心臓
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46 巻, 6 号
選択された号の論文の36件中1~36を表示しています
OpenHEART
HEART’s Selection(心肺蘇生後の問題点)
HEART’s Original
[臨床研究]
  • 吉村 仁, 菊池 幹, 折口 秀樹, 百名 洋平, 瀬筒 康弘, 橋本 亨, 相良 洋治, 宮田 健二, 野間 充, 毛利 正博, 山本 英 ...
    2014 年 46 巻 6 号 p. 702-708
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     背景 : 非弁膜性心房細動 (NVAF) の最も主要な合併症は心原性脳梗塞であり予防にはワルファリンが用いられてきたが欠点を補う目的で新規経口抗凝固薬 (NOAC) が使用可能となった.  目的 : リバーロキサバンの臨床の場での安全性 (出血に至らずとも効き過ぎと考えられるような事象の有無) と凝固亢進状態に対する効果を検証すること.  対象 : リバーロキサバンを継続使用したNVAF12症例を対象とした.  方法 : 安全性の代用マーカーとしてプロトロンビン時間-国際標準化比 (PT-INR) を内服後3~3.5時間 (推定ピーク値), 内服後約24時間 (トラフ値), 抗凝固薬使用前 (基準値) を測定. 抗凝固状態のマーカーとしてDダイマーを測定した.  結果 : 有害事象は認められなかった. 推定ピークPT-INR 1.43±0.12μg/mL, トラフPT-INR 1.09±0.04μg/mL, 基準PT-INR 1.05±0.04μg/mLであった.  抗凝固療法が未施行の7例にDダイマーを測定した. 4例で開始前に≥0.5μg/mLであったがリバーロキサバン開始後には<0.2μg/mLとなった. また開始前に<0.2μg/mLであった症例も経過中に上昇することはなかった.  結論 : NVAFの患者においてリバーロキサバン開始後のPT-INR値はばらつきが小さく, 推定ピーク値も高くなかった. Dダイマー値は全例開始後<0.2μg/mLとなった.
Editorial Comment
[臨床研究]
  • 水野 篤, 西 裕太郎, 山添 正博, 小松 一貴, 浅野 拓, 増田 慶太, 三橋 弘嗣, 新沼 廣幸, 丹羽 公一郎
    2014 年 46 巻 6 号 p. 710-720
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     背景 : 急性心筋梗塞の急性期における心拍出量をはじめとした血行動態の変化に関する報告はこれまでほとんどがない. Edwards社製のFloTrackTM sensorとVigileoTM monitorを用いれば, スワンガンツカテーテルを用いずに連続動脈圧心拍出量 (arterial pressure-based cardiac output : APCO) モニタリングが可能である. 今回急性心筋梗塞における心拍出量をはじめとした血行動態変化をモニタリングしたので報告する.  方法 : 2012年5月~2012年9月に当院に受診したST上昇型急性心筋梗塞患者連続14名 (年齢 : 65.5±14.1歳) を対象とした. 大動脈バルーンパンピング挿入患者および, 心房細動患者は除外した. Primary PCI (percutaneous coronary intervention) 後7Frシースを留置継続し, 同部位からAPCOモニタリングを施行した.  結果 : 心係数, 一回拍出量係数, 平均血圧に関してはモニタリング開始後から低下し始めた. 開始110分後に開始後と比較して, 平均血圧の低下 (p<0.001), 開始200分後に心係数の低下 (p<0.011), 開始380分後での一回拍出量係数の低下 (p<0.005) が有意となった. 有意差を認める低下後は12時間後まで有意な変化は認めなかった. また, 脈拍数およびStroke volume variationに関しては観察期間中では有意な変化を認めなかった.  結論 : フロートラックシステムを使用することにより, 侵襲度低く急性心筋梗塞後の超急性期における心拍出量モニタリングが可能となった. Primary PCI後心拍出量の低下を認めるが, 3時間後以降は安定し, 12時間後まではその安定効果は持続すると考えられる.
Editorial Comment
[症例]
  • 髙橋 雅之, 表 和徳, 相川 忠夫, 浅川 響子, 檀浦 裕, 小松 義和, 相馬 孝光, 岩切 直樹, 牧野 隆雄, 甲谷 哲郎, 加藤 ...
