心臓
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6 巻, 14 号
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  • 川島 康生, 大山 朝賢, 中埜 粛, 北村 惣一郎, 団野 迪昭, 森 透, 藤田 毅, 曲直部 寿夫, 清水 幸宏, 堀口 泰範, 宮本 ...
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1909-1916
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    2弁以上の病変に対して同時にその形成術を施行した21歳ないし53歳の連合弁膜症例22例について,主として術前の検査成績と,手術成績ならびに術後李均2年6カ月の遠隔時における臨床成績を中心に報告する.
    大動脈弁狭窄十僧帽弁狭窄9例,僧帽弁狭窄十三尖弁閉鎖不全8例.僧帽弁閉鎖不全十三尖弁閉鎖不全4例および大動脈弁狭窄+僧鵬弁狭窄+三尖弁閉鎖不全1例に対し,そのすぺての病変に対して弁形成術を施行した.手術死亡,遠隔死亡ともになく,再手術を要したものはなかった.術前の状態はNYHAII度のもの4例,皿度のもの14例,IV度のもの3例であったが,術後はI度のもの13例,II度のもの8例で皿度に留ったものは1例のみであった.
    すなわち2弁以上に病変の及んだ症例に対して弁形成術はきわめて良好な成績をもたらす事が出来るものであり,積極的に行なわれるぺき手術方法であると考える.
  • 心血管造影像・圧較差を中心として
    青崎 正彦, 龍野 勝彦
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1917-1925
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈弁狭窄症(AS)の心血管造影所見と重症度との関連性を調べるため,純粋のAS17例について狭窄した弁口からのジェット像より弁口面積を求め,上行大動脈の狭窄後拡張の程度や左心室筋の厚さなどを測定し,これに圧較差を入れて各パラメーター相互の関係について検討した.同時に造影所見,圧較差と臨床症状,心電図所見,心胸郭比などとの対比をも行ない,文献的考察を加えた.
    ASの重症度の判定,手術適応の決定には従来圧較差が最も重視されている.圧較差は心電図の左室''strainpatten'',弁の石灰化像,IV'音ならびに収縮期振顛の有無,左心室筋の厚さとはある程度相関する.しかし心胸郭比,上行大動脈の狭窄後拡張の程度とは相関せず,また臨床症状の程度やジェットから求めた弁口面積とも一致しないことがある.したがってASの重症度の決定にあたっては,圧較差のほか,弁口面積をはじめとする他のパラメーター々こついても充分に検討することが必要である.
  • 岡村 健二, 本多 正知, 工藤 龍彦, 小柳 仁, 今井 康晴, 今野 草二
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1926-1932
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心内膜床欠損症に対する外科治療の予後は,主として房室弁膜の形態と心室中隔欠損(VSD)の有無およびその大きさにより決定される.VSDのない不完型や,完全型でも数針の弁膜縫合で閉鎖できるような場合には,強い房室弁閉鎖不全が合併していない限り良好な手術成績が得られるようになったが,前房室弁が心室中隔と連係がないか,あっても細長い数本の腱索で固定されている,いわゆるfieatingtypeでは全欠損に近いVSDの閉鎖やHeatingした弁膜の修復が難かしく,いまだに手術成績は不良であるし一定した手術方法が確立されていない現状にある.われわれは今までかかるtype4例を経験したので,成功例,死亡例の手術方法,ことにVSDの閉鎖方法やfleatingした弁膜の修復方法にポイントをしぼり検討を加えた.
  • 坂内 五郎, 安斉 徹男, 稲村 信正, 松本 弘, 浅海 秀一郎, 野本 親男, 中嶋 宏治, 州辺 昌道, 平井 明文, 小林 剛一, ...
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1933-1945
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    従来右室二腔症の診断は右心カテーテル法,選択的右室造影法により主として行なわれて来た.外来診断の時点で本症診断の疑いを置く診断根拠を見出すべく,今まで教室で経験したS例についてretrospectiveに考察を加えた.
    その結果次の様な結論を得た.本症診断の目安として,1)胸部X線像で肺門陰影の増強,2)心電図で左室肥大,正常像のみられることもあるが概して右室肥大の所見がみられ,V1でRが増高するにもかかわらずaVRでlateRの増高がみられないか,あるいはあってもごく軽微である.3)第3-4肋間胸骨左縁でThrillを件う収縮期雑音の聴取.
