心臓
Online ISSN : 2186-3016
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44 巻, 3 号
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Open HEART
HEART’s Selection (心臓リハビリテーションの最新の動向)
HEART’s Original
臨床研究
  • 浅野 冬樹, 笹井 正宏, 久野 越史, 池田 尚子, 田辺 彩夏, 山谷 清香, 前澤 秀之, 前田 敦雄, 森 敬善, 本田 雄気, 若 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 292-299
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    数種類の降圧薬を3カ月以上併用中の高血圧患者連続60例を対象とし, 既存使用のレニン・アンジオテンシン(renin-angiotensin; RA)系抑制薬とカルシウム拮抗薬をオルメサルタン/アゼルニジピン配合錠(レザルタス®)に変更し, 変更後の血圧と脈拍, アドヒアランスを解析した.
    結果: レザルタス®変更後の平均服薬数は前2.7±0.8剤から後1.5剤±0.6まで有意に減少した(p<0.0001).
    考察: レザルタス®により心拍数が低下したことはアゼルニジピンの特性で心仕事量低下による心保護作用につながる. アドヒアランス解析ではレザルタス®に変更後に血圧管理の改善は全体の57%であった. レザルタス®への切り替え前後の収縮期血圧に有意な変化はなかったが, 心拍数は69.0±6.2bpmから66.6±6.8bpmと有意に低下した(p<0.01). L型チャネルカルシウムブロッカーからレザルタス®に変更した群は心拍数69.1±5.1bpmから65.7±6.0bpmへ有意(p<0.01)に低下. N型チャネルカルシウムブロッカーに変更した群では有意な変化は認めなかった. 窓口負担は1,723円/月から1,228円/月に有意に低下した(p<0.0001).
    結論: レザルタス®は, 薬剤数を減少させながら, 同等の降圧効果を持ち, 心拍数低下作用とアドヒアランス向上をもたらす薬剤であった.
Editorial Comment
Editorial Comment
臨床研究
  • 馬渡 耕史, 春田 弘昭, 大野 朗, 中野 治
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 304-312
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    1995年より2005年までに経験した急性大動脈解離92例を対象に, 臨床像と予後を検討した. 男性41例, 女性51例, 平均年齢72±37歳(35~93歳)で, Stanford A型(以下A型)49例, Stanford B型(以下B型)43例, DeBakey I型33例, DeBakey II型16例, DeBakey IIIa型10例, IIIb型32例, 腹部限局1例であった. A型49例のうち少なくとも2例がDeBakey IIIの経過中に逆行性解離をきたした症例であった. 偽腔開存型45例(A型32例, B型13例), 血栓閉塞型47例(A型17例, B型30例)で, A型に偽腔開存型が多かった. 発症後, 来院までは平均1.2±9.0時間(0.5~10.2時間)で, 8例は来院時心肺停止の心タンポナーデ例であった.
    心タンポナーデ例は全体25例で, 偽腔開存型18例, 血栓閉塞型7例であった. 25例中5例(偽腔開存型1例, 血栓閉塞型4例)で心嚢ドレナージ後の手術で救命できた. 心タンポナーデを呈さなかったが血性心嚢液を認めたのは4例で全例生存している. 1週間以降の合併症として血管径の拡大2例, 瘤破裂5例, 再解離1例, 再交通2例, 脳梗塞1例, 急性心筋梗塞1例, 腹部臓器虚血1例, 下肢虚血1例であった. 手術例は偽腔開存型15例, 血栓閉塞型7例であった. 死亡率は偽腔開存型が血栓閉塞型と比べて高かった(40% vs 0% p=0.049). 急性期の死亡は31例でA型が28例を占めていた. 生存例61例中の慢性期死亡は15例(24.6%)で大動脈解離関連の死亡は再解離と破裂の2例(3.3%)のみであった. 急性大動脈解離は心タンポナーデの危機を乗り越えられれば, その後の予後は比較的良好である.
Editorial Comment
症例
  • 白石 裕一, 白山 武司, 岩村 優美, 畔柳 彰, 中村 猛, 山野 哲弘, 松室 明義, 沢田 尚久, 松原 弘明
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 315-321
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 男性. 以前から家族性トランスサイレチンアミロイドーシス, 7年前に脳梗塞を契機に心アミロイドーシスの診断も受けた. NYHA IIIの心不全, 左脚ブロックを認め, 植込み型除細動器付き両心室ペースメーカー(cardiac resyncronization therapy defibrillator; CRTD)移植を行った. 移植後4カ月ごろから失神前症状を伴う運動誘発性の洞停止を繰り返し, ペースメーカーの設定変更で症状が改善したが, 約1年4カ月後に運動耐容能の著明な低下を認めた. 精査の結果, 運動中の両室ペーシング不全が原因とわかり, 非競合心房ペーシングと, 心室後心房不応期(post ventricular atrial refractory period; PVARP)の調整により回避した.
