心臓
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29 巻, 2 号
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  • 井上 信孝, 平田 健一, 横山 光宏
    1997 年29 巻2 号 p. 93-101
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 健診会員2,801例の5年間追跡調査中に発症した虚血性心疾患とその危険因子の検討
    木全 心一, 村崎 かがり, 小笠原 定雅, 窪倉 武雄, 岳 マチ子, 永田 まこと, 横山 泉
    1997 年29 巻2 号 p. 103-110
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1987年に健康診断を受けた健診会員2,801人を5年間追跡調査し,虚血性心疾患の発症数とその危険因子について検討を加えた.心筋梗塞と労作狭心症の,危険因子の各レベルごとの性・年齢調整相対危険度をMantel-Haenszel法で求めた.この方法では性別,年齢以外の因子が調整されておらず,交絡因子として相互に関連していると考えられるので,危険因子であるか否かの判定はロジスティック重回帰分析で行った.
    1)心筋梗塞の追跡調査期間中の発症は非致死的と致死的を加え15例で,1,000人あたり1年間の発症数になおすと1.O9人であった.労作狭心症は35例,1,000人あたり1年間の発症数は2.54人であった.
    2)労作狭心症の性・年齢調整相対危険度は,血清総コレステロール,LDLコレステロール,最大血圧,最小血圧の高いレベルで,またHDLコレステロールの低いレベルで有意に増加した.ロジスティック重回帰分析で労作狭心症の危険因子として認められたのは,血清総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール,最大血圧,最小血圧であった.
    急性心筋梗塞は発症例数が少なく,ロジスティック重回帰分析により年齢のみが危険因子と判定された.
  • 心筋梗塞患者の2,653例の追跡調査中に発症した再梗塞とその危険因子の検討
    木全 心一, 細田 瑳一, 田村 光司, 平盛 勝彦, 南野 隆三, 高野 照夫, 柴田 淳一, 早崎 和也, 高橋 早苗, 小松 行雄, ...
    1997 年29 巻2 号 p. 111-119
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1)対象は1983年から1988年の間に急性心筋梗塞で入院し,退院前に冠動脈造影などの精密検査を受け,梗塞発症後6カ月以上生存した2,653例である.これらの症例で,梗塞発症後6カ月以降に生じた再梗塞と突然死の頻度と,その危険因子について検討を加えた.対象とした因子の各レベルごとの,再梗塞と突然死の性・年齢調整相対危険度をMantel-Haenszel法で求めた.この方法では,性と年齢以外の危険因子の交絡による影響が除去されていないので,危険因子であるか否かの判定は,ロジスティック重回帰分析でオッズ比を求めて行った.
    2)追跡期間は平均3.1年で,その間に再梗塞は90例,1,000人当たり1年間の発症数になおすと10.9人であった.発症6カ月以降でも,一旦心筋梗塞になった症例の梗塞発症数は健常人に比べて高い.同追跡期間中に突然死が13例に認められた.
    3)血清総コレステロールが220-259mg/dl以上で,LDLコレステロールが180mg/dl以上で再梗塞の性・年齢調整相対危険度は有意に高くなった.ロジスティック重回帰分析によって,年齢,血清総コレステロールとLDLコレステロールが再梗塞の危険因子として判定された.
    4)追跡開始前の危険因子の値について,健常者の多い健診会員と心筋梗塞例との間で,年齢と性別をそろえて比較検討した.両群間の最も大きな相違は梗塞群でHDLコレステロールが低く,喫煙本数が多いことであった.第一次予防と第三次予防を検討する際,追跡開始前の危険因子の値が異なることを配慮する必要があると考えた.
  • 毛利 正博, 竹下 彰
    1997 年29 巻2 号 p. 120-121
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 井上 啓司, 寺田 幸治, 計良 夏哉, 里田 雅彦, 森本 聡, 立川 弘孝, 加藤 周司
    1997 年29 巻2 号 p. 122-132
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の急性期に再灌流療法に成功した19症例において,BMIPP心筋シンチグラム(BMIPP), T1心筋シンチグラム(T1)所見および左室壁運動の発症6カ月後までの回復様式を比較検討した.また,BMIPPの経時的変化に影響を及ぼす種々の因子についても検討した.
    6例でBMIPP集積異常の回復は,T1,壁運動の改善に比し同時か遅れて確認された(I群).また7例はT1,壁運動の改善にもかかわらず,6カ月以上BMIPPの回復がみられなかった(II群).