    心電図で上述の様な所見を呈する理由についてベクトル的な考察を加えた.
  • 後藤 一雄, 今野 草二, 高尾 篤良
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1940-1945
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    筋性室中隔欠損症は頻度の多いものではないが,見落してしまうと術後心不全の原因になることが多い.それを予防するため,術前に右室,ならびに左室造影にて,その存在の有無ををよく確認する必要がある.また,その外科的治療に関しては,心尖部付近に欠損孔が存在している場合は左室側より,また,それ以外の部位に存在している場合は右室側より閉鎖すべきである.
  • 心電計時定数減少(0.05秒)による基線の安定化
    岡島 智志, 金井 友義, 奥村 満麿, 石川 征雄, 小池 斌碩, 安井 昭二, 外畑 巌
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1946-1954
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    食道誘導は通常基線の動擁がきわめて大きい.われわれは心電計の時定数を減少させ,一般的な洋銀電極で記録した食道誘導心電図の基線の安定化を試みた.食道電極は12指腸ゾンデに直径O.4cm長さO.5cmの3個の洋銀を2cm間隔で配列.三素子心電計(時定数1.8秒)を用い,IIまたはV1,双極(BE)および単極食道誘導(UE)を同時記録した.P波同定のための食道誘導の時定数は基線動揺,T波などがほとんど消失,かつP波振幅が可及的大なことが望ましく,0.05秒が適当と考えた.洞性P波でのbipelar atrial transitionの存在,QRS波高の著減,大きなP/QRSなどの不整脈診断上有利なBEの特徴は時定数0.05秒でも損われなかった.BE,UEの最大P波振幅平均値は各々0.57,0.44(時定数0.05秒のBEの各棘波振幅は時定数1.8秒の時の較正波振幅を単位として表示),最大P波記録誘導でのBEのQRS波振幅平均値(0.31)はUE(0.99)に比し有意に小さく,P/QRSの平均値はBE(2.77)の方がUE(0.50)より有意に大きかった.
  • 中川 喬市, 湊 啓輔, 奥田 宣男, 村木 寛茂, 阿久 津晄
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1955-1964
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室期外収縮のQRS波形(起源部位)を一連の患者401例について調べ,それと基礎疾患との関連を検討した.起源部位の分類は,阿久津の実験成績を主な規準とし,佐野らのVCGによる成績を参考にして行なった.基礎疾患の分類は,心筋硬塞,非硬塞虚血,高血圧,弁膜症,その他の心疾患,その他の各種疾患,心室期外収縮のみの7群に分けた.
    全401例における各起源部位の発生率は,右室源性59.1%,左室源性22.7%,中隔源性10.2%,多源性4.5%,心室後部源性1.3%,分類不能2.2%であった.右室円錐部,右室前側壁源性は,期外収縮のみの群およびその他の各種疾患群に高頻度に出現した.右室心尖部源性は,期外収縮のみの群には少なかった.左室源性は,心筋硬塞群にとくに高頻度に出現していた.中隔源性は期外収縮のみの群とその他の各種疾患群において,他の群よりも高率に出現していた.この成績は,右室円錐部源性,右室前側壁源性および中隔源性は,心臓の器質的変化との関係が比較的少なく,右室心尖部源性および左室源性は,器質的変化との関係が大きいものであることを示唆している.
    そのほか,心室期外収縮に関して注目すべき数種の項目に関して,その出現頻度を調べた.Postextrasystolic T-wavecha Rgesは,高血圧群,非硬塞虚血群に高頻度に出現していた.
  • 村山 正博, 春見 建一, 松尾 博司, 加藤 亮子, 村尾 覚
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1965-1972
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    完全房室ブxxック患者11名に運動負荷試験を行っなたが心拍数増加の明らかなもの(1群)4名と,軽度なもの(II群)7名に分れた.I群はII群に比し若年者が多く特発性心筋症が2名あった.
    心電図学的には,1群はQRSの幅が正常で形は正常伝導型,または完全右脚ブロック型を示し,His束心電図記録部より上のブロックが証明され,房室結節が下位自動中枢として推定された.皿群は,完全右脚プロヅク+左脚前枝ブ鐸ック型,心室期外収縮型,正常伝導型を示し,His束心電図記録部より末梢のプPtックが証明され,各々左脚後枝部,心室筋自体,His東内に下位自動中枢部位があることが推定された.
