心臓
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23 巻, 2 号
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  • 肺高血圧,三尖弁閉鎖不全と僧帽弁逸脱を主徴とする病態
    大和 眞史, 原田 健志, 武田 昌慶, 宮下 保男, 島倉 唯行, 岩村 文彦, 迫村 泰成, 長田 和裕, 治田 精一, 柳沢 信夫
    1991 年 23 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    基礎心疾患がない, 甲状腺機能充進症に伴う重症心不全の病態を臨床的に検討した.対象は, 未治療ないし治療不十分な甲状腺機能充進症で, 心不全例11例, 対照例29例である.背景因子, 超音波検査, 心臓カテーテル検査, 予後を検討した.
    心不全例の背景因子として, 高齢, 甲状腺中毒症の長い罹病期間, 心房細動を認めた.心不全例の全例に, 右心系の拡大と中等度以上の三尖弁閉鎖不全を超音波検査で認めた.治療前にカテーテル検査を行った6例全例で肺高血圧, 肺動脈模入圧上昇を認め, これらの所見は治療により可逆的であった.8例で僧帽弁逸脱を認め, そのうちの1例は甲状腺中毒症状出現と共に新たに出現したと考えられた.また3例は治療により消失した.7例で, 中等度以上の僧帽弁逆流をパルス・ドップラー法で認めた.心不全治療の要点は, 頻脈の是正, 水分管理, 過剰な甲状腺ホルモンの是正であった.1例の突然死を除き, 治療への反応はよく, 平均24.9カ月の経過観察で予後は良好であった.
    以上の検討から, 基礎心疾患のない甲状腺機能充進症に合併する重症心不全は, 左房圧上昇に由来したと考えられる肺高血圧, 三尖弁閉鎖不全を特徴とし, 頻脈性心房細動と僧帽弁逸脱を重要な増悪要因とすると考えられた.
  • 高瀬 凡平, 栗田 明, 菅原 博子, 丸山 寿晴, 上畑 昭美, 西岡 利彦, 永吉 広和, 里村 公生, 水野 杏一, 中村 治雄, 神 ...
    1991 年 23 巻 2 号 p. 133-143
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近注目されている無症候性心筋虚血発作と, 疹痛物質とされているブラジキニン(BK)やプロスタノイド代謝との関係を検討し, これらに及ぼす塩酸diltiazemの影響を労作性狭心症例20例について調べた.
    労作性狭心症例をCanadian Cardiovascular Society 3度にあたるGroup1(G1)6例と2度のGroup2(G2)14例に分け, 48時間ホルター心電図と運動負荷試験を施行し, 血中BK, thromboxaneB2(TXB2)および6KetoPGF1α(6KPGF1α)の値を測定し, 一部の症例に塩酸diltiazem1日90mgを2週間投与し, 塩酸diltiazemの影響を検討した.
    その結果, ホルター心電図において認められた無症候性心筋虚血発作頻度はG2に比べG1に高く(16.8±10.1回/48時間vs5.1±6.0, p<0.01), 運動耐容能はG1に低かった(308±102秒vs426±114, p<0.05).BKやTXB2/6KPGF1α と無症候性心筋虚血発作との間には相関係数r=0.56(p<0.05)およびr=0.36なる関係が認められた.
    塩酸diltiazemはG2の運動耐容能を有意に改善し, 無症候性心筋虚血頻度やプロスタノイド代謝を改善する傾向が認められた.
    ホルター心電図において認められる無症候性心筋虚血発作においても通常の狭心発作と同様にBK, プロスタノイド代謝の異常が関与することが考えられ, BK, プロスタノイド代謝は日常生活における心筋虚血の程度に関与することが示唆された.また塩酸diltiazemはこれらを改善する傾向を有した.
  • 岸田 浩
    1991 年 23 巻 2 号 p. 144-146
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 原田 務, 石田 貴和, 中村 仁, 中村 千里, 川副 泰隆, 星 まり, 平本 龍吾, 網代 成子, 林 龍哉, 長谷川 久弥, 竹内 ...
