症例は29歳, 男性. 38°C台の発熱が出現し, 抗生物質を処方されるも左鼠径部の疼痛・発赤・腫脹, 40°Cの高熱が出現したため当院紹介. 蜂窩織炎の診断で入院となった. 入院1時間後よりショックバイタルとなり, 敗血症性ショックを考え, カテコラミン, 大量輸液負荷に加え, カルバペネム系抗生物質, 免疫グロブリン, ステロイド投与を開始したが, 8時間後にはI, II, III, aVL, aVF, V3~6の著明なST上昇, 心筋逸脱酵素の上昇およびび漫性壁運動低下〔左室駆出率 (left ventricular ejection fraction ; LVEF) =21%〕を認めた. 冠動脈に異常はなく, 急性心筋炎の合併と判断し, カテコラミン投与下でも低血圧が持続するため, 大動脈内バルーンパンピングを挿入し, 持続的血液濾過透析, エンドトキシン吸着療法も併用した. 第3病日に起因菌がA群溶連菌と判明. 壊死性筋膜炎を伴う劇症型A群溶連菌感染症と診断し, 創部のデブリードマンを施行. 抗生物質をペニシリンG, クリンダマイシンへ変更し, 創部洗浄を連日施行した. 第5病日には血圧も安定し, LVEFは42%まで改善したため大動脈内バルーンパンピングを離脱. その後, 心機能は徐々に改善傾向を示し, 第30病日にはLVEFが56%まで改善したため, 第34病日に退院となった. 今回, われわれは致死率の高い劇症型A群溶連菌感染症に急性心筋炎を合併し, 救命し得た1例を経験したため報告する.
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