心臓
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13 巻, 5 号
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  • 高血圧症例におけるHandgrip Testによる検討
    山本 真千子, 傅 隆泰, 久保木 正夫, 高橋 宣光, 小山 晋太郎
    1981 年 13 巻 5 号 p. 529-537
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高血圧と陰性U波の関係を明らかにするため,健常(C)群20例,高血圧(H)群35例に対し,ハソドグリップ負荷(HG) を行った. H G による昇圧の程度はC 群に比べ,H群で有意に高く(P<0.001),陰性U波の出現率もC群で0%であったのに対し,H群では68.6%と高率であった.一方,H群中の陰性U波出現頻度と心エコー図による左室壁厚の関係をみると,肥厚の程度が著しくない例でより出現率が高いという結果を得た.さらに,HG中のECGとUCG同時記録により, 左室内径の拡大に伴って陰性U波が出現することを確認した.以上より,高血圧症例における陰性U波の出現は急性の左室拡大による左室壁の伸展によって生じ,また,左室肥大の存在するもので陰性U波が出現しにくいのは,左室壁の肥厚のため伸展が起こりにくいからであると考えられた.
  • 心エコー図および運動負荷試験による評価
    小川 剛, 山口 徹, 田村 勤, 杉下 靖郎, 伊藤 巌
    1981 年 13 巻 5 号 p. 538-547
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性うっ血性心不全患者14例を対象として,prazosin hydrochloride(prazosin)の2週間および10週間投与の効果を, 心エコー図と運動負荷試験を中心に評価した.prazosin2週間投与後,左室拡張終期径および体血管抵抗は有意に減少し(いずれもp<0.05),左室駆出分画は有意に増加した(p<0.05).さらに安静時のrate-pr-essure product(RPP)は有意の変動を示さなかったが,投与前後における同一量の運動負荷時のRPPは有意に減少した(p<0.01).運動持続時間は有意に延長し(p<0.001),最大運動許容度も有意に増加した(p<0.001).10週間投与後においても,運動負荷時のRPPの減少ならびに運動持続時間の延長が観察された(いずれもp<0.05).以上のことより,prazosinは前負荷と後負荷を減少させ,心筋酸素需要を低下させると考えられたが,その効果は安静時よりも運動中において著明であり,かつ投与後10週においても認められた. 副作用として体液貯留を認めた.
  • WPW症候群患児について
    吉田 哲也, 加賀田 典孝, 新野 正治, 宮崎 正章, 武内 克郎, 松田 博
    1981 年 13 巻 5 号 p. 548-555
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心エコー図を用いて, 心時相の面よりWPW症候群患児(19名)と健康小児を比較検討し,以下の結果を得た.
    1) WPW症候群患児のtrue ICT,classic ICTは健康小児とほぼ同値を示した.
    2) WPW症候群患児のIRTはやや延長する傾向があり,A型WPW症候群患児の一部にLVETの短縮する例が認められた.
    3) WPW症候群患児のPEP,Q-B intervalは明らかに延長していた.
    4) true ICT, classic ICT, IRT, PEP, ΔLVETは運動負荷後短縮した. この変化は,WPW症候群患児と健康小児との間には差はなかった.
    5) Q-B intervalは,健康小児では運動負荷によっても変化しないが,WPW症候群患児では負荷後わずかに短縮した.
    6) WPW症候群患児18例中13例に,心エコー図上,左室後壁・心室中隔の異常運動を認めた.
    以上のことから, WPW症候群では心室内伝導,収縮様式,拡張様式が正常心とは異なるが,心機能の上では正常心と差がないものと考えられた.
  • 土屋 雅之, 夏目 隆史, 坂口 明, 中川 雅博, 黒田 一明, 木村 玄次郎, 小嶋 俊一, 阪本 登, 佐谷 誠, 伊藤 敬一, 池田 ...
    1981 年 13 巻 5 号 p. 556-567
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    病院の外来血圧と家庭血圧との差異(ΔP)について検討し, 以下の結果を得た. (1) 未治療状態の本態性高血圧症において, 外来血圧が高いものほど収縮期血圧のΔPは大きい傾向にあった. (2) 未治療本態性高血圧症において全体を平均すると収縮期血圧で13.8±2.4%(18.8±3.0mmHg),拡張期血圧で11.8±1.7%(9.1±1.7mmHg)外来血圧が高値を示した.(3)50歳代の女性では同年代の男性に比べΔPは顕著であり, 収縮期血圧で25.1±4.2%,拡張期血圧では18.6±3.5%外来血圧が高値を示した. (4) 精神安定剤はΔPの動向に一定の影響を与えなかった.(5)利尿剤単独投与群においてのみ収縮期血圧のΔPは減少していたが,他の降圧療法ではΔPに対する影響はそれほど強くない傾向が認められた.(6)重症例が多い治療中の腎性高血圧症におけるΔPは小さい傾向がみられた.(7)ΔPは少なくとも8 週間経時的に変動しなかった.