    1991 年 23 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1987年1月より1989年6月までの2年6カ月間に19例の筋性部心室中隔欠損症を経験し, 生後6カ月以内に閉鎖した8例を含む10例に自然閉鎖を認めた.これは同時期に経験した全心室中隔欠損症167例のll%にあたり, 自然閉鎖率も52.6%で, 発生率, 閉鎖率ともに従来の報告より高率であった.これは, 断層心エコー図の進歩やカラードプラ法の出現により心室中隔の心尖部付近まで詳細に検索できるようになった事などが大きな要因と考えられる.また, これら19例の筋性部心室中隔欠損症の中では, 乳児期に外科的治療を要した例はなく, 1歳まで強心剤投与をした例が1例あるのみで, 概して軽症例が多かった.
  • 中沢 誠
    1991 年 23 巻 2 号 p. 152-153
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 堂山 清, 廣瀬 邦彦, 小菅 邦彦, 川上 佳秀, 森川 雅, 冨岡 宣良, 渡辺 裕
    1991 年 23 巻 2 号 p. 155-161
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    老年者の急性心筋梗塞(AMI)の予後は不良とされている.当院循環器科開設以来のAMIの急性期生存率を検討したところ, 70歳以上の生存率は72%で, 70歳未満の生存率93%に比して有意に低かった.そこで70歳以上の老年者AMIの臨床像, 血行動態, 急性期予後について70歳未満のAMIと比較検討し, 以下のような結論を得た.
    1)70歳以上の急性期生存率は, 70歳未満の生存率に比して有意に低かったが, 70歳台と80歳台の生存率に有意差はなく, 生存率に性差はなかった.
    2)70歳以上のAMIでは梗塞部位, 梗塞回数, CPKmaxはいずれも生存率と明らかな関係がなかった.対照とした70歳未満の群ではこれらは予後因子であった.また冠血管危険因子, 因子数, 不安定狭心症の有無は予後因子とならなかった.
    3)70歳以上のAMIでは70歳未満のAMIに比して, 合併症として心不全, ショックが多く, 入院時KillipII以上が35%を占め, 血行動態を調べたうちForresterI群は38%に過ぎなかった.また生存率は心不全合併例で有意に低かった.
    以上より老年者AMIの予後不良の一因として加齢が考えられ, 予後改善のためには, 一見軽症と思える症例でも厳重に血行動態を把握し, 適切かつ迅速な治療が必要であると考えられた.
  • 数間 紀夫, 多田羅 勝義, 金 年和, 伊藤 けい子, 李 慶英, 浅井 利夫, 木口 博之, 草川 三治, 近藤 友一, 堀池 香
    1991 年 23 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    洞調律であった心室中隔欠損症の経過観察中に, 完全房室ブロックに移行した8歳の女児例を報告する.
    患児は, 4カ月健診で心雑音を指摘され, 心室中隔欠損症の診断で経過観察されていた.初診時の心電図所見は, 洞調律で不完全左脚ブロックパターンであった.年に1~2度の定期検診を続けたが, 常に心電図は洞調律であった.その間に心筋炎, 感染性心内膜などの感染症や膠原病の罹患はなかった.7歳時の検診で心拍数50/分, 心電図は完全房室ブロックであった.翌年, 心臓カテーテル検査およびヒス束心電図, 心血管造影を施行した.心室中隔欠損は左右短絡量5%以下の膜性周辺型で肺動脈圧は正常であった.ヒス束心電図から, ヒス東内ブロックによる完全房室ブロックと診断した.
    手術適応のない軽度の心室中隔欠損症の場合にも, 本例のように7年後に完全房室ブロックに移行する例もあることから, 長期にわたる経過観察は必要である.