    運動中に再現性を持ってペーシング不全が出現し, CRTDの作動を詳細に検討することにより回避し得た貴重な症例であることから報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
Editorial Comment
症例
  • 木村 舞, 秋間 崇, 西村 貴絵, 石川 徹, 村岡 直人, 影山 智己, 長友 祐司, 神吉 秀明, 島村 吉衛, 林 一郎, 石川 士 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 333-338
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    症例は45歳, 男性. ショックを伴う胸痛を主訴に当院へ救急搬送された. 心電図で広範な誘導でST-T上昇および低下を認めたため左冠動脈主幹部を責任病変とする急性冠症候群を疑い血管造影室へ移動した. 左大腿動脈が触知不良だったため腹部動脈造影を施行したところ偽腔開存型大動脈解離を認め, Stanford A型急性大動脈解離に随伴する急性冠閉塞の診断にいたった. 冠動脈造影では右冠動脈起始部に高度狭窄がみられたが, 左冠動脈主幹部には形態学的狭窄は明らかでなく層流に造影されのみであったため血管内超音波検査を使用したところ, 左主幹部周囲に冠動脈内腔を圧排する開存偽腔を認めた. 両側冠動脈起始部にステントを留置したところ, 心筋虚血および血行動態の速やかな改善が得られた. その後, 待機的に上行大動脈置換術および冠動脈バイパスグラフト術を施行し生存退院, 社会復帰に成功した. 今回, われわれは, 両側冠動脈起始部に解離が進展し, 重篤な心筋虚血およびショックに陥った急性大動脈解離症例に対し両側冠動脈起始部にステント留置することにより救命し得た1例を経験した. また, その際の診断に血管内超音波が極めて有用であったので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 貞廣 威太郎, 穂坂 春彦, 片山 隆晴, 宮川 貴史, 南雲 美也子, 鈴木 雅裕
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 340-346
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 女性. 10年程前より洞性頻脈を健診で指摘される以外は, 生来健康であった. しかし, 労作時呼吸困難が出現するようになり, 増悪傾向のため近医を受診した. 心不全の診断により, 紹介受診となり入院となった. 入院時の経胸壁心エコー図では左室全周性に及ぶ収縮能低下を認めるだけでなく, 右房内心房中隔側に1.5×1.2cm大の有茎性腫瘤を認めた. 精査のために施行した経食道心エコー図では卵円窩に1.3×1.0cmの腫瘤を認めたが, 腫瘤内には血流を認めなかった. 一方で, 腫瘤は右房内より卵円孔を通じ左房内に進展しており, 性状—局在評価目的のためさらなる精査が必要と考えられた. しかし, 入院後も頻脈が遷延し, CT, MRIによる評価は不適と思われ, 画像検査による腫瘤の鑑別は困難であった. 形態からは粘液腫や血栓が疑われ, 血液検査では凝固・線溶系の亢進を認めていたことから, 心不全に対する降圧薬, 利尿薬投与に加えて, 抗凝固療法を開始した. 経過に伴い腫瘤径は縮小し, 線溶系の亢進も改善した. 経胸壁心エコー図で経過観察を施行し, 第16病日に腫瘤は消失した. 以上の臨床的経過より, 心房内腫瘤は血栓であったと診断した. 心不全に関しては, 軽度の心拡大を認めていたことから特発性拡張型心筋症や2次性心筋症を疑ったが, 各種検査で異常所見を認めず, 原因診断にはいたらなかった. 心房内血栓の診断に苦慮した症例であり, 心房内血栓に対する抗凝固療法に関しての考察を加えて報告する.
