心臓
Online ISSN : 2186-3016
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ISSN-L : 0586-4488
42 巻, 11 号
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Open HEART
HEART's Selection (肺高血圧症の治療を振り返って)
HEART's Original
臨床研究
  • 三角 郁夫, 大嶋 俊範, 西田 泰斗, 上山 秀嗣, 今村 重洋, 蛯原 賢司, 赤星 隆一郎, 坂井 綾子, 三城 真由美, 高永 恵, ...
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1424-1428
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    目的: Duchenne型筋ジストロフィーにおける心機能障害について, 心エコー, 血漿BNP値を用いて検討した.
    対象・方法: 当院にDuchenne型筋ジストロフィーで入院した16例について心エコー, 血漿BNP(brain natriuretic peptide)値による心機能評価を行った.
    結果: 収縮能の指標である左室短縮率は, 左室拡張末期径, 左室心筋重量, 左房径, 血漿BNP値との間に関連は認めなかった. 一方, 左室拡張末期径は, 左室心筋重量(p<0.01), 左房径(p<0.01), 血漿BNP値(p<0.01)との間に有意の相関関係を認めた. 心エコー後4例が死亡し, そのうち2例は左室の著明な拡大と壁運動低下を認めた. 残りの2例は, 左室壁運動は低下していたが, 左室拡大はみられなかった.
    まとめ: Duchenne型筋ジストロフィーにおける心不全診療は, 心拡大の指標や血漿BNP値だけではなく, 心エコーによる収縮能の評価が, 重症度ならびに予後の予測に重要であると考えられる.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 中村 玲雄, 太田 啓祐, 山田 健志, 宮井 伸幸, 入江 秀和, 木下 法之
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1431-1436
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 女性. 以前より軽度の労作時胸痛の自覚があり, 会社の健康診断にて脂質異常を指摘され, 当院へ来院された. 12誘導心電図上, V4~6にて陰性T波を認め, 冠動脈CT上, 右冠動脈近位部の閉塞性病変が疑われたため, 冠動脈造影を実施した. 冠動脈造影上, 右冠動脈近位部(#2)へ閉塞性病変を認めたため, 引き続き経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を実施した. 右橈骨動脈アプローチにて, ガイディングカテーテルは5F IL3.5(テルモ株式会社, 東京)を使用した. 左橈骨動脈から4Fシースを挿入し, 左冠動脈の対側造影下に, Conquest Pro(ASAHI INTECC社, 愛知)にて病変部の通過に成功し, 1.25mmバルーンおよび2mmバルーンによる前拡張の後, シロリムス溶出性ステントを留置することができた.
Editorial Comment
症例
  • 小林 貴, 久保 典史, 坂倉 建一, 高田 宗典, 平原 大志, 荒尾 憲司郎, 宇賀田 祐介, 森 将之, 船山 大, 菅原 養厚, 阿 ...
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1438-1443
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    たこつぼ心筋症(transient left ventricular apical ballooning, takotsubo cardiomyopathy; TTC) では診断時, 冠動脈の有意狭窄を除外基準とすることが多い. しかしながら, 高齢者に多い病気であり, 最近, 冠動脈に有意狭窄のあるたこつぼ心筋症の存在もいわれるようになってきた. 症例は83歳, 女性. 普段から行っているわけではない, 緊張を伴った神社参拝, 豆まきという行事直後の食事, 飲酒をした際に著明な冷汗と意識が遠のく感覚を自覚したため, 救急要請となり当センターに救急搬送された. 急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS)が疑われ, 緊急心臓カテーテル施行. 左冠動脈前下行枝(left anterior descending artery; LAD)#7に90%狭窄を認めたため, 緊急経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention; PCI)を行った. 直後の左室造影(left ventriculography; LVG)では, LADの支配領域に合致しない左心室基部の過収縮と心尖部の無収縮を認め, 高度冠動脈狭窄を合併したTTCと診断された. TTCとLAD病変の関与したACSは最も重要な鑑別点である. ACSとして判断されていた症例の中にも実際には詳細に検討すると, たこつぼ心筋症が潜んでいる可能性があることを示唆している. また, 診断方法の感度を考慮すると, 疾患概念による形体描写に基づかない命名の必要性が指摘されている. 病態解明の進歩が, 今後一層期待される.