    運動耐容力は低下の程度が軽く,日常生活上の障害が少かった.完全房室ブロック患者の異所性下位自動中枢部位の推定,および人工ペースメーカ植え込みの適応の決定に,運動負荷試験は有用であることが示唆された.
  • 特にペースメーカ植え込みに対するoverdrive suppression testの応用について
    佐々 寛己, 水口 一衛, 普天間 新生, 中村 修之, 伊藤 健, 丹羽 豊郎, 松井 永二, 外山 淳治
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1973-1978
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    16歳の先天性完全房室ブPaックの1例に,His束心電図,心室ベーシソグによるoverdrive suppression testを施行し,人工ベースメーカ植え込みの適応の有無について検討した.
    心電図は完全房室ブpaックでQRS時間は0.08秒と上室波形を示し,RRは1.56秒であった.His束心電図はA-Hブロックを示し,心室は房室結節調律により興奮していると考えられた.そこでその下位ペースメーカの自動能の安定性をみるために,右室ペーシング(刺激頻度60,80,100,120回/分の4種類,刺激時間15秒間)によるoverdrive suppression testを施行したが,房室結節部における自動能回復時間はいずれのベーシング頻度においても1.5秒以内であった.これは洞結節における自動能回復時間の正常値範囲内にあり,本例での房室結節部の自動能は安定したものであると考え,人工ペースメーカの植え込みなしで約1年間follow up中であるが経過良好である.
    先天性完全房室プロック患者のペースメーカ植え込みの判定に際しては,His束心電図に加えて心室ペーシングによるoverdrive suppression testを試みるのが良い方法ではないかと考える.
  • 横山 正義, 笠貫 宏, 遠藤 真弘, 細田 瑳一
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1979-1984
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    45歳女性で過去28年間にわたって徐脈・頻脈症候群を塁した患者・最近,徐脈のためAdams-Stokes症候を呈したり,頻脈のため心不全症状を呈するようになった.procainamide,propranolol,digitalisなどを使用したが無効であり,ときには抗不整脈剤の使用により心室粗動・shortrunをおこした.
    この患者に対し,徐脈にはStarr-Edwardspacemakerを移植し,頻脈には高周波心房誘導型pacemakerを移植した.手術後満1年を経過した現在,心陰影は縮小し患者はほば正常な日常生活に復帰している,なお,憲者は頻脈発作回数を減少させるため,propranolol,digitalisの内服を続けている.
  • 依藤 進, 岩崎 忠昭, 山根 暁一, 河合 喜孝, 森口 尊文, 山本 忠生, 山崎 要, 宮本 巍, 堀口 泰範, 大橋 博和, 曲直部 ...
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1985-1991
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋硬塞発病後,24時間以内に,心室中隔が穿孔し,心室瘤をも合併,約1ヵ月間内科的治療した後,心室中隔縫合術,および心室瘤切除術を行ない,現在,1年以上になるが,社会復帰している症例である.本報告は,内科,および外科の臨床成績,治療の経過などについて述べたものである.
  • 千種 弘章, 渡辺 智, 井上 寛治, 中村 隆澄, 平島 尚武, 庄村 東洋, 吉栖 正之, 吉川 純一, 田中 久米夫, 増田 浩一, ...
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1992-1997
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患に対する外科療法としての,SVGは一応確立された術式と考えられているが,Prinzmetalらの提唱した異型狭心症に対するSVGの適応に関しては賛否両論のあるところである.そこでSVGを施行し術後1年以上を良好に経過している異型狭心症の1例を報告し文献的考察を加えた.
    その結果内科的治療の困難な症例に対して外科的治療が考えられて当然であるが,外科的治療にあたっては異型狭心症の病態が複雑であり冠状動脈の器質的な狭窄ばかりでなく自律神経の微妙なバランスの乱れが関与していることを考慮に入れなければならない.すなわち,異型狭心症に対する手術術式はその病型によって選択されるぺきである.90%以上の著明な狭窄を有する症例ではSVGのみで充分であり,中等度の狭窄を示すものではSVGと血管運動神経遮断術の併用,器質的病変を有しないものでは攣縮が予測される部分の外膜切除やgraftによる置換術が適当であろう.