  • 鈴木 和彦, 宮沢 総介, 小柳 勝司, 芝田 貴裕, 新井 達太
    1991 年 23 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,経皮的バルーン血管形成術は多岐の疾患にわたり応用されるようになってきた.今回我々はBlalock-Taussig短絡の吻合部狭窄に対し経皮的バルーン血管形成術を施行した2症例を経験し,良好な結果を得た.
  • 笠井 篤信, 西川 英郎, 小野 直見, 海野 雅澄, 角田 裕, 中野 赳
    1991 年 23 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左室病変を伴う不整脈源性右室異形成症(以下ARVD)の1例を経験したので報告する。患者は56歳, 女性, 失神を主訴として来院した.入院時心電図にて左脚ブロック型の心室頻拍を認め, 後日, 右室造影で, 下壁から心尖部にかけて瘤状変化を伴う壁運動低下, 心尖部から流出路にかけて鋸歯状変化, 流出路の瘤状変化を伴う壁運動低下が見られ, ARVDと診断した.本症例ではさらに, 左室造影で心尖部下壁側, 後壁に憩室様変化を認めた.また, 家系内に兄の不整脈死を思わせる突然死および姉, 弟のARVDに特徴的な心電図異常(左脚ブロック型心室性期外収縮, 広範な陰性T波)があり, 家族歴を有する可能性があった.
    ARVDではlatent left ventricular dysfunctionがしばしば存在し, ARVDをgeneralized cardiomyopathyの1型として捉えようとするものもある.しかし, 断層心エコー図, 左室造影で左室壁運動異常を呈示したものはいまだ少なく報告に値すると思われた.また, ARVDの同一家系内発症の報告はあるが, その遺伝形式については一定の見解がない.本疾患では突然死を予防するために広範な家系調査が必要と思われる.
  • 小竹 親夫, 高岡 秀幸, 鈴木 聡, 林 孝浩, 川口 慶三, 瀬尾 俊彦, 戸田 常紀, 小林 克也
    1991 年 23 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    SLEが心タンポナーデを初発症状とすることは極めて少なく今までに4例が報告されているにすぎない.さらに肺高血圧症を初発症状とした例も我々が調べた範囲では今までに2例にすぎない.今回我々は肺高血圧症と心タンポナーデを初発症状としたSLEの1例を経験したので報告する.症例は18歳女性.昭和63年2月16日, 咳が出現したため近医を受診し速脈および著明な心拡大を指摘され本院入院となった。入院後, 心エコーにて多量の心嚢液貯留, 左房と右房の拡張期虚脱および右室腔の拡大を認めた.S℃ カテーテルにて肺動脈圧78/40mmHg, 右室圧78/10mmHg拡張末期圧15mmHgと著明な肺高血圧症および拡張充満期圧の上昇を認めた.一方臨床検査にて抗DNA抗体80倍, 抗核抗体2,560倍, 補体の低下, 持続する蛋白尿を認めた.以上より肺高血圧症と心タンポナーデを初発症状としたSLEと診断した.心膜切開術を施行し血性心嚢液2,000mJを除去した後ステロイド療法を施行したが肺動脈圧は40/20mmHgと肺高血圧症は残存し不可逆的な肺および肺血管病変が示唆された.肺高血圧症を合併したSLEは予後不良であり右心不全死や突然死をきたすといわれている.同様に心タンポナーデを認めた場合も心膜切開術やステロイドパルス療法などの十分な管理が必要であり, どちらもSLEの重篤な合併症であり注意が必要であるとされている.今回我々は両者の合併したSLEの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 杉原 洋樹, 志賀 浩治, 馬本 郁男, 原田 佳明, 片平 敏雄, 中村 隆志, 松原 欣也, 中川 達哉, 東 秋弘, 朝山 純, 勝目 ...
