心臓
Online ISSN : 2186-3016
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46 巻, 8 号
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OpenHEART
HEART’s Selection(外科的弁形成術の最新動向)
HEART’s Original
[臨床研究]
  • 谷合 誠一, 山崎 聡子, 飯島 毅彦, 萬 知子, 井原 玲, 波利井 清紀, 佐藤 徹, 吉野 秀朗
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1071-1079
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     2007年American Heart Association (AHA) とAmerican College of Cardiology (ACC) により非心臓手術の周術期管理ガイドラインが発表された. このガイドラインの有用性を損なわず, さらに簡便な方法で非心臓手術術前評価を行うため, 術前評価用スクリーニングシート (Kyorin Cardiac Perioperative Screening ; KCPS) を作成し, これを評価した. 2009年1月から4月に杏林大学形成外科で全身麻酔によって行われた非小児手術患者の237名 (男性110例, 年齢47±17歳) を対象とした. 手術前にKCPSを使用し, この結果をフローチャートでCategory 1~4 (以下C1~C4) に分類した. C3とC4に該当する症例は循環器内科で評価した. 237例中177例 (75%) でKCPSを使用した. C1 166例, C2 4例, C3 1例, C4 6例であった. 14例が循環器内科を受診し, いずれも問診, 負荷検査を行ったうえで手術を施行した. この方法で術後にイベントを発生したものは2例 (発作性心房細動, 無症候性ST変化) のみであった. KCPSによる非心臓手術術前評価スクリーニングは, 非心臓外科手術の術前循環器評価を簡便かつスムーズに行う有用な方法であると示唆された.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 水野 篤, 西 裕太郎, 山添 正博, 小松 一貴, 浅野 拓, 増田 慶太, 新沼 廣幸, 丹羽 公一郎
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1083-1089
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     背景 : 過去に抗凝固薬における内服薬種類変更に伴うアドヒアランスの変化をみた研究はない. 今回心房細動患者における抗凝固薬のアドヒアランスを薬剤変更前後でアンケート調査にて確認した.  方法 : 心房細動において, 抗凝固薬を内服している患者のうち, リバーロキサバンに変更した患者全例を対象とした. リバーロキサバン開始時と次回約3カ月後の外来時にアドヒアランスに関するアンケートを行った.  結果 : 対象患者は40人 (平均年齢70.1歳, 男性7割). 変更前の抗凝固薬はアスピリン1人 (2.5%), ダビガトラン30人 (75%), ワルファリンが9人 (22.5%) であった. アンケート結果では, 開始前にも32.5%の患者が内服し忘れたことがあり, 3カ月の間に2.47±4.0回内服忘れることがあるということであった. 変更後のアンケート結果では3カ月間での薬を飲まなかった回数/日数のみ1.1±2.2回と有意に低下していた (p=0.008). アスピリン・ワルファリン群では有意に変化せず (p=0.285), ダビガトランからの変更群でのみ有意に3カ月間での薬を飲まなかった回数は改善した (p=0.018). 内服回数が2回以上の群では2.1回±3.6回から1.0±1.6回まで減少傾向を認めるものの, 有意差はなく (p=0.066), 内服回数が1回の群2.9±4.5回から1.2±2.6回に有意に減少した (p=0.046).  結論 : リバーロキサバン変更により内服を忘れる回数は有意に減少し, アドヒアランスによい影響を及ぼすと考えられた. さらにその効果は特にすべての内服薬を含めた服用回数が1回のものに顕著であると考えられる.
[症例]
  • 北原 博人, 内野 学, 岩澤 健
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1090-1093
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     症例は65歳男性で, 進行する労作時息切れを主訴に精査を受け, 大動脈四尖弁に伴う重症大動脈弁閉鎖不全症と診断され, 手術適応と判断された. 手術所見では四弁尖がほぼ均等なタイプで, 弁尖の線維性肥厚による接合不全が弁閉鎖不全の原因と考えられた. 4つの交連部に高度の有窓化 (fenestration形成) が認められたが, 心エコー所見からは弁閉鎖不全とは関連無いものと思われた. 生体弁による大動脈弁人工弁置換術が行われ, 術後経過はスムースであった. 大動脈弁の有窓化の成因はいまだ十分に解明されていないが, 機械的要因の関与が推測されている. 大動脈四尖弁の有窓化に言及した論文は少ないため報告する.
[症例]
  • 荒木 徹, 北田 邦美, 小寺 亜矢, 藤原 かおり, 野田 卓男, 尾山 貴徳, 大月 審一, 佐野 俊二, 高橋 伸方, 野島 郁子, ...