    BMIPPの回復過程には再灌流までの時間とともに急性期のmax CPK, max LDH,ミオシン軽鎖,T1等で間接的に表される心筋虚血の程度が関与していた.すなわち,BMIPPの回復を認めたI群では,早期再灌流により心筋虚血が軽度であった例が多かった.一方,T1と壁運動の回復にもかかわらずBMIPPが改善しないII群では,冠血流の再疎通が遅れ心筋虚血がより高度であった例が多かった.
    また19例中13例において,急性期にT1より高度なBMIPPの集積低下がみられた.その乖離は早期再灌流されBMIPPが改善したI群で著明で,6カ月後には縮小傾向を示した.逆にII群では,T1とBMIPPの乖離は6カ月の経過で拡大した.
    以上より,慢性期における心筋脂肪酸代謝の良好な回復のためには,早期の再灌流が必要であることが示唆された.また,心筋脂肪酸代謝の評価において,再灌流時期の判定・心筋虚血の程度の評価・より長期間の経過観察・T1との乖離の追跡が重要であると考えられた.
  • 玉木 長良
    1997 年29 巻2 号 p. 133-135
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 高橋 淳, 家坂 義人, 合屋 雅彦, 後藤 昌計, 副島 洋行, 徳永 毅, 雨宮 浩, 藤原 秀臣, 青沼 和隆, 井川 昌幸, 野上 ...
    1997 年29 巻2 号 p. 137-144
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左側副伝導路(LAP)の局在の同定における冠静脈洞内単極誘導電位(CSUP)記録の有用性を検討した.LAP症例52例(顕性:30本,潜在性:24本)において,CS内6極あるいは4極電極カテーテル(電極間距離5mm)からUPを同時記録し,アブレーション(CA)成功部位同定における有効性を検討した.CA成功部位は,顕性29本(97%)においては洞調律:時のCSUPの最早期Q波記録電極部位,潜在性18本(75%)においては房室回帰性頻拍時の最早期P波記録電極部位に最も近接していた.残り7本(顕性:1,潜在性:6)は,全例心室側通電によりCAに成功し, 最早期Q波およびP波記録電極から5-10mm離れていた.顕性30本中PQS型は,CSUPより心室側UPにおいて高頻度に検出された(7/30vs20/30:P<0.01).CSUPにおいてPQS型を呈した7本中4本(57%)は,心室側UPではPQS型は検出されずCA無効であり,最終的に房室弁輪上におけるPQS型UP検出部位での通電によりCAに成功した.
    CS内カテーテルより得られた複数単極誘導電位の同時記録法は,APの心房側あるいは心室側付着部同定に有用であり,アブレーション通電部位決定の指標となるとともに,APの解剖学的バリエーションに関する情報を提供すると考えられた.
  • 油布 邦夫, 井上 年夫, 原 政英, 大家 辰彦, 白岩 博晴, 浦上 三郎, 恒松 芳洋, 犀川 哲典, 坂田 利家
    1997 年29 巻2 号 p. 145-149
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.平成7年2月9日強い胸痛を自覚し当科入院.心電図上四肢誘導で低電位を認め,V2~4でST上昇を認めた.入院時冠動脈造影では有意狭窄を認めず,左室造影では著明な壁運動低下を認めた.第2病日にはI,II,III,aVF,V1~6で陰性T波,QT延長を示したが,心筋逸脱酵素の上昇は認めなかった.2週間後にmethergine負荷試験を行ったところ,seg.7に冠攣縮が誘発された.左室造影ではasynergyを認めず,左室壁運動の著明な改善を認めた.心電図上ST-T変化は遷延し3カ月後の心電図で改善傾向を示し,約1年後にはほぼ正常化した.
    本症例は広範なstnned myocardiumを示した冠攣縮性狭心症の1例と考えられた.左室壁運動は短期間で著明に改善したが心電図変化が長期間遷延した1例と考えられたため,若干の考察を加えて報告した.
  • 高野 諭, 加藤 公則, 和栗 暢夫, 磯田 昌岐, 井田 徹, 山浦 正幸, 鈴木 正孝, 庭野 慎一
    1997 年29 巻2 号 p. 150-154
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Werner症候群は青年期発症の成人型早老症で,常染色体劣性遺伝性疾患である.急速に進行する動脈硬化症や悪性腫瘍が死因の主たるものといわれている.よって青年期にすでに高度の大動脈弁や僧帽弁の石灰化の存在が報告されているが,弁膜症として年齢別の進行度について詳細に検討した報告はない.
    今回Werner症候群の1例を33歳から5年間,弁膜症の進行度につき検討したので報告する.