    2014 年 46 巻 6 号 p. 723-729
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     症例は65歳男性. 2012年8月, 意識消失し自宅階段から転落, 家族により救急要請. 救急車内で無脈性心室頻拍 (ventricular tachycardia ; VT) および心室細動を認め, 不整脈原性の意識消失が疑われ当院搬入となった. 搬入時, モニター心電図はwide QRSとnarrow QRSが入り乱れた異常波形を示していた. 12誘導心電図で下壁誘導のST上昇, 心臓超音波検査所見で壁運動低下を下壁に認めたため急性冠症候群を疑い, 冠動脈造影を施行したところ, 右冠動脈#2 : 100%の所見にて引き続き経皮的冠動脈インターベンション施行し血行再建に成功した. しかし冠疾患集中治療室入床後に血圧低下を伴うサインカーブ様の非持続性VTが散見され, まもなく無脈性VTとなり, 電気的除細動にて自己心拍再開を得た. アミオダロン持続静注を開始したが, 最終的に無脈性VTが頻発し電気的除細動による停止効果も得られなくなり, 循環動態の破綻をきたしたため, 経皮的心肺補助装置を留置した. その後, 透析患者にもかかわらず塩酸ピルシカイニド75mg/日の服用が判明し, 血中濃度高値が予想されたため, 持続的血液濾過透析も開始した. 翌日には洞調律となり循環動態も安定した. VT stormをきたした塩酸ピルシカイニド中毒について, 文献的考察を含めて報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 髙橋 徹也, 近江 晃樹, 豊島 拓, 齋藤 博樹, 桐林 伸幸, 金子 一善, 菅原 重生, 久保田 功
    2014 年 46 巻 6 号 p. 734-740
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     患者は30歳代女性. 神経性食思不振症に伴うるい痩のため, 当院精神科に栄養管理目的に入院中であった. 入院後, 血圧の低下と肺野のうっ血を認めたため当科紹介となった. BNP値が3045pg/mLと上昇し, 低リン血症をはじめとした高度な電解質異常を認めた. 心電図では陰性T波が出現し, 心エコーではたこつぼ心筋症様の左室壁運動異常を認めた. うっ血性心不全として少量のカテコラミンおよび利尿薬を投与し, 致死性不整脈に注意しながら全身管理に努めた. また, 電解質を補正しながら緩徐に投与カロリーの増量を行った. その後, 電解質は補正され, 左室壁運動および心不全の改善を認めた. 低栄養状態にある患者の精神的ストレスや低血糖・疼痛による身体的ストレス, 低リン血症などの電解質異常が, たこつぼ心筋症とRefeeding症候群に伴う心不全の発症に関与している可能性が示唆された.
Editorial Comment
[症例]
  • 三島 健人, 後藤 達哉, 島田 晃治, 大関 一
    2014 年 46 巻 6 号 p. 742-746
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     症例は74歳男性. 1991年に洞不全症候群に対してVVIペースメーカ埋め込み, 1995年にリード断裂に対しリードの追加を施行. 2009年にジェネレータ交換のために入院した際, 顔面浮腫, 腹部膨満あり, 三尖弁閉鎖不全 (TR) 4度を指摘された. 2011年4月肝障害, 腎不全をきたし入院. ペースメーカによる高度のTRが症状の原因と考えられ手術となった. 術前のCT検査では腹水を認め, 心エコー検査では, 三尖弁尖は離開しTR4度を認め, また僧帽弁閉鎖不全 (MR) 2度も認めた. 人工心肺心停止下に僧帽弁輪の形成術を施行した後, 三尖弁を観察すると, 2本のリードのうち使用していない古いリードが後尖とその腱索に癒着し後尖の動きを妨げていた. この癒着を剝離し, 古いリードを抜去した. 三尖弁の弁尖に明らかな異常は認められず, 著明な三尖弁輪の拡大に対し弁輪形成を施行した. 使用しているリードはそのまま温存できた. 術後の心エコー検査でMRは消失, TRは1度となり, 腹部膨満は著明に改善した. ペースメーカ移植後に重度のTRから著明な右心不全をきたし手術にいたる症例は稀と思われる. また, 2本のリードの1本のみ抜去し, 1本を温存し三尖弁を修復した手術の報告は認められず, 稀な症例と考え若干の考察を加え報告した.