    1991 年 23 巻 2 号 p. 182-189
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患および肥大型心筋症の運動負荷タリウム心筋シンチグラムにおける負荷後の一過性左室内腔拡大所見を検討した.心筋短軸像の中央部位の画像において, 中心より憩度ごと36本の放射状直線を引き, 各直線上のタリウム活性の最高カウントの点を結びそれにより囲まれる面積を算出した.負荷10分後の面積A(EX)と3時間後の同部位の面積A(RD)の比A(EX)/A(RD)を運動負荷による左室一過性拡大の指標(Transient Dilation Index:TDI)とした.コントロール群のTDIの平均+2標準偏差を正常上限とすると, 一枝病変例の8%, 二枝病変例の40%, 三枝病変例の80%においてTDIは高値を示し, 本所見が多枝病変例の検出に寄与する所見であることが示された.また, 肥大型心筋症の48%においてTDIは高値を示し, 高値例では正常例より胸痛の既往歴の頻度および負荷心電図陽性例の頻度が大であった.TDI高値の肥大型心筋症例の運動負荷心プールシンチグラフィによる検討では, 負荷前および負荷終了10分後の左室拡張末期容積に変化はなかった.以上より, 運動負荷タリウム心筋シンチグラムの負荷後一過性左室拡大所見は虚血性心疾患および肥大型心筋症における心内膜下虚血の反映と推定され, TDIはその有用な指標となる.
  • 橋本 泰則, 山辺 裕, 矢坂 義則, 名村 宏之, 前田 和美, 横山 光宏
    1991 年 23 巻 2 号 p. 190-195
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    PTCAにより左室壁運動異常が改善あるいは不変を呈した例を対象として, 術前にhibernating myocardiurnの診断が可能であるか否かと, 術後の負荷Tl-201SPECT所見の変化について検討した.左室壁運動異常を認める領域の責任冠枝にPTCAを施行した7例(7冠枝, 18区域)を対象とし, PTCA前後に運動負荷Tl-201SPECTを行い, 再分布現象(Rd)と%Tl uptakeを評価した.PTCA後7例(18区域)中5例(13区域)に壁運動異常の改善が認められ, hibemationと診断しえた.負荷Tl-201 SPECTではこの5例(13区域)にすべてRdを認めた(完全Rd1例・2区域, 不完全Rd4例・11区域).また初期像における%Tluptakeは術前54.3±19.4%から術後78.8±19.2%(p<0.01)と改善を認めた.Hibernationの区域はすべてRdしたことより, 負荷Tl-201 SPECTはhibemating myocardiumの診断に有用であると考えられたが, 再狭窄がないにもかかわらず, 術後の負荷Tl-201 SPECT でRdを生じる区域が6/13存在した.
  • 過呼吸負荷心筋シンチSPECTによる検討
    田原 順雄, 田谷 真, 佐々木 明, 下山 克也, 西村 徹, 水野 春芳, 小野 彰史, 石川 恭三
    1991 年 23 巻 2 号 p. 196-201
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    過呼吸負荷は冠攣縮の誘発法として有用とされ我々もこれまで冠攣縮性狭心症における過呼吸負荷SPECTの有用性について報告してきた.一方心筋梗塞において冠攣縮は重要な因子とされている.今回心筋梗塞の経過においての冠攣縮の関与を非侵襲的に検討することを目的として発症1~2カ月の心筋梗塞に過呼吸負荷SPECTを施行した.心筋梗塞25例を対象とし1分間40回で5分間の過呼吸負荷を行った.201Tl静注直後および3時間後に撮像した.同様の負荷をカルシウム拮抗薬のwash out時と内服下にて行った.その結果25例中12例に虚血の誘発を認め, さらに虚血が誘発された12例中7例においてカルシウム拮抗薬が有用であると判定できた.過呼吸負荷SPECTは冠攣縮性狭心症の診断のみならず心筋梗塞および心筋梗塞後狭心症における冠攣縮の関与や薬剤効果判定などにおいて有用な検査法であると考えられた.
