心臓
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36 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 園田 浩一朗, 大江 春人, 原田 敬, 黒田 智寛, 池田 聡司, 宮原 嘉之, 河野 茂
    2004 年 36 巻 9 号 p. 619-625
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,院外性心肺停止(CPA:cardiopulmonaryarrest)患者における積極的加療が行われており,また虚血性心疾患における経皮的冠動脈形成術(PCI:percutaneous coronary intervention)の進歩により治療適応の範囲が拡大している.
    今回我々は,1997年1月から2002年12月までの6年間に当院救命救急センターに搬入されたCPA739例中,心肺蘇生術(CPR:cardiopulmonaryresuscitation)にて心拍再開後,冠動脈疾患が原因と推定した64例に,緊急心臓カテーテル検査(CAG:coronary angiography)を施行し,急性心筋梗塞(AMI:acute myocardial infarction)が原因と考えられた33例のCAG所見,治療,予後について検討した.病変枝数は1枝病変で前下行枝が多く,TIMI(thrombolysis in myocardialinfarction study group)gradeは0および1が多かった.PCI施行群で24時間生存率が高かったが,生存退院例に有意差は認めなかった.生存例は死亡例に比し年齢が低く,Bystander CPR施行例であった.PCI施行群での生存退院例は全例PCI成功例であり,不成功例の予後は不良であった.CPAAMI症例に対する社会復帰を目指した治療戦略としては,Bystander CPRが重要であり,更にPCI成功が重要な因子になる可能性が示唆された.
  • 長尾 建, 上松瀬 勝男
    2004 年 36 巻 9 号 p. 626-628
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 藤野 紀之, 藤本 進一郎, 久武 真二, 高田 美貴, 石田 秀一, 山科 昌平, 武藤 浩, 中野 元, 山崎 純一, 川崎 宗泰, 渡 ...
    2004 年 36 巻 9 号 p. 629-634
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.平成13年12月より発熱が出現し,近医で投薬を受けるも解熱せず微熱が続いていた.平成14年2月12日右前頭葉皮質下出血が認められ,近医に入院し2月21日血腫除去術が施行された.その後も微熱が続き,心エコー図にて大動脈弁閉鎖不全,僧帽弁閉鎖不全および僧帽弁前尖に肥厚所見が認められ再入院となった.入院後の血液培養でα-Streptococcusが検出されたため,5月16日精査加療目的で当院に入院となった.血液培養から再度α-Streptococcusが検出されたため感染性心内膜炎と診断し,抗生剤を投与した.その後,心エコー図で僧帽弁前尖に弁瘤が認められたため僧帽弁および大動脈弁置換術を施行したが,術中に施行した経食道心エコー図にて僧帽弁瘤の穿孔が確認された.
  • 古寺 邦夫, 久保田 要, 畑田 勝治, 森山 裕之, 篠永 真弓, 長島 鎮, 岡崎 裕史, 矢澤 正知
    2004 年 36 巻 9 号 p. 635-640
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本邦では右房粘液腫は若年者に多く,高齢者の報告はまれである.今回我々は,冠動脈疾患を合併した高齢者右房粘液腫の1例を経験したので報告する.
    症例は72歳,男性.労作時息切れ,立ちくらみを主訴に当科外来を受診した.心エコー検査にて右房内腫瘤が認められたため,精査入院となった.腫瘤は7.0×4.7cm大で,拡張期には一部,右室内に脱出する所見を認めた.経食道心エコー検査では腫瘤は短茎を有し,茎の付着部位は心房中隔であることが確認された.胸部MRIでは腫瘤はT1強調像で心筋と等信号,T2強調像で高信号であったことより,粘液腫が疑われた.冠動脈造影では洞結節動脈より栄養血管が派生し,seg.9起始部に90%狭窄を認めた.手術所見では腫瘤は大きさ7.0×4.5×3.0cm,重量70g,心房中隔に短茎で付着し経食道心エコー,胸部MRIの所見とよく一致していた.左内胸動脈を用いseg.9に冠動脈バイパス術を同時施行した.組織所見は典型的な粘液腫であった.
    我々の検索し得た限り,本邦における70歳以上の高齢者右房粘液腫は自験例を含め10例のみであった.また右房粘液腫摘出術と冠動脈バイパス術を同時施行した報告もわずか3例のみであり,極めてまれな症例と思われ報告した.
