The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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ISSN-L : 0368-2781
バーチャルイシュー
70 巻, 6 号
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総説
原著
  • 阿南 直美, 山城 秀仁, 吉田 立, 佐藤 剛章, 内藤 陽, 山野 佳則
    2017 年70 巻6 号 p. 313-324
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー

    2012年に全国17医療施設で分離されたPseudomonas aeruginosa, Acinetobacter spp., Enterobacteriaceaeのカルバペネム系薬に対する感受性を比較した。P. aeruginosa 123株のmeropenem, doripenem, imipenemに対する感性率はそれぞれ79.7, 83.7, 72.4%, Enterobacteriaceae 968株のそれぞれに対する感性率は99.6, 99.5, 75.4%であり,imipenemの感性率は他の2剤と比べて低かった。一方,Acinetobacter spp. 91株の感性率はいずれも97.8%であった。過去21年間におけるカルバペネム耐性P. aeruginosa分離率は,imipenem耐性またはmeropenem耐性の分離率が2002年と2010年に,doripenem耐性の分離率が2010年に一過的に増加していたが,2012年には2002年,2010年以外と同水準を示した。また,カルバペネム系薬3剤において,耐性株分離率はdoripenemが常に低かった。2002年から2012年の多剤耐性P. aeruginosaの分離率は1.1 ~5.8%,カルバペネム耐性Enterobacteriaceaeは0.0 ~0.7%であり,2002年から2012年の間に増加傾向は認められなかった。多剤耐性P. aeruginosa からはblaIMPblaVIMが検出された。多剤耐性Acinetobacter spp. は2010年のみで分離(4.7%)され,blaOXA-58 が検出された。

  • 木戸 直徳, 村谷 哲郎, 大野 潤一, 鏡 優衣, 永岡 沙祐里
    2017 年70 巻6 号 p. 325-336
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー

    平成26年4月から平成27年1月までに健康な検査系学生の便検体を用いて,薬剤耐性腸内細菌科の保菌状況を調査した。期間中に40名50検体から86株の腸内細菌科が検出され,Escherichia coliが54株(63%)と最も多かった。第3世代セファロスポリン系薬剤またはキノロン系薬剤に耐性が認められたのはE. coliのみであり,他の菌種では認められなかった。また病院実習前後で新たな薬剤耐性菌が検出された学生はいなかった。キノロン耐性E. coliは14株( 26%)で,非感受性株2株を含めるとE. coli全体の30%であった。基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生E. coliは4名から5株検出され,全菌株中の5.8%, E. coli全体の9.3%,全学生中の10.0%(4/40)であった。いずれもCefotaxime(CTX)に耐性を示し,塩基配列を決定したところ,CTX-M-14が4株,CTX-M-27が1株であった。5株のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンは同一患者由来株を含め,いずれも全く異なるパターンを示し関連性は認められなかった。今回の結果より,キノロン耐性E. coliおよびESBL産生E. coliはすでに健康成人にも広がっていることが示された。このような耐性菌保菌調査を行い,結果を公表することは,学生に薬剤耐性菌に対する共通認識を持たせるとともに,自分がいつ何時でも保菌者・感染者に成り得ることを自覚させることができるため重要であると考える。

資料
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