  • 大谷 弘, 玉木 長良, 進藤 真, 高橋 範雄, 米倉 義晴, 小西 淳二, 野原 隆司, 神原 啓文, 河合 忠一
    1991 年 23 巻 2 号 p. 202-208
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    運動負荷T1心筋シンチグラフィーの3~4時間後の遅延像による再分布の判定では心筋viabilityを過小評価する場合がある.これを補う目的で遅延像撮像後に少量のT1を追加投与することにより, 遅延像の視覚判定では固定性欠損と判定された区域の約30%に分布の改善が認められた.この機序を検討するためにTl心筋SPECT像を定量解析して再分布の再評価を行い,一部の症例ではFDG-PETの所見と対比した.T1少量追加投与方法で新たな分布の改善がみられる区域では,定量解析により遅延像でわずかな再分布が約70%で認められていた.この少量追加投与にて新たに分布の改善がみられる区域では全てにFDGの集積増加があり糖代謝の残存が認められ,viableな心筋を反映することが示唆された.Tl少量追加投与方法は遅延像と安静時の血流分布像をあわせた画像を表わし,遅延像でわずかな再分布がみられるような領域での分布の改善をより明らかにしてくれるものと考えられる.したがって,T1少量追加投与法は通常の方法では再分布の明らかでない場合に心筋viabilityを判定する上で有用な方法の1つと考えられた.
  • 分校 久志, 中嶋 憲一, 滝 淳一, 松成 一郎, 村守 朗, 谷口 充, 利波 紀久, 久田 欣一, 清水 賢巳
    1991 年 23 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症(HCM)における123I-MIBG(MIBG)の洗い出しとその空間的分布および201T1と比較した相対的集積に関して, SPECT像および極座標表示(BE)による定性および定量的評価を行った. HCMの29例は心エコー上の中隔厚により1群: 15mm以下,2群: 16mm~20mm,3群: 21mm 以上に分けて検討した. 安静時に3mCi(111MBq)のMIBGを静注し,20分後(初期像)および3時間後(後期像)にSPECTを撮像し, BEを作成した. HCMにおけるMIBG欠損は心尖下壁で高頻度にみられ,201T1最高集積部でのMIBG欠損は心尖部・中隔で他部位より有意に高頻度であった(p<0.05). HCMでは肥大とともに201T1に比し相対的なMIBGの集積低下の傾向が示唆されたが有意差はみられなかった. 心筋MIBG洗い出し(WO)は中隔肥大の強い3群で有意に高値(16.0±42%/hr)を示し, 定性的にもWO所見は高頻度(86%)であった(p<0.05~0.01). HCMにおける高 WO部は1群では中隔下部に比較的限局していたが, 中隔肥大の高度な2,3群で心筋全体により均一な高WOを示す傾向がみられた. 心筋局所におけるMIBGの相対的分布, 洗い出しおよびその部位的なheterogeneityはHCMの重症度評価に用いられると考えられた. BEはこのような評価に有用な方法であった.
  • 201TICIとの比較
    酒井 寛人, 小林 毅, 牧田 政明, 佐藤 功, 安田 寿一, 加藤 千恵次, 中駄 邦博, 古館 正従
    1991 年 23 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患の診断における201TlCl像の有用性は確立されているが,撮像時のエネルギーが低いため鮮明な画像が得がたい,半減期が長い,などの欠点も有し,これらの欠点を補うため,以前より99mTc-心筋製剤の開発が期待されていた.また,新しい放射性医薬品として,心臓の交感神経活性を反映するといわれる123I-MIBGも開発され,その有用性が報告されている.今回我々は,虚血性心疾患患者に123I-MIBG,および99mTc-心筋製剤の1つである99mTc-SQ30217(SQ)を投与し,201TlCl像と比較してその有用性および問題点について検討した.
    結果としては,
    (1)MIBG像では,Tl像に比べて欠損部位が大きく,early像よりもdelayed像の方が拡大する傾向がみられた.