  • 久我 敦, 清水 雅俊, 三輪 陽一, 高橋 華代, 島 尚司, 辰巳 和宏, 岡田 敏男, 西脇 正美
    2004 年 36 巻 9 号 p. 641-646
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性,腰背部痛の精査中にショックとなった.心エコー図では大動脈が拡大し,右室が前面の腫瘤によって圧排されており,造影CTでは上行大動脈から腎動脈分岐部に及ぶ大動脈解離が認められた.大動脈解離の心嚢内破裂と診断され,ただちに心臓血管外科に転院された.すでに解離腔の血栓性閉塞が認められており,血圧も安定したため,降圧薬の内服と安静で保存的に治療され,CTによる経時的観察で心嚢内血腫は次第に消失した.しかしながら,倦怠感を自覚するようになり,約1カ月後に精査目的で当院へ転院された.また,この頃より低血圧および発熱をきたすようになり,炎症反応の亢進と心電図でST上昇が認められ,奇脈を呈するようになった.心エコー図検査で心嚢液の全周性貯留と右房・右室の虚脱が認められたので,心嚢液の試験穿刺が行われたところリンパ球優位の炎症であった.大動脈解離の再発ではないと判断され,心嚢ドレナージ術が施行された.ドレナージ後に心嚢液の再貯留は認められず,軽快退院となった.本症例は大動脈解離の心嚢内破裂による血腫が吸収される過程で,二次的に自己免疫機序による心膜炎が生じて遅発性心タンポナーデをきたしたものと考えられた.
  • 小倉 理代, 日浅 芳一, 細川 忍, 篠原 勉, 近藤 治男, 藤井 義幸
    2004 年 36 巻 9 号 p. 647-652
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心膜悪性中皮腫は非常にまれな疾患である.生前診断が困難であり予後不良である.今回我々は,開胸下の生検にて確定診断に至り,ゲムシタビンを使用した化学療法で腫瘍縮小効果とQOLの改善を得た症例を経験したので報告する.
    症例は58歳,男性.主訴は呼吸困難.2003年2月中旬より呼吸困難が出現し増悪したため,近医を受診した.エコー上心タンポナーデが疑われ,当科に紹介入院した.緊急心嚢ドレナージにて1400mlの血性心嚢液を排液し,症状は改善した.原因精査を進めたが,画像検査,心嚢液細胞診,腫瘍マーカー,心膜生検において有用な所見が得られず診断に苦慮した.外来にて経過観察中3カ月後再び症状が増悪し,エコー,CT上心嚢内に腫瘍を認めた.確定診断のため開胸下に生検を施行し,免疫組織染色にて心膜悪性中皮腫と診断された.腫瘍は右房外側の腫瘍塊の他左室,右室前面にび漫性に拡がり摘出は不可能であった.ゲムシタビン1000mg/m2の単剤投与を開始し,2クール終了時点でCT上著明な腫瘍の縮小を認めた.自覚症状は改善し退院が可能であった.
    本疾患は手術不能例に対する有効な治療法が報告されておらず,標準的治療法も確立されていない.近年び漫性悪性胸膜中皮腫にゲムシタビンが有効であったという報告が散見されるが,心膜原発の悪性中皮腫においても本薬剤の有効性が示唆された.
  • 佐藤 英一, 大原 貴裕, 磯部 和哉, 荒川 鉄雄, 鈴木 誠, 松村 昭彦, 橋本 裕二, 加藤 全功, 外山 雅章, 小林 俊樹
    2004 年 36 巻 9 号 p. 653-657
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性.労作時息切れを認め,近医より僧帽弁閉鎖不全症の精査のため当科を紹介され,入院となった.心尖部にLevine IV度の全収縮期雑音を聴取した.連続性雑音は聴取しなかった.胸部X線検査では,CTR61%,肺動脈拡張,両心房および左室の拡大,大動脈の石灰化を認めた.心電図では,心房細動,左室肥大を認めた.経胸壁心エコー検査,心臓カテーテル検査にて重症僧帽弁閉鎖不全症と診断し,手術適応と判断した.
    2003年1月15日僧帽弁形成術を予定し開心術を施行した.人工心肺の作動のため脱血を開始し,上行大動脈を遮断直後,肺動脈の拡張を認めた.直ちに経食道心エコー検査を施行したところ動脈管開存症の合併が認められ,手術は中止された.
    再度心臓カテーテル検査を施行したところ,肺/体血流比は1.3で,大動脈造影にて動脈管径は約3mmであった.コイル塞栓術を施行し,3カ月後の大動脈造影で僅かな短絡の残存を認めたが,その後当初予定していた僧帽弁形成術を施行した.その後の経過は順調である.
    以上,重症僧帽弁閉鎖不全症合併のため診断が因難であった成人動脈管開存症の1例を報告する.
  • 中西 敏雄
    2004 年 36 巻 9 号 p. 658-660
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2013/05/24
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