Editorial Comment
[症例]
  • 藤田 修一, 小林 正久, 寺﨑 文生, 西田 裕介, 伊藤 隆英, 森田 英晃, 宗宮 浩一, 星賀 正明, 石坂 信和
    2014 年 46 巻 6 号 p. 749-756
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     症例は52歳女性. 関節リウマチで通院加療中であった. 40歳時の健診以来, 心電図で左室肥大を指摘されていた. ファブリー病の濃厚な家族歴 (祖母, 母, 叔父, 妹, 母の従妹, 母の従弟) を有するため, 白血球中α-ガラクトシダーゼA (GLA) 酵素活性を測定したところ, 残存酵素活性は低値であり, また, 心エコー検査では中隔壁厚13mmと非対称性左室肥大が認められ, 心臓MRIの造影遅延像で側壁に濃染域が認められた. 心内膜心筋生検の心筋サンプルの光顕像では, 心筋細胞の細胞質に高度の空胞変性を認め, 電顕像ではセラミドトリヘキソシドの沈着による年輪状, 層状の封入体を認めた. さらにGLA遺伝子に変異が同定され, 心ファブリー病と診断した. 現在, アガルシダーゼαによる酵素補充療法を開始している.
[症例]
  • 近藤 愛, 大和田 尊之, 阪本 貴之, 渡部 研一, 竹石 恭知
    2014 年 46 巻 6 号 p. 757-765
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     症例は50歳代男性. 2日前に胸背部痛や嘔吐, 意識消失発作があり近医受診. 心電図でII, III, aVFのST上昇がみられ, 急性心筋梗塞の診断で当科紹介された. 緊急冠動脈造影 (coronary angiography ; CAG) で#1 100%, #7 75%, #8 90%であり右冠動脈に経皮的冠動脈形成術 (percutaneous coronary intervention ; PCI) を施行. ガイドワイヤーを#4PD末梢まで進め, 最初に光干渉断層法 (optical coherence tomography ; OCT) で#3末梢から冠動脈内を観察した. ガイドワイヤーは真腔を通っており, 血栓による閉塞所見があったため, 血栓吸引を行った. #1~#4PDまでのflowが得られたが, その後#2~#3にバルーン形成術 (plain old balloon angioplasty ; POBA) を施行したところno reflowとなった. 血管内超音波 (intravascular ultrasound ; IVUS) で確認後#3~#1にステントを留置したがThrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) flow grade 0のままであり, 血栓吸引やニコランジルおよびニトロプルシドを冠動脈内注入したが再灌流は得られなかった. その後, 右室梗塞による心不全を起こし, 一時人工呼吸器管理を行った. 第31病日に心臓カテーテル検査を施行. 冠動脈造影では#1よりTIMI flow grade 0であることは変わらなかったが, 回旋枝から#4AVに側副血行路を認めたため, 冠微小循環が回復している可能性があり, #1に対してPCIを施行. #4AV~#1にバルーン拡張を行ったところ, 順行性のflowが得られたため, #1と#4AVにステントを留置し良好なflowを得た. 急性期にTIMI flow grade 0となったが, 慢性期に再灌流に成功した症例であり報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 須賀 俊博, 須賀 裕子, 山岸 高宏, 鈴木 忠, 倉林 正彦
    2014 年 46 巻 6 号 p. 769-775
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     ショックを合併した急性冠症候群 (acute coronary syndrome ; ACS) は死亡率が約40%と高く, 多枝病変が多い. 急性期にどこまで血行再建を行うかのコンセンサスはない. 症例1は80歳女性. ショック合併ACSの診断で緊急冠動脈造影 (coronary angiography ; CAG) 実施. 左前下行枝 (left anterior descending artery ; LAD) と右冠動脈 (right coronary artery ; RCA) の亜完全閉塞を認めRCAとLADに一期的にカテーテル治療 (percutaneous coronary intervention ; PCI) 実施したところ状態改善し退院した. 症例2は61歳男性. 同様にショック合併ACSの診断で緊急CAG実施. 左回旋枝 (left circumflex artery ; LCX) 完全閉塞, LAD亜完全閉塞であった. LCXに緊急PCI実施し, LADは二期的に治療する方針としたが, 血行動態は徐々に悪化し, 第6病日にLADにPCIを実施したところ状態は改善した. 症例3は80歳女性. ショック合併ACSの診断で緊急CAG実施. 左冠動脈主幹部 (left main trunk ; LMT) -LADおよびLCX, RCAが亜完全閉塞であった. LCXおよびLMT-LADに緊急PCI実施し血行動態改善した. ショック合併ACSを3例経験したが, 最近1年間のACS94症例を振り返ったところショック合併症例はショック非合併症例に比べ多枝病変合併率および死亡率が高く, 一期的に多枝血行再建を要する症例が多い傾向を認めた.