  • 冠動脈spasmの関与について
    中西 成元, 長崎 文彦, 石村 孝夫, 西山 信一郎, 白鳥 健一, 山口 洋
    1981 年 13 巻 5 号 p. 568-576
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞は冠動脈粥状硬化に閉塞性血栓が引き金として起きることが多いとされている.しかし,血栓のない心筋梗塞や粥状硬化すらほとんど見られない心筋梗塞も認められ,心筋梗塞発症には不明な点が多い.われわれは心筋梗塞と診断されていながら冠動脈左室造影を行ってみると,梗塞部支配血管に有意な狭窄性病変を有さない症例について臨床的検討を行った.心筋梗塞383例中に有意の狭窄をもたない例は12例(3%)であり,有意の狭窄性病変を有する群に比して若年者でrisk factorの少ない例が多く,比較的女性にも多くみられ,発症は突然のことが多かった.冠動脈の易spasm性について検討し得た6例についてはすべて著明な易spasm性を有していた.これらのことより,有意の冠動脈狭窄病変を有さない患者は特徴的な臨床症状を呈し,心筋梗塞発症には冠動脈spasmが大きく関与しているものと考られた.
  • 福田 省史, 松本 洋, 岩尾 初雄, 溝口 康弘, 吉井 薫, 砂川 博史, 本田 悳
    1981 年 13 巻 5 号 p. 577-584
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    カテーテル先端電磁流速プローブを肺動脈主幹部に留置し,同時に造影剤注入カテーテルを挿入して右室造影を行い,拡張末期より収縮末期に到るアンジオの各フレーム毎の減少量と, 同一心周期における肺動脈血流波形の積分より算出される駆出量との対比より,Simpson法area-length法,two-chamber法,prism法などの右室容量計測法の精度について検討を行った.
    これまで右室容量計測法はSimpson法で最も正確とされてきたが,正常例においてはprism法two-chamber法で電磁血流計より求めた駆出量に近似した値を示し,Simpson法,area-length法で,それぞれ約1.8倍,1.7倍と,ある特定の補正係数を用いなければかなりのo -verestimationを示す可能性を示唆した.
  • 冠動脈造影法による研究
    服部 隆一, 野坂 秀行, 伊藤 幸義, 加藤 達治, 高地 恭二, 西村 健司, 重太 真男, 乗本 業文, 花田 正治, 延吉 正清
    1981 年 13 巻 5 号 p. 585-594
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    陳旧性心筋梗塞患者302名(333領域)の冠動脈病変を冠動脈造影法により比較検討した.
    梗塞領域を灌流していた冠動脈(責任冠動脈)に存在する最大狭窄病変を責任病変としたとき,90%以下の責任病変が107病変認められ,recanalizationが生じたことを示竣した.
    責任病変の冠動脈別の検討では, 右冠動脈に完全閉塞を多く認めた.また,責任病変率(責任病変となっていた割合)は高度狭窄病変ほど高値であったが,75%以上の狭窄に限って責任病変率を検討すると,高齢者になるに従い責任病変率が低下した.責任冠動脈に75%以上の狭窄がまったく存在しない症例を0 枝疾患としたとき, 若年者群、およびrisk factorを有しない群で,0枝疾患の比率が高かった.
    40歳未満では99%狭窄,tubular型狭窄が多く,また,高血圧のみを有する群では99%狭窄が少なかった.ulcerating plaqueは梗塞との関連性が高いことが示唆された.
  • 門間 和夫
    1981 年 13 巻 5 号 p. 595-599
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    経静脈性にVSDを通して左室・大動脈を検索する目的で,下大静脈・右房・右室を経由してVSDを通過する形(立体的なS字形)に先端を造形したカテーテルをCook社に注文・試作し,臨床に応用した.
    VSD・Fallot四徴症・両大血管右室起始症など連続15症例にVSDカテーテルを使用してカテーテル操作時間を測定した.右室圧40mmHg以上の中等大ないし大きいVSDでは全例でVSDを通過し,平均所要時間は3.9分であった.右室圧40mmHg以下の小さいVSDでは25%のみ通過できた.
