1274-1280
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     症例は75歳男性.X−10年に心尖部肥大型心筋症(apical hypertrophic cardiomyopathy;apical HCM)を指摘され,β遮断薬を定期内服し近医に通院中であった.X年心窩部痛のため同医受診,心エコー図検査にて心尖部瘤を伴う心室中部肥大型心筋症を認め,精査のため当院紹介となった.心エコー図検査および心臓カテーテル検査にて,収縮期左室中部内腔閉塞,心尖部瘤,拡張期奇異性血流,左室内圧較差67 mmHgを認めた.以上の所見より心尖部瘤を合併した心室中部閉塞による左室内圧較差を伴う肥大型心筋症(心室中部閉塞性肥大型心筋症midventricular obstructive hypertrophic cardiomyopathy;MVO)と診断,症状を伴い瘤の増大を認めるため,左室心筋切除・左室瘤切除術の適応と考え,外科的治療を行った.術後自覚症状である心窩部痛は消失,各種検査にて左室内圧較差は消失した.心室中部閉塞性肥大型心筋症および心尖部瘤患者に対して外科的治療が奏効した症例を経験したので報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 八木 麻里子, 南部 鴻介, 金田 朋也, 山上 幹, 髙田 睦子, 東方 利徳, 木村 圭一, 飯野 賢治, 湯淺 豊司
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1283-1288
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     55歳女性.34歳から高血圧を認めた.42歳時に腎動脈狭窄,腎動脈瘤,上腸間膜動脈瘤と複数の血管病変を認め,特徴的な画像所見から線維筋性異形成症と診断した.43歳時に左腎動脈瘤切除および腹部大動脈─左腎動脈バイパス術を施行し,46歳時に右腎動脈狭窄に対して経皮的腎動脈形成術(PTRA)を施行した.上腸間膜動脈瘤は緩徐な軽度の増大にとどまったが,54歳時に突如腹腔動脈近位部に狭窄病変が出現した.無症候のまま狭窄は高度に進行し,上腸間膜動脈からの側副血行の発達を認めた.

     複数の血管を侵す可能性のある線維筋性異形成症においては,画像検査による長期の定期的な追跡評価が重要であると思われた.

  • 加藤 浩, 原﨑 頼子, 佐藤 郁郎, 手塚 文明
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1289-1296
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     症例:50代,女性.主訴:左頸部リンパ節腫脹.既往歴:特になし.家族歴:父 慢性リンパ性白血病.現病歴:X年10月,頸部リンパ節腫脹あり近医受診.悪性リンパ腫の診断で紹介.翌年1月,扁桃生検にてマントル細胞リンパ腫,Stage Ⅲと診断.Nordic protocolに準じ抗がん剤投与後,X+1年7月,自己末梢血幹細胞移植.部分寛解となるが再増悪,化学療法抵抗性としてX+2年6月,非血縁者間同種骨髄移植を施行.移植直前の心エコーは正常範囲.移植後経過:体重増加,高熱,腎機能悪化等から生着症候群を疑いステロイド投与を行ったが胸水貯留,肺うっ血を伴う心不全に陥った.心エコーでは左室駆出率20%,びまん性に高度の壁運動低下を認めた.非侵襲的陽圧換気,カテコラミン等も効果なく,多臓器不全にて永眠.アドリアマイシン(adriamycin;ADM)累積投与量は250 mg/m2.剖検所見:心室中隔にびまん性線維化が見られ,周囲に空胞化を含む変性した心筋細胞を伴っていた.両心室自由壁にも多数の小規模な心筋細胞変性・壊死巣が散在.炎症性細胞浸潤がなく,冠動脈閉塞変化もないことから,薬剤性のADMに関連した心筋傷害と考えた.考察:病理所見では線維化は比較的軽度で,大規模な壊死は認められなかったが,小規模ながら多発する心筋細胞傷害が心筋ネットワークの断裂と収縮障害に関与したものと思われた.骨髄移植後に急性増悪したアドリアマイシン心筋症剖検例を経験し,病理学的検討も含め報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 柳生 圭士郎, 竹本 真生, 入田 英二, 轟木 渉, 加世田 繁, 藤島 慎一郎, 古賀 徳之, 𡈽橋 卓也
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1298-1304
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     Fallot四徴症に対する心内修復術の遠隔成績については各方面から研究が行われ,その予後は比較的良好であるとされる.しかし診断および治療戦略の向上から過去に心内修復術を受けた患者がより長期生存できるようになり,これまでに報告のない合併症や非典型的な心不全増悪をきたす症例が増加すると予想される.今回Fallot四徴症の初回手術から55年,心内修復術から35年が経過した心不全増悪症例を経験した.直腸がん肺転移に対して抗がん化学療法を長期にわたって施行されており,治療開始前はNYHA class 1で経過していたが,徐々に慢性心不全の増悪をきたし抗がん化学療法が施行困難になり,最終的にNYHA class 4の重症心不全をきたした.初診時よりFallot四徴症の術後遠隔期に認められる重症肺動脈弁逆流を認められていたが,腫瘍の増勢のため再手術などは検討されていなかった.自然経過としても本症例のように長期生存が得られた症例の報告は少なく,その経過を報告するとともに長期生存例に特有の諸問題について考察する.

  • 白石 裕雅, 宗政 充, 西原 大裕, 辻 真弘, 林 和菜, 内藤 貴教, 重歳 正尚, 田渕 勲, 下川原 裕人, 松原 広己, 井上 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 11 号 p. 1305-1312
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

     症例は66歳男性.1年前に感染性心内膜炎(IE)の抗生剤加療歴があり,腱索断裂による重症僧帽弁閉鎖不全症が残存していたが,大腸がんが見つかったため治療が延期となっていた.その後,近医にてリウマチ性多発筋痛症に対してステロイド内服が開始となった後,発熱が持続するため当院に紹介となった.僧帽弁前尖に2.7×0.9 cmの疣贅を認め,感染性心内膜炎の再燃と判断した.肺炎を併発していたため,抗生剤加療を先行した上で待機的手術の方針とした.しかし手術待機中の第21病日に突然の胸痛と完全房室ブロックを認め,冠動脈造影にて右冠動脈#4PDに透亮像を認めた.疣贅による冠動脈塞栓症と考え,カテーテル治療により疣贅の大半を回収し得た後,僧帽弁形成術を施行した.術後経過は良好で,第61病日に退院となった.今回経験したIEにおける疣贅による冠動脈塞栓は極めて稀な合併症であり,治療方法については明確に定められていない.今回行ったカテーテル手技とこれまで報告されている治療についての考察を交えて報告する.

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