    症例は38歳男性で,22歳時に両側の白内障の手術を受け,この時すでに白髪であり,全身の身体所見からWerner症候群と診断されていた.33歳時心不全となりこの時大動脈弁狭窄症と診断されたが,5年後再度心不全のため入院治療した.この5年間で左室大動脈収縮期圧較差は28mmHgから56mmHgへと増大し,大動脈弁口面積は0.95cm2から0.79cm2と狭小化していた.この変化は通常の石灰化性大動脈弁狭窄症の進行度と大きく異なるものではなく,この年代でのWerner症候群の石灰化性大動脈弁狭窄症が急速に悪化するものではないと考えられた.
  • 杉浦 徹, 成味 純, 宮澤 総介, 宮田 晴夫, 林 淳一郎, 香坂 茂美, 滝浪 實, 原田 幸雄
    1997 年29 巻2 号 p. 155-160
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の男性で,農作業中に足底に釘を刺し,抜去しないで放置した.約1週間後に39度台に発熱したが,右肩関節炎と診断されて整形外科にて洗浄術を施行,排出された膿からは黄色ブドウ球菌が検出された.胸部X線像で心胸郭比の拡大,心電図で広範囲の誘導におけるST上昇,心エコー図で左室後壁側の心嚢液貯留が認められ,入院となった.発熱後の6日頃より収縮期雑音が聴取され,胸部X線像で肺うっ血が生じ,心エコー図で僧帽弁に逸脱と疣贅と思われる異常エコーが認められた.血液培養では黄色ブドウ球菌が検出され,感染性心内膜炎と診断された.緊急手術では,化膿性心膜炎と膿性心膜液貯留,さらには前後尖上の疣贅を伴う僧帽弁閉鎖不全が認められ,弁置換術が施行された.心嚢液からは黄色ブドウ球菌が検出され,抗生剤による治療を加えたが,術後2週間で多臓器不全(MOF)で死亡した.本例は日常的な外傷を放置したことによって化膿性肩鎖関節炎および化膿性心膜炎をきたし,さらには抗生剤治療法の発達した最近ではまれな感染性心内膜炎を併発した症例であり,報告する.
  • 寒川 昌信, 肥後 敦子, 谷口 真, 田辺 潤, 松島 敏春
    1997 年29 巻2 号 p. 161-166
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は心雑音の精査目的で入院した前縦隔腫瘍を有する70歳の男性である.臨床経過と検査成績から,縦隔腫瘍は左下肢足底部皮膚癌からの転移によると考えられた.入院時,第2肋間胸骨左縁で振戦を伴う駆出性収縮期雑音を聴取した.心エコー図による観察では,前縦隔に位置する腫瘤は前胸壁および右室前面に浸潤し,右室壁を圧排することにより右室流出路は著しく狭小化していた.また右室圧負荷所見もみられたことから,本症例の収縮期雑音の起源は前縦隔腫瘍の圧排・浸潤によっておこった右室流出路狭窄によると診断した.心臓腫瘍は種々の臨床症状をひきおこすが,縦隔に遠隔転移したと考えられる悪性腫瘍が心外膜側から右室を圧排し,右室流出路狭窄をきたすことは極めてまれである.
  • 加瀬 誠, 酒井 良彦, 幡野 浩一, 上白土 洋俊, 山口 浩一, 林 輝美, 諸岡 成徳, 佐藤 英章, 入江 嘉仁
    1997 年29 巻2 号 p. 167-171
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.心雑音精査のために来院した.1993年11月, 咳嗽にて当院呼吸器内科を受診し,心雑音を指摘された.1994年4月当科紹介受診,心エコー図にて三尖弁に付着する腫瘤エコーと三尖弁閉鎖不全症を認め入院した.経食道エコー図にて,三尖弁の可動性を制限する腫瘤,右室内に振り子様運動をする有茎性腫瘤,右室から肺動脈にかけび漫性結節性腫瘤を認め,肺動脈内にも腫瘤が充満していた.以上より右心系の心臓腫瘍と診断し手術を施行.腫瘍を可能な限り摘出し,三尖弁置換術と右室流出路形成術および肺動脈弁形成術を施行した.腫瘍は組織学的には粘液腫であった.心臓粘液腫において右室からの発生はまれであり,さらに本例は右心系の広範囲な発育と孤立性の有茎性腫瘤を併発し,組織学的には良性だが臨床的には悪性と考えられ,粘液腫の診断,治療上貴重な症例と考えられた.
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