    ASD・PFOのない大血管転位症,両大血管右室起始症のカテーテル検査では,VSDが左室への唯一の開かれた経路であり,VSDカテーテルがきわめて有用であった.B型大動脈弓離断症乳児でもPFOがなくVSDカテーテルが役にたった.VSD経由で左室より左房への挿入も可能であった.
  • 水野 杏一, 近藤 修二, 里村 公生, 川越 光博, 青崎 登, 栗田 明, 細野 清士, 高橋 孔一
    1981 年 13 巻 5 号 p. 600-606
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    基礎疾患に先天性心疾患を有し,α溶血性連鎖球菌による心内膜炎経過中,完全房室ブロックを併発,また,心内膜炎が原因と思われる大動脈弁逆流,大動脈-右室穿孔を伴ったが,現在生存している例を報告する.
    細菌性心内膜炎による大動脈-右室穿孔はきわめてまれで今まで3例が報告されているに過ぎない.完全房室ブロックを合併することもまれ(33例)で,これを伴った例は大動脈弁逆流を合併することが多く,心不全などで大部分死亡する.生存しえた例はすべて大動脈弁置換術などの外科的治療を行っている.本例のように内科的治療のみで生存している例は今まで報告がないようである.
    本例は現在無症状であるが,将来心不全を起こす可能
  • 徳山 研一, 曽根 克彦, 田代 雅彦, 友政 剛, 藤永 隆, 竹内 東光
    1981 年 13 巻 5 号 p. 607-611
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心膜欠損症は比較的まれな疾患とされ,欧米では百数十例の報告がある.本症は欠損の程度により,全欠損と部分欠損の2型に分類されている.一般に全欠損型は他の重篤な合併心内奇形がなければ,予後は良好とされ,治療の必要がないとされてきた.
    今回,2カ月の女児において,呼吸困難発作を反復し,最後には呼吸不全により死亡した左側心膜全欠損症の一例を経験した.本症例ば他に重篤な心内合併奇形はなく心臓カテーテル検査,心血管造影法により,肺高血圧症と診断した.肺高血圧症の原因として,胸部X線写真,胸部ゼログラフィーの所見から,気道の狭窄により肺性心を起こしたものと考えた.しかし反復する呼吸困難発作については結論が出ないまま死亡し,剖検にて心臓の後上方の胸膜欠損があり,この欠損孔の部位に一致して右肺下葉の一部が過分葉するように嚢状になっていた.この肺葉が胸膜欠損孔に嵌入し,気管支を圧迫し呼吸困難を生じていたものと考えられた.本例においては心膜固定術や胸膜交通部閉鎖術などの外科的処置が有効であったかもしれない.
  • 佐々木 峻, 木村 久雄, 新津 勝宏, 肥田 敏比古
    1981 年 13 巻 5 号 p. 612-618
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は52歳の男性である.進行性全身性硬化症として3年間,他病院皮膚科および内科にて治療を受けていたが,種々の程度の刺激伝導障害を示す多彩な心電図経過をとった後, 完全房室ブロックの出現とともに心不全症状を呈するようになってきた.徐脈治療による心不全治療の目的で昭和5 2 年9 月2 8 日, カテーテル電極を用いて人工ペースメーカー植込みを施行した.手術後は心不全による自覚的症状,他覚的所見の改善が得られ,術後2年6カ月の現在も元気な生活を送っている.
    進行性全身性硬化症による完全房室ブロック症例は6例を外国症例に見い出したが, 人工ペースメーカー治療例は,その2例に行われたのみであったため,自験例に文献的考察を加えて報告した.
  • 宮崎 正章, 加賀城 恵一, 加賀田 典孝, 新野 正治, 吉田 哲也, 大須 賀洋, 石戸 谷武, 野呂 崇
    1981 年 13 巻 5 号 p. 619-626
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    原発性心臓腫瘍はまれな疾患であるが,最近は臨床症状に疑いを持ち,超音波診断を併用すると臨床診断が下せるようになった.本症例においても心断層エコー図および心血管造影により左右心室の流出路狭窄,腫瘍の部位および大ぎさを診断し得た.入院中発作性頻拍症をきたしたが,カウンターショックにより一時的に救命することができた.しかし,心不全がしだいに増強したため,心室流出路狭窄部切除手術を施行したが,術後死亡した.病理組織学的には腫瘍組織学は線維腫が大部分を占めていたが,一部に脂肪組織や横紋筋組織が認められることから過誤腫と診断した.
  • 岸田 浩
    1981 年 13 巻 5 号 p. 627-644
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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