心エコー図を用いて, 心時相の面よりWPW症候群患児(19名)と健康小児を比較検討し,以下の結果を得た.
1) WPW症候群患児のtrue ICT,classic ICTは健康小児とほぼ同値を示した.
2) WPW症候群患児のIRTはやや延長する傾向があり,A型WPW症候群患児の一部にLVETの短縮する例が認められた.
3) WPW症候群患児のPEP,Q-B intervalは明らかに延長していた.
4) true ICT, classic ICT, IRT, PEP, ΔLVETは運動負荷後短縮した. この変化は,WPW症候群患児と健康小児との間には差はなかった.
5) Q-B intervalは,健康小児では運動負荷によっても変化しないが,WPW症候群患児では負荷後わずかに短縮した.
6) WPW症候群患児18例中13例に,心エコー図上,左室後壁・心室中隔の異常運動を認めた.
以上のことから, WPW症候群では心室内伝導,収縮様式,拡張様式が正常心とは異なるが,心機能の上では正常心と差がないものと考えられた.
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