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1094-1100
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     症例は2歳, 男. 出生前に左心低形成症候群 (HLHS) を疑い, 出生後に確診. 日齢4で両側肺動脈絞扼術, 1カ月で三尖弁形成術 (TVP) を行ったが, 重症三尖弁逆流 (TR) による心不全のため, 人工呼吸管理, プロスタグランジンE1, カテコラミン, フロセミド, 抗生物質投与, 中心静脈栄養を継続した. 7カ月でNorwood-Glenn術, TVPを行い, 症状は改善し, 集中治療から離脱した. 一方, 4カ月ごろまで肝機能障害, 高ビリルビン血症を合併し, 胆嚢結石をCTで3カ月, X線写真では11カ月で認めた. 2歳6カ月で嘔吐, 白色便, 肝機能障害, 高ビリルビン血症で発症. CTで総胆管結石を認め, それによる閉塞性黄疸と診断した. 嘔吐出現後20日で自然排石されたが, 閉塞性黄疸既往のHLHS例であり, 総胆管結石再発や胆嚢炎, 膵炎のリスクを考え, 嘔吐出現後27日で胆嚢摘出術を行った. 先天性心疾患 (CHD) の胆石形成危険因子にはチアノーゼ, 人工心肺使用, Fontan計画例, 薬剤, 中心静脈栄養などがあり, 本症例もこれらと胆石症発症の関係を考えた. CHDの合併症として胆石症は重要で, 重症CHDはより注意が必要である. 胆石症症候化は, 胆嚢炎, 膵炎から肝不全やDICを合併する可能性があり, 胆石症手術のリスクは高くなる. 胆石陰影増強やサイズ増大などの変化に注意し, 全身状態を加味して胆石症の手術適応を熟慮することが重要と思われた.
[症例]
  • 北條 禎久, 三好 麻衣子, 井村 真里
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1101-1106
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     左冠動脈主幹部の狭窄に対する治療として冠動脈バイパス術が一般的で, 本邦では2000年以降はオフポンプバイパス術の普及によるためか孤立性冠動脈入口部狭窄症例に対する入口部パッチ拡大術は数例の報告があるのみである. 最近欧米では孤立性冠動脈入口部狭窄症例に対する冠動脈入口部パッチ拡大術の長期成績が報告され, その適応が見直されている. 今回われわれは2例の冠動脈入口部パッチ拡大術長期観察例を経験したので報告する.  症例は43歳女性と66歳男性の2例でいずれも労作時の胸痛で冠動脈造影を施行され, 孤立性左冠動脈入口部狭窄と診断された. 2例とも体外循環・心停止下に大動脈から左冠動脈幹に無処理の自己心膜でパッチ拡大形成した. 術後経過良好でそれぞれ術後8年目と12年目に冠動脈CT, 心筋シンチ, エコー検査で評価したがtrivialな大動脈弁逆流認めるだけでパッチ拡大部の狭窄や瘤化は認めず, また心血管イベント発症もなく良好な結果であった.
Editorial Comment
[症例]
  • 田中 修平, 福井 昭男, 菊地 翼, 高橋 克明, 高橋 健太郎, 玉田 芳明, 松井 幹之, 矢作 友保, 後藤 敏和, 深沢 学
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1108-1112
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     症例 : 80歳代男性.  主訴 : 呼吸困難感.  既往歴 : 高血圧で近医加療中.  現病歴 : 2013年1月初旬から労作時の呼吸困難感が出現し, 徐々に増悪するため, 7日後にかかりつけ医を受診した. 胸部X線写真で肺うっ血, 胸水貯留を認めた. 腹部に巨大腫瘤を触知, 同部位に連続性雑音を聴取した. 急性心不全として, 精査加療目的に当院紹介, 搬送となった.  経過 : 心エコーでは心機能は良好で, CTにて右総腸骨動脈瘤径90×97mm, 動脈相にて動脈瘤近位部で下大静脈の描出を認め, エコーでシャント血流を認めたことより, 総腸骨動脈瘤による動静脈瘻が心不全の原因と考え, 心臓血管外科と相談のうえ緊急手術を施行した. 術後速やかに心不全は軽快し, 経過良好で退院となった.  まとめ : 高心拍出性心不全の原因疾患として動静脈瘻は重要な鑑別疾患の1つである. 透析シャント, 癌, 外傷, 医原性合併症などの報告が多くみられるが, 動脈瘤動静脈瘻は比較的稀であると考え報告した.
Editorial Comment
[症例]
  • 大久保 健志, 矢野 利明, 土田 圭一, 池上 龍太郎, 佐藤 迪夫, 真田 明子, 小林 剛, 保坂 幸男, 尾崎 和幸, 高橋 和義, ...