    (2)Tl像では欠損がみられない部位でもMIBG像では欠損を示す症例がみられ,慢性の虚血により交感神経活性が低下する可能性も示唆された.
    (3)SQ像では,Tl像とほぼ同様な結果が得られたが,肝臓や腸管への取り込みが多く,下壁部位の判定には注意を要する症例もみられた.
    などが考えられた.画像の解釈や臨床応用法においての問題点,工夫すべき点も存在し,今後の検討が期待される.
  • 心筋梗塞,心筋炎,心筋症の画像診断
    松森 昭, 山田 武彦, 森島 繁, 玉木 長良, 渡辺 祐司, 米倉 義晴, 遠藤 啓吾, 小西 淳二, 吉田 章, 田巻 俊一, 河合 ...
    1991 年 23 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞, 心筋炎, 拡張型心筋症, 肥大型心筋症における抗ミオシンモノクローナル抗体シンチグラフィを検討した.74MBq(2mCi)の標識抗ミオシン抗体を静注し,48時間後にプラナー像およびSPECT像を撮像した. 心筋梗塞では, 発症後16日以内の35例中33例(94%)で陽性像を認め, 心逸脱酵素, 心電図等の臨床所見が正常化し,99mTc-ピロ燐酸シンチグラフィが陰性となった時期での診断が可能であった. 早期に再灌流に成功し, CPK上昇を認めなかった症例では陰性であった. また, 発症1~2カ月後で80%と高率に陽性を呈し1年後まで陽性像を呈する例もみられた. 心筋炎では1カ月以内100%,2カ月以降14%, 拡張型心筋症では70%, 肥大型心筋症では86%(うち拡張相100%)で陽性であった. 拡張型心筋症で高度の集積を認めた3例はその後死亡した. 各病型で左室腔の拡張や心機能低下の著明な症例で強い集積を示し, 心/肺比は左室拡張末期径と正の相関を示し, 左室駆出率とは負の相関を示した. 本法は, 心筋梗塞, 心筋炎, 心筋症における心筋細胞障害の存在の有無や, 経過, 予後の評価に有用である可能性が示唆された.
  • 三谷 勇雄, 西村 恒彦, 植原 敏勇, 林田 孝平, 汲田 伸一郎, 岡 尚嗣, 土師 一夫, 野々木 宏
    1991 年 23 巻 2 号 p. 228-234
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞33例に対し111In標識Antimyosin Fabと201TlClによる2核種同時のdual single-photon emission computed tomography(DSPECT)を行った.急性期の再灌流成功群13例では対照群に比べ最大CPK値とともに111In AM取り込みのSPECT SCORE,AREA,SCORE/AREAが高かった.LVEFに対する相関はSCOREよりもAREAの方が高かった(0.387vs0.601).OVERLAP現象は全33例の内18例(55%)に認めた.入院中にCAGを施行された28例の経過観察では梗塞責任血管に75%以上の狭窄を残す10例中5例に虚血事象(再梗塞,PTCA,冠状動脈バイパス術および突然死)が発生した.OVERLAPを認めない11例では1例に梗塞責任血管以外にバイパス手術が行われたのみであった.外来で安静時201Tl心筋シンチグラフィーを再び行った13例では6例(46%)に梗塞領域における灌流欠損の明らかな縮小を認めた.改善例では梗塞後早期の201Tl DEFECT SCOREは改善群と非改善群では同程度(15±5vs17±7;NS)であるが,梗塞領域に町nAMの取り込まれる領域は小さかった(2.8±1.8vs6±3.2;p=0.057).梗塞後早期では梗塞領域が壊死にはなっていないが,シンチグラフィー上,201Tl取り込みが著しく低下している症例が存在し,このことが梗塞症例における欠損改善の原因の1つである可能性を認めた.
  • 1991 年 23 巻 2 号 p. 243-
    発行日: 1991年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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