症例
  • 石井 聡, 布施 淳, 鈴木 優実, 久保田 芳明, 小野 智彦, 池上 幸憲, 前淵 大輔, 坂本 宗久, 樅山 幸彦
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1444-1449
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例は87歳, 男性. 主訴は失神. 歩行中に突然意識消失し転倒したため救急要請あり, ショック状態とのことで当院救命救急センターに搬送された. 来院時, 意識はほぼ清明であったもののショック状態は持続していた. 顔面外傷, 左外耳道からの出血あり. 心電図上, 完全房室ブロックで心拍数40/分, II, III, aVF, V4R~6RでのSTの著明な上昇があり, 心エコーでは下壁の壁運動低下に加え右室の壁運動低下も認め, 右室梗塞を合併した下壁梗塞と診断した. 顔面外傷があり, 右外耳道, 口腔からの出血を認めていたため頭部CTを撮影したが, 頭蓋内に明らかな出血はなく, 緊急冠動脈造影施行. 右冠動脈近位部に完全閉塞を認めた. 経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行し再灌流後, 徐脈は改善したものの, カテコラミン投与下においてもショック状態は持続した. 外傷による大量出血のため, それまで使用を控えていた大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pump; IABP)を挿入したが, 依然血圧は低値のままであった. 術後より確実な抗凝固療法が必要となるが, 救命のためにやむを得ないと判断しPCPSを挿入. 血圧の安定を得たが, PCI術後経過中外傷性出血のため合計12単位の赤血球輸血を要した. その後循環動態は順調に回復し, 独歩退院した. ショックを伴う右室梗塞は, 早期再灌流療法に加えてPCPSによる補助循環を含めた集学的治療を念頭に, 治療戦略を検討すべきと考えられた.
症例
  • 荒木 徹, 小寺 亜矢, 大月 審一, 佐野 俊二, 笠原 真悟, 高橋 伸方, 加藤 哲司, 細木 瑞穂, 和田 智顕, 高杉 瑞恵, 坂 ...
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1450-1457
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    乳児期早期に発症したBWG症候群(Bland-White-Garland症候群)の3例を経験した. 3例ともに, 多呼吸などの心不全症状で発症し, 心エコー検査が診断の契機となった.
    心エコー検査では, 3例ともに左室収縮力低下, 左室拡大, 僧帽弁逆流という拡張型心筋症様の所見を呈し, 症例1, 2は, 主肺動脈から左冠動脈が起始する所見を直接確認できた. 一方, 症例3は左冠動脈の肺動脈起始を確認できなかったが, 右冠動脈の拡大, 右室自由壁や心室中隔内の異常信号, 左冠動脈内の逆行性血流, 肺動脈内に流入する異常血流を認めた. それらから右冠動脈から左冠動脈への側副血行を介したシャントの存在を考え, 冠動脈造影により確定診断した. また, 症例2, 3では, 左室前外側乳頭筋の輝度上昇がより強く認められ, 後内側乳頭筋との輝度差はBWG症候群を疑う契機となる所見と考えられた. 3症例ともに左冠動脈移植術を行い, 術後早期に心機能は正常化し, 僧帽弁逆流も軽減, 心不全症状は消失した.
    心エコー検査にて, 左室収縮力低下, 左室拡大, 僧帽弁逆流など, 拡張型心筋症様の所見を呈した症例では, BWG症候群の可能性も念頭に置き, 冠動脈形態や冠動脈・心筋内の血流を検討する必要があり, 疑いがあれば冠動脈造影などで精査し, 鑑別をすることが重要である. 特に乳児期早期はBWG症候群が症候化しやすい時期であり, より注意が必要と思われた.