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1114-1118
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     気管支喘息とアレルギー性鼻炎をもつ63歳男性. 安静時胸痛のためエルゴノビン負荷試験を施行し, 左冠動脈2枝閉塞となり, 冠攣縮性狭心症にて内服を開始. 1カ月後に発作が再発し, 入院するも, 治療抵抗性で, 喘息悪化を契機に重度の虚血発作を起こし, 一時心肺停止状態となった. Ca拮抗薬, 硝酸薬, ニコランンジルを増量し, 喘息に対してはステロイド吸入を開始し, 狭心症発作は鎮静化した. 半年後にアナフィラキシー様症状と喘息発作を契機に胸痛発作が増悪した. アレルギー増悪が関与した冠攣縮性狭心症と考え, ステロイド内服を開始し, 症状抑制が可能となった. その15カ月後, ステロイドを6mgまで漸減したところで胸痛発作が再燃し, 好酸球の再上昇やアレルギー症状の再燃を伴っていたため, ステロイドを再増量し, 症状を鎮静化し得た. アレルギー学的機序を背景とした難治性冠攣縮性狭心症に対し, ステロイドが奏効した稀な症例を報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 小西 崇夫, 山下 洋平, 大崎 歩, 北井 敬之, 因幡 健一, 上田 俊秀, 篠原 克典, 岩崎 誠, 千先 康二
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1122-1127
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     症例は36歳男性. 左下腿の腫脹および疼痛が出現し当院を受診した. 下肢静脈超音波検査および肺動脈・下肢造影CTで, 左下肢と左肺動脈に血栓像を認め, 深部静脈血栓症による非広範型の急性肺血栓塞栓症と診断した. 原因検索のため行った下肢静脈超音波検査の再検と下肢MRI検査上, 足関節底屈時に左膝窩静脈が腓腹筋内側頭によって圧迫される所見を認め, 左膝窩静脈捕捉症候群と診断した. 膝窩静脈捕捉症候群は, 他の血栓素因が加わった場合に静脈血栓塞栓症を発症する場合があるといわれているが, 鑑別診断として念頭に置かないと見逃してしまう可能性がある. 今後, 若年者で原因不明の静脈血栓塞栓症を認めた場合, 膝窩静脈捕捉症候群の可能性も考慮して診断を進めるべきと考えられた.
[症例]
  • 櫻井 将之, 近藤 誠太, 辻田 裕昭, 吉津 徹, 小澤 興
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1128-1133
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     症例1 : 67歳男性. 冠危険因子 : 高血圧, 糖尿病, 喫煙. 2011年11月に不安定狭心症で冠動脈造影を行い, 左前下行枝#6 90%に対してEndeavorステントを留置した. 半年後, 胸痛頻回で外来受診. その際の冠動脈造影で有意狭窄認めず, ステント内再狭窄も認めなかったが, 胸痛頻回のため冠攣縮を疑いアセチルコリン負荷テストを行った. その結果, 3枝に強い冠攣縮を認めた.  症例2 : 50歳男性. 冠危険因子 : 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症. 2011年12月に労作性狭心症で冠動脈造影を行ったところ, 左回旋枝#13 75%でありNoboriステントを留置した. 半年後, 明け方に胸部圧迫感を認め, 救急外来受診. その際の冠動脈造影で有意狭窄認めず, ステント内再狭窄も認めなかった. しかし, 経過より冠攣縮が強く疑われたため, アセチルコリン負荷テストを行ったところ, Noboriステント前後に強い冠攣縮を認めた.  考察 : この2症例より第2世代薬剤溶出性ステントにおいてもステント留置後の内皮機能障害を引き起こす可能性が示唆された.
Editorial Comment
[症例]
  • 平井 俊浩, 八巻 多, 石破 光咲子, 井澤 和眞, 酒井 博司, 青沼 達也, 島村 浩平, 佐藤 伸之, 長谷部 直幸
    2014 年 46 巻 8 号 p. 1136-1142
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
     Drug eluting stent (以下DES) 留置後には内皮化の遅れや, ポリマーへの免疫反応の影響で, 一定の確率で超遅発性ステント血栓症 (Very late stent thrombosis ; VLST) が発生し, 長期管理における課題である. しかし, Bare metal stent (以下BMS) 留置後でも新生内膜の破綻によってVLSTをきたすことが最近の文献で示唆され, 発生率はDESと比較し少ないが, 一定の確率で生じ, ときに致命的となる. 今回BMS留置後のVLSTと考えられる3症例を経験した. いずれも5年以上前の急性心筋梗塞 (Acute myocardial infarction ; AMI) 発症時にBMSが留置されていた. ステント内病変によるAMIの再発であり, ともに大量の血栓が吸引された. 急性期および慢性期にintravascular ultrasound (以下IVUS) およびoptical coherence tomography (以下OCT) の観察により, 新生内膜における新生アテローム性変化が示唆された. したがって, 新生内膜の破綻の予防, つまり新生内膜における動脈硬化性変化の進展予防も肝要と考えられる. また, 2症例において抗血小板薬が休薬されており, VLSTのリスクとなることが示唆される. BMS留置後においてもVLSTは無視できない問題である.
シンポジウム:PAHに伴う心肺病変について考えるシンポジウム
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