Editorial Comment
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[症例]
  • 吉本 大祐, 安在 貞祐, 野口 圭士, 小室 薫, 広瀬 尚徳, 米澤 一也, 伊藤 一輔
    2014 年 46 巻 6 号 p. 780-787
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     症例は75歳, 女性. 20年来の高血圧, 糖尿病で加療されており, 2007年に超音波検査と非造影MRAで両側腎動脈狭窄が疑われたが, ヨード造影剤アレルギーのため, 造影検査や経皮的腎動脈形成術 (percutaneous transluminal renal angioplasty ; PTRA) は困難であり, 薬物療法を行っていた. 2012年6月にふらつきを自覚し, 受診時に収縮期血圧が200mmHg台まで上昇しており, 精査加療のため入院となった. 超音波検査で両側の腎動脈狭窄は進行しており, 降圧薬を6剤併用したが, 安静時血圧160/50mmHgとコントロール不良であった. 血圧コントロールにはPTRAが必要と考えたが, ヨード造影剤アレルギーのため, 代替造影剤として炭酸ガスを用いることとしてPTRAを施行した. 炭酸ガス造影と血管内超音波 (intravascular ultrasound ; IVUS) を用いて, 2012年7月に右腎動脈, 8月に左腎動脈のPTRAに成功し, その後の降圧薬は4剤併用で安静時血圧130/50mmHgまで低下し退院となった. ヨード造影剤アレルギーの両側腎動脈狭窄による治療抵抗性高血圧に対し, 炭酸ガス造影を用いてPTRAに成功し良好な降圧効果が得られた1例を経験したので報告する.
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[症例]
  • 森 光晴, 申 範圭, 高橋 辰郎
    2014 年 46 巻 6 号 p. 790-796
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/12
    ジャーナル フリー
     薬剤治療抵抗性の冠動脈心筋内走行 (myocardial bridging ; MB) の症例に対し, 冠動脈造影 (coronary angiography ; CAG) による術中評価のもとにオフポンプ下に確実に心筋切開術を施行し, 良好な結果を得たので報告する. 症例は70歳, 女性. 4年前より労作性狭心症状を認め当院受診. 冠動脈CTで左前下行枝 (left anterior descending artery ; LAD) #7の心筋内走行が疑われCAGを施行. 有意狭窄を認めなかったが, LAD #7の広範囲に収縮期milking effectを認めた. 心臓超音波検査 (UCG) で非閉塞性肥大型心筋症, 負荷タリウム心筋シンチグラフィーでLAD領域の虚血が証明された. β-blockerによる薬剤治療を開始したが, 症状の改善を認めず手術治療の適応となった. 手術はオフポンプ下にハートポジショナーとスタビライザーを用いてLADを露出, 円刃と尖刀により心筋内走行部分の冠動脈上心筋切開術を行った. 全長にわたり心筋内走行LAD前面を露出した段階で術中CAGを施行, 中枢側に収縮期milking effectの残存を認めたため, 残存心筋組織を切開した. 再度CAGを行いmilking effectの消失を確認した. 術後, 狭心症状は消失し経過良好である.
Editorial Comment
第3回重症肺高血圧症カンファレンス
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