症例
  • 大田 祐子, 平塚 妙子, 麻生 明見, 長谷川 恵里, 中村 俊博, 土橋 卓也
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1458-1463
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例1は56歳, 男性. 2008年より左下顎に無痛性の腫瘤を自覚するも放置していた. 2009年6月に気が遠くなる感じ, 脱力感, 徐脈を自覚し, 頻回となってきたため当院紹介. ホルター心電図にて症状時に最長5.8秒の洞停止を認め, 洞不全症候群が疑われたが, 電気生理学的検査(electrophysiological study; EPS)では洞結節に異常を認めなかった. またCTにて両頸部のリンパ節腫大と頸動脈圧排所見を認めた. 骨髄および後頸部リンパ節生検にて悪性リンパ腫と診断され, 化学療法を開始. 頸部リンパ節腫大の軽減に伴い症状は消失した.
    症例2は75歳, 男性. 2009年3月より排尿前, 食後に失神を繰り返すようになったため当院紹介. ホルター心電図にて症状に一致し洞徐脈を認めた. 症状時に血圧低下を伴っていたため, 迷走神経失神が疑われ経過観察していたが, 安静時にも症状が頻回に出現してきたため, アトロピン内服を開始した. 以後症状は軽減した. 頭部MRIにて上咽頭癌と頸動脈圧排所見を認め, 放射線療法を開始した. 上咽頭癌の縮小を認めたためアトロピンを漸減中止したが, 失神はみられなくなった.
    頸動脈圧受容体圧排が関与したと思われる失神発作を繰り返した2症例を若干の考察を加え報告する.
Editorial Comment
症例
  • 齊藤 涼子, 池田 尚平, 田丸 貴規, 尾上 紀子, 田中 光昭, 石塚 豪, 馬場 恵夫, 篠崎 毅
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1466-1473
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例は33歳, 男性. 体重増加(160kg)と著明な労作時息切れを主訴に来院し, 精査加療目的に入院となった. 全身浮腫, 低酸素血症, 高二酸化炭素血症, 総ビリルビン値上昇を認め, 左室拡張機能および収縮機能は低下していたが, 肺水腫や肺うっ血は認めなかったことから, 右心不全優位の肥満低換気症候群(obesity hypoventilation syndrome; OHS)と考えられた. 簡易型終夜ポリグラフ検査にて重症の閉塞型睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea; OSA)を認めたが, 患者は持続陽圧呼吸療法を受け入れることができなかった. 心不全に対して通常の内科治療のみを開始したところ, 心不全は徐々に増悪し, 入院第13病日に多臓器不全を呈した. 心係数低下, 肺動脈楔入圧上昇を認めたため, 両心不全の増悪と判断し, 人工呼吸器管理を行った. 経過中にTorsade de Pointes(TdP)とそれに引き続く心不全の再増悪を認め, 持続緩徐式血液濾過が必要となった. その後, 心不全は徐々に改善し, 体重は77.5kgまで減少し, カルベジロールを開始した. 第211病日にはOSAと心機能は著明に改善した. 現在カルベジロール少量投与にて経過観察中である. 重症心機能障害を合併するOHSでは, 早期より気管切開による陽圧呼吸療法も含めた積極的な加療を考慮すべきである.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 今井 雄太, 肌勢 光芳, 内橋 基樹, 入江 大介, 倉田 博之, 中原 祥文, 中村 隆志
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1476-1482
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性. 左冠動脈前下行枝閉塞による急性心筋梗塞で入院し, 第6病日に右冠動脈の残存病変に対して待機的に経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行した. 右冠動脈近位部へのステント留置直後より心電図上V1~2においてcoved型ST上昇をきたし, 造影ではステントでjailされた円錐枝の閉塞を認めた. そのほかの血管に造影遅延や閉塞はみられなかった. ST上昇は持続していたが, 胸痛がなく小血管であったため治療を終了した. 帰室約1時間後に突然, 心室細動(ventricular fibrillation; VF)を発症したが, 迅速な蘇生術により心拍は再開し, 第24病日に独歩退院した.
    近年, 右室流出路(right ventricular outflow tract; RVOT)を灌流する冠動脈円錐枝の単独虚血によりBrugada症候群に極めて類似した心電図変化が出現することが報告されている. 今回, われわれは冠動脈円錐枝の閉塞によりBrugada型心電図とそれに続く致死性不整脈を発症した症例を経験した. 右冠動脈近位部に対するPCI時には, 冠動脈円錐枝にも注意を払い, 右側胸部誘導のST上昇をきたした際には, 催不整脈性を示すRVOTの虚血が不整脈を誘発するリスクが高いことを念頭に置き, 心室性不整脈の発生にも十分注意すべきである.
