心臓
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34 巻, 9 号
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  • 渡辺 健, 富田 英, 越後 茂之
    2002 年34 巻9 号 p. 693-697
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • イヌの実験成績を中心に
    千葉 茂俊
    2002 年34 巻9 号 p. 699-706
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    哺乳動物の実験に使用されているペントバルビタールの心臓機能に及ぼす薬理作用について,イヌ生体位および摘出心房,心室筋血液灌流標本を用いた実験成績を参考に解説を試みた.
    ペントバルビタールは,明らかに血圧下降を引き起こす用量の投与でも心臓機能(調律と収縮)への直接作用はほとんど見られない.しかし,大董のペントバルビタール投与により,心収縮力抑制効果は出現する.一方,心調律に及ぼす直接作用は徐脈作用であるがその程度は大きくない.また,極端に大量のペントバルビタール投与により強力な心収縮力減少が惹起される.それでも,心調律に及ぼす徐脈作用はそれ程は大きくない.さらに,極端に大用量のペントバルビタール投与では,AVブロックおよび心臓内副交感神経活性の抑制が惹起される.
    ペントバルビタールの心臓循環器系に及ぼす作用としては,生体位では,まず中枢神経抑制作用効果(反射機構の抑制を含む)が最も重要であるが,次に降圧作用,次いで心収縮力低下作用が引き起こされると思われる.また,摘出心筋にペントバルビタールを適用した際には心筋収縮機構を障害して,収縮張力の抑制作用が最も優先的に出現するものと考えられる.
  • ●定量的冠動脈造影法による検討
    内田 俊彦, 井上 晃男, 上白土 洋俊, 高柳 寛, 諸岡 成徳
    2002 年34 巻9 号 p. 707-711
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    短期間での冠動脈硬化性病変の進行,退縮をQCAにて評価し,各種脂質パラメータでそれが予測可能か否かを検討した.
    PTCA非施行血管の近位部に50%以上の冠狭窄病変を有する37例で,平均5.6カ月追跡したMLDの変化を病変進行・退縮指数として評価し,脂質パラメータとの関係を比較検討した.その結果,冠動脈硬化性病変の短期間での進行予測は,Lp(a)でのみ可能であり,Lp(a)は病変進行の独立した危険因子である可能性が示唆された.
  • 中谷 矩章
    2002 年34 巻9 号 p. 712-715
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • ●POBA,cutting balloon,ステント留置による差異
    田中 茂博, 清水 寛, 横山 琢磨, 斉藤 哲也, 矢野 幸平, 定 利勝, 吉良 有二
    2002 年34 巻9 号 p. 717-724
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】小血管径の冠動脈狭窄における経皮的冠動脈形成術(PTCA)の再狭窄率は高く,予後の改善を図る上でPTCA後の冠拡張効果判定は重要である.しかし,血管内エコーの使用は小血管径の冠動脈に対してはしばしば制限され,冠動脈造影所見のみで評価することが多い.それに比較して,Dopplerflow wireは比較的安全に使用可能であり,冠動脈拡張効果判定における機能的評価法として有用である.そこで,小血管径冠動脈のPTCA治療における慢性期成績の予測法として,Doppler flow wireを用いた相対的冠予備能の有用性と限界について検討した.
    【方法】待期的にPTCAを施行した労作性狭心症において,対照血管径が2.8mm以下の症例に対し,古典的バルン形成術(POBA)を施行した40例,cutting balloon 32例,ステント留置33例を対象とした.治療対象冠動脈,および狭窄を有さない対側冠動脈の冠予備能(CFR)を測定し,相対的冠予備能(r-CFR)を算出した.POBA,cutting balloon,ステント留置施行例に対し,それぞれ治療終了時のCFRが≧2.5,<2.5およびr-CFRが≧0.8,<0.8に分類し6カ月後の冠動脈造影所見にる成績を検討した.
    【結果】POBA,cutting balloon,ステント留置における再狭窄率はCFR≧2.5,<2.5間で差は認めなかった.POBA,cutting balloonにおける再狭窄率はr-CFR≧0.8に比べ<0.8で有意に高値であった(POBA;41%vs74%,p<0.05,cutting balloon;36%vs72%,p<0.05).ステント留置における再狭窄率はr-CFR≧0.8および<0.8で差は認めなかった(37%vs50%,n.s).