  • 丹羽 明博, 谷口 興一, 小関 迪, 新富 芳明, 藤原 秀臣, 広江 道昭, 飯泉 智弘, 山田 崇之, 岡安 典子
    1974 年 6 巻 14 号 p. 1998-2006
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は29歳男子.会社員.Marfan症候群の1例.兄弟5人中4人はMarfan症候群と診断され,父・叔父・次兄に急死をみた.
    本症例の病態像はannulo-aortic ectasia・解離性大動脈瘤・大動脈縮窄・大動脈弁閉鎖不全・冠状動脈異常・漏斗胸・務椎側湾症など多彩であった.annulo-aortic ectasiaは典型的な洋梨状を示し,心臓は下方に圧排され時計方向に回転し,左室は完全に後方に偏位していた。臨床症状は著明な胸郭異常と多彩な心血管病変,特に大動脈弁逆流による心不全や狭心症症状が前面に現われている,これら心症状に加えて,胸郭運動障害・呼吸容積減少などによる著明な呼吸機能障害が認められた.
    このような胸郭異常や心血管病変により著しい心肺機能異常を呈した症例について文献学的考察を加えて報告した.なお,Marfan症候群に合併した大動脈縮窄は著者の調べた範囲では本邦第i例と思われる.
  • 乃木 道男, 佐藤 禎二, 水庭 弘進, 古城 美一, 大野 敏己, 藤沢 俊雄, 樋口 敏夫, 松尾 博司, 吉村 義之
    1974 年 6 巻 14 号 p. 2007-2013
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    単冠状動脈および純型漏斗部狭窄症は,いずれもまれな心奇形である.単冠状動脈の平均寿命は,一般の平均寿命より低い.また,純型漏斗部狭窄症も右心室肥大が進行した結果,右心不全が出現すると,内科的治療は短期間しか奏効せず,比較的早期に死亡するといわれている.
    本症例は,単冠状動脈を伴った,強度の純型漏斗部狭窄症であり,細菌性心内膜炎を繰り返えしながら,63歳まで生存することの出来た,比較的まれな症例である.
    臨床的に,右心カテーテル検査などにより,漏斗部狭窄症を診断し,死後,剖検により単冠状動脈,大動脈2弁などの知見を得た.臨床的経過,心電図,右心カテーテル検査成績,剖検所見など,貴重なる所見が得られた.
  • 乳児期手術治験例と文献的考察
    伊藤 健二, 高口 直明, 大川 恭矩, 赤坂 忠義, 井村 哲也
    1974 年 6 巻 14 号 p. 2014-2018
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左右肺静脈は共通幹を形成するものの,右肺静脈と左下肺静脈は主として冠状静脈洞へ,左上肺静脈は垂直静脈を経て左腕頭静脈へ還流する混合型総肺静脈還流異常症の11ヵ月女児に対する二期的根治手術例を報告した.
    第一期手術は,冠状静脈洞入口部を拡大し,肺静脈血が左房へ還流するように,ダクロンパヅチによる心房中隔脈成を,第二期手術は3年後,肺静脈一左房吻合,垂直静脈結築を行ない,血行動態は正常化した.
    混合型総肺静脈還流異常症の中,最も頻度の多い,冠状静脈洞と左腕頭静脈へ還流する型につき,共通肺静脈幹形成の有無,左右肺静脈間の交通の程度によって,分類を試み.おのおのの型に対する根治手術術式を検討した.
  • 心室逆位を伴った両大血管右室起始症との鑑別
    副島 健市, 北村 信夫, 橋本 明政, 今野 草二
    1974 年 6 巻 14 号 p. 2019-2023
    発行日: 1974/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,修正大血管転位位症の根治手術がだんだん行なわれるようになってきた.当心研究においても数例の修正大血管転位症の根治手術を行なったが,特異なアンギナ所見を示した症例があったので,ここに述べる.
    患者は成人男子で,術前アンギオ所見で,心室逆位,bilateral conusを伴い両大血管は,左側心室より起始しているようをこ思われたが,手術所見は,肢動脈は右側心室より弁下円錐を伴わずに起始していた.術後経過は良好で退院した.
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