症例
  • 阿部 純子, 宗像 一雄, 中摩 健二, 小川 ゆかり, 石川 昌弘, 網谷 賢一, 高橋 直人, 川口 直美, 内田 高浩, 一色 彩子, ...
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1483-1489
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代, 女性. 皮膚サルコイドーシスを皮膚科で診断され通院中であった. 心電図で右脚ブロックを認めたため当科を受診. 諸検査および臨床所見から心サルコイドーシスと診断した. 致死性不整脈の出現はなく心房粗細動のみを認めた. 心臓超音波で左室機能の低下を認め, ガドリニウム(gadolinium; Ga)遅延造影MRIで左室下壁に造影効果を認めたため, プレドニゾロン(prednisolone; PSL)の内服を開始した. 6カ月後の遅延造影MRIでは造影効果は消失しており病態の改善が示唆された.
    12カ月後の心臓超音波所見および血液検査でリゾチーム, 可溶性インターロイキン2レセプター(sIL-2R)値に変化は認めなかったが, 遅延造影MRIで左室中隔および側壁に新たな造影効果を認めたため, 心病変の悪化と判断しPSLを増量した. 心サルコイドーシスにおけるPSL治療基準は明確でなく, 本症例ではMRI所見をもとに治療方針を決定した. 遅延造影MRIでは, 超音波あるいは血液検査で明確にされない病態変化の早期把握が可能であり, 治療に反映できる可能性が示唆された.
Editorial Comment
症例
  • 田崎 淳一, 早野 護, 多田 朋弥, 田村 俊寛, 当麻 正直, 尾野 亘, 古川 裕, 北 徹, 赤尾 昌治, 木村 剛
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1492-1497
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    症例は42歳, 男性. 5日前から39℃の発熱あり, 呼吸困難にて当院受診. 来院時収縮期血圧70mmHgであり, 心電図にて完全房室ブロック, 心エコーにて高度び漫性左室壁運動低下を認め, 劇症型心筋炎に伴う心原性ショックと診断した. 直ちにIABP開始し大量にカテコラミン使用するも血行動態維持できず, 気管挿管下に経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)を開始した. 当初, 心筋は浮腫状に肥厚し, 左室壁運動はび漫性に高度低下していたが, 第4病日以降徐々に心機能は回復の兆候を認め, 血行動態は改善に向かった. しかしCRP 55mg/dLと炎症所見が著明に上昇し, 胸部X線にて全肺野にスリガラス状陰影および著明な低酸素血症を認め, 急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome; ARDS)と診断した. 抗菌薬の投与およびステロイド少量持続投与を行い自己肺の回復を待ったが, ARDSによる呼吸不全は遷延した. 心機能改善してくるにつれ血行動態は安定化したが, 酸素化不良な動脈血が頭蓋内を灌流するようになったため, 第7病日にPCPSを離脱し体外膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)に移行した. 第8病日にはステロイドの効果により自己肺の酸素化改善してきたためECMOを離脱した. 第18病日に抜管に成功した後は非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure vertilation; NPPV)にてサポートし, 独歩にて退院および社会復帰を果たした. 劇症型心筋炎に急性呼吸窮迫症候群を合併し, PCPS, ECMOを使用することで救命に成功した症例を経験したので報告する.
Editorial Comment
Meet the History
  • —仁村泰治先生に聞く
    仁村 泰治, 別府 慎太郎
    原稿種別: Meet the History
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1500-1512
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/24
    ジャーナル フリー
    ドプラ法とは本来, 物理学者C.J. Dopplerの確立した物理的原理を応用した, 物体のスピード計測法で, 里村茂夫氏が具体化しましたが, 医学界でドプラ法と聞けば, まず診断法, 装置として認識されるほど超音波ドプラ法はポピュラーな診断法として確立され, 発展を続けています. この超音波ドプラ法が心臓病の診断法として有用であることを発見し, 大きく発展させたのが, 仁村先生です.