    【結果】小血管径冠動脈のPOBAおよびcuttingballoonにおいて,r-CFR<0.8の症例の再狭窄率は極めて高率であった.
  • 瀬川 利恵, 柴田 雅士, 茂木 格, 平盛 勝彦
    2002 年34 巻9 号 p. 725-730
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠状動脈起始異常症は冠状動脈奇形のひとつであるが,急性心筋梗塞症や突然死との関連が指摘されている.我々は最近,左前下行枝が右バルサルバ洞に起始し,有意狭窄がないにもかかわらず左室前壁領域の虚血を生じた症例を経験した.当科ではこれまで6例の冠状動脈起始異常症を経験した.今回経験した症例を提示し,6例についての臨床所見をまとめ報告した.3例は右冠状動脈が左バルサルバ洞に起始した症例,2例は回旋枝が右バルサルバ洞に起始した症例,1例は左前下行枝が右バルサルバ洞に起始した症例であった.いずれの症例も,起始異常を呈した冠状動脈は,大動脈と肺動脈の間を通過していた.このうち3例に心筋虚血所見を認めた.
    冠状動脈起始異常症が心筋虚血をきたす機序は明らかでないが,起始異常のある冠状動脈が大動脈から鋭角的に分岐し,開口部がスリット状になり冠血流が阻害される可能性や,冠状動脈が大動脈と肺動脈を通過する症例では,冠状動脈が運動時に血流の増加した両血管により圧迫される可能性などが考えられている.今後,これら6症例について注意深い経過観察が必要と考える.
  • 岡山 悟志, 藤本 眞一, 由谷 親夫, 山路 國弘, 水野 麗子, 福原 慎也, 中嶋 民夫, 椎木 英夫, 橋本 俊雄, 齊藤 能彦, ...
    2002 年34 巻9 号 p. 731-737
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は13歳の女性である.平成10年9月,咽頭痛と39℃ 台の発熱に続いて,頭痛,嘔吐,および動悸が出現したので当科を受診した.心筋逸脱酵素の上昇に加えて,心エコー図検査で高度の左室壁運動低下(EF27%)が認められたので,当科に入院した.心筋生検で中等度の炎症性細胞浸潤と心筋細胞の断裂が認められたので,急性心筋炎と診断した.左室壁運動は,第7病日に正常化した.退院後の経過は順調であったが,平成11年7月に動悸と心エコー図検査で左室壁運動低下(EF33%)が出現したので,再入院した.第2回入院後,心機能は第29病日に正常化した.第2回入院時に実施した心筋生検は,初回生検とほぼ同様の所見を示した.
    急性心筋炎は,通常,急性期を無事に経過すれば比較的予後良好と考えられているが,再発することにも留意する必要がある.
  • 中村 浩士
    2002 年34 巻9 号 p. 738-739
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 渡部 裕, 池主 雅臣, 鷲塚 隆, 保坂 幸男, 奥村 弘史, 田川 実, 古嶋 博司, 阿部 晃, 相澤 義房
    2002 年34 巻9 号 p. 741-748
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.繰り返す失神発作の既往を有し,入院のきっかけとなった意識消失発作時にモニター心電図で心室細動が記録された.安静時心電図のQT間隔は正常で,右室流出路起源の期外収縮がわずかな波形変化を伴って同一の連結期(420msec)で多発していた.非持続性の多形性心室頻拍が繰り返し出現したが,心室頻拍の1拍目の波形は常に一定であった.期外収縮はイソプロテレノールとエピネフリンの点滴で消失し,エドロフォニウム静注では不変であった.心臓電気生理学的検査ではイソプロテレノール負荷を含めた両心室からのプログラム刺激で心室頻拍は誘発されなかった.多形性心室頻拍の1拍目の波形と同一の心室性期外収縮の起源を右室流出路中隔側に同定して,高周波カテーテル焼灼術を行ったところ,標的とした期外収縮は消失し,その後は多形性心室頻拍も認められなくなった.除細動器を植え込み,その後1年問の経過観察で除細動器作動は認めていない.
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