先天性心奇形は,ときに他の身体部分の奇形を合併することがある.
われわれは,6歳女児で,心室中隔欠損症兼動脈管開存症に,両側鎖骨形成不全を合併した1例を経験したので報告する.
鎖骨形成不全を伴う,系統的疾患は,Cleidocranlal dysostosis,あるいは,Mutational dysostosisといわれる,まれな骨形成異常で,頭蓋骨化骨形成遅延,歯牙の発生遅延などがみられることが多い.鎖骨形成不全と,先天性心奇形との合餅については,その成因は不明である。しかし,サリドマイド児に,心奇形を伴うこともあり,本患児の母親が,妊娠初期に,強度の妊娠悪阻の治療のため,種々の薬剤を服用しており,このことが鎖骨形成不全,ひいては心奇形の発生とも因果関係があるものか,関らのもたれる症例である.なお,心奇形に対しては,一期手術を行ない,経過順調である.
抄録全体を表示