    本日は, その仁村先生をゲストに, 仁村先生をよく知り, 今も仁村先生が開拓された道を継承している別府先生をホストに, ドプラにまつわる楽しいお話や苦労話をお聞かせいただきました.
研究会(第4回 心不全陽圧治療研究会)
  • 弓野 大
    原稿種別: 第4回心不全陽圧治療研究会
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1515-1518
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
  • 杉村 宏一郎, 建部 俊介, 福本 義弘, 及川 美奈子, 佐藤 公雄, 中野 誠, 宮道 沙織, 下川 宏明
    原稿種別: 第4回心不全陽圧治療研究会
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1519-1524
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
  • 吉村 力, 豊島 秀夫, 西川 宏明, 松本 武格, 朔 啓二郎, 渡辺 憲太朗
    原稿種別: 第4回心不全陽圧治療研究会
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1525-1530
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    うっ血性心不全の治療に陽圧呼吸療法の有効性が報告されている.Continuous positive airway pressure(CPAP)とadaptive servo-ventilation(ASV)がそれぞれ有効であった症例について検討する.
    CPAP有効例:47歳,男性.2003年8月うっ血性心不全で入院.BNP 2003pg/mL,心エコーにてEF 15%であり,心筋生検で拡張型心筋症と診断.薬物療法にてBNP 295pg/mL,EF 25%に改善した.いびき,日中の眠気が強く,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS)が疑われた.Polysomnography(PSG)上,無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index;AHI)27のobstructive sleep apnea syndrome(OSAS)であり,CPAP titration後,CPAP圧7cmH2Oで開始.約6カ月CPAPを使用し,BNP 4pg/mL,EF 53%と心機能は良好となった.
    ASV有効例:33歳,男性.2008年10月労作時呼吸困難で入院.BNP 206pg/mL,心エコー上EF 37%,CAG上有意狭窄なく,拡張型心筋症と考えられた.薬物療法後BNP 90pg/mL,EF 34%に改善した.いびきを主訴にPSG施行.チェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration;CSR)を伴うAHI 32の睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing;SDB)と判明.ManualでASV,CPAP titrationを施行した.CPAPにてCSRは消失しなかったが,ASVにて消失したため,EPAP/IPAPmin/IPAPmax 8・8・13cmH2Oで導入.約6カ月ASVを使用し,BNP 7pg/mL,EF 55%と著明に改善した.
    個々の症例で治療に対する反応性の差がみられ,PSGで効果を判定しながら治療法を選択する必要性が示唆された.
  • 安藤 真一
    原稿種別: 第4回心不全陽圧治療研究会
    2010 年 42 巻 11 号 p. 1531-1535
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    心不全の進行は,心疾患のリスクだけが存在するステージAから,治療抵抗性心不全のステージDまでに分類されている.ステージAでは,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)が循環器疾患のリスクとのエビデンスが数多く出てきており,OSA治療が動脈硬化性心疾患の予防などを通じて心不全の予防に重要である.すでになんらかの心疾患があるが,心不全はないステージBでは,ステージAと同様にOSAの治療が重要であるが,この段階で多く認められている拡張障害はOSAにより悪化する一方,拡張障害による左房圧の上昇は中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea;CSA)の原因となることが示唆されている.すでに心不全状態であるステージC以降では,CSAの合併が30%以上となることや心機能の程度に応じてCSA合併率が高いこと,また,心機能の改善でCSAが減少することが示されている.心不全に合併するCSAを治療することの意義を検討したCANPAP研究では,予後改善は示されなかった.この原因として,無呼吸の除去が不完全であった可能性や,不全心を持つ患者の胸腔に陽圧をかけること自体が,心機能の悪化を招いたことなどが考えられる.患者の呼吸状態に応じて,より完全に無呼吸を取り除くことが可能であるadaptive servo ventilationが,心不全に伴う睡眠呼吸障害の改善のみならず,心不全そのものの改善に有効との報告が増えており,予後を含めた今後の詳細な検討が重要である.
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