症例
  • 平敷 安希博, 許 聖服, 篠田 典宏, 石井 秀樹, 新谷 理, 因田 恭也, 室原 豊明
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 347-352
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 女性. 2010年6月, 心不全により入院し, 尿中ベンズジョーンズ蛋白陽性, 心筋生検によるコンゴレッド染色陽性より, 心アミロイドーシスと診断した. その後, 6カ月間, 外来に定期通院していた. 徐々に呼吸困難が増悪し, 両側胸水も増量し, 2010年12月, 入院加療とした. 入院後, 利尿薬, 強心薬, 血管拡張薬の通常治療に反応を示さず, 下腿浮腫, 胸水は残存していた. 第15病日に, トルバプタン(7.5mg/日)を開始し, 7日間同量で投与後, 投与終了した. トルバプタン内服投与中に, 血圧, 脈拍, 血液電解質に副作用はみられなかった. 比較的速やかに胸水は減少し, 下腿浮腫も軽減し, 腹部膨満感, 食欲・便秘の改善など, 自覚症状は速やかに改善した. 体重は, 入院時62kgから退院時53kgまで減量し, その後, 体重増加なく, 第34病日退院した. 心アミロイドーシスという重篤な基礎心疾患を有し, 従来のループ利尿薬を中心とした治療では十分な反応がみられなかった症例に対し, トルバプタンにより, 速やかに下腿浮腫, 胸水を呈した右心不全が改善した1例を経験したので, 文献的考察を加えてここに報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 矢野 勇大, 日浅 芳一, 細川 忍, 馬原 啓太郎, 高橋 健文
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 356-360
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    通常の原発巣である肺結核病変がなく, 緑色レンサ球菌との混合感染を有し, 心嚢液の鏡検や心外膜生検でも結核性病変がなかったため, 診断に難渋した症例を報告する. 症例は74歳, 男性. 来院半年前より出現した食欲不振, 進行する体重減少, 発熱を主訴に受診した. 心臓超音波検査で多量の心嚢液貯留を認め, 血液検査では炎症反応が高値であった. 胸腹部造影CTでは心嚢液貯留以外に有意な所見は認めなかった. 心外膜炎と診断し, 入院後に穿刺心嚢ドレナージを施行した. 心嚢液は血性·滲出性であり, 細胞診はclass II, 細菌培養では緑色レンサ球菌が陽性であった. 発熱や炎症反応の改善に乏しいため, 組織診断の目的も兼ねて残存心嚢液に対し外科的心嚢ドレナージを施行した. 心膜組織診では慢性炎症に急性炎症の混在した所見であり, 2回目の細菌培養は陰性であった. また, ガリウムシンチグラフィや自己免疫系検査も有意な異常所見は認めなかった. 入院中, 発熱の増悪, 呼吸困難の出現を認め, 胸部X線写真, 経胸壁エコー検査から感染の増悪を契機とし急性心不全をきたしたと判断したため, アンピシリン, スルバクタムを開始したところ症状の劇的な改善を認めた. 3週間後の抗酸菌培養で結核菌が陽性となり, その後, TB-PCR, クォンティフェロン® TB2Gも陽性であったため, 抗結核化学療法を施行され良好な経過を経て退院した.
    本例は, 注意深い病歴の採取や免疫学的, 遺伝子学的検査を行えば早期に診断できた可能性がある教訓的な症例と考えた.
症例
  • 坪井 宏樹, 伊藤 一貴, 井出 雄一郎, 長尾 強志
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 361-365
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    症例は52歳, 男性. 2010年7月に胸痛後の意識消失により他病院に搬送された. 心電図でST部分の上昇と心室頻拍を認めたが, 冠動脈造影では狭窄病変はなく冠攣縮性狭心症と診断された. ニコランジルおよびベニジピンが投薬されたが, 同年10月に職場で心肺停止となり, 同僚が心肺蘇生術や自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED)を施行した. 救急車内のAEDで洞調律に回復したが, 当院搬入時の心電図ではII, III, aVF, V6誘導でST部分が上昇していた. 冠動脈造影では有意狭窄病変はなく, 翌日に意識は完全に回復した. 硝酸イソソルビドおよびジルチアゼムの追加投与により症状は消失した. 植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)の治療は希望せず退院した. 同年12月に大量飲酒, 翌朝, うなり声とともに意識消失したため, 妻が心肺蘇生術を行った. 救急隊のモニター心電図では心室細動で, AEDで洞調律に復帰した. 当院搬入時の心電図では前回と同様のST上昇が認められた. 第2病日に意識は回復したが, 第10病日に胸痛とともに意識消失が生じ, モニター心電図ではST上昇に引き続き心室細動が生じた. 電気的除細動により洞調律に復帰した. 第11病日からのPSL 30mg/日により症状は完全に消失し, 24時間心電図などでも異常はなかった. 退院後8カ月が経過したが, 禁煙, 禁酒および内服治療を厳格に継続することにより再発は認めていない.
Editorial Comment
症例
  • 今川 正吾, 松本 純一, 西川 幹人, 降旗 高明, 坂井 英世, 其田 一
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 3 号 p. 368-373
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    心原性ショックを呈する急性心筋梗塞患者の救命には, 適切な初期治療および救命救急センターへの迅速な搬送が不可欠である. 救急医療過疎地域で発症し, ドクターヘリによる搬送が奏功し救命し得た, 心原性ショックを伴う多枝同時冠攣縮による急性心筋梗塞の1例を報告する. 症例は58歳, 男性. 冠危険因子は高血圧および喫煙. 冠攣縮性狭心症が疑われ, 1年程前よりカルシウム拮抗薬および硝酸薬を内服していたが, 発症当日朝は服薬しなかった. 自宅内で意識消失し倒れているのを家人に発見され, ドクターヘリにより飛行19分で当院へ到着した. 着陸直前に心室細動となるが, 電気的除細動で心拍再開が得られた. 12誘導心電図上II, III, aVFおよび前胸部誘導でST上昇が認められた. ショックの遷延, 心室細動再発のため, 救急室において経皮的心肺補助装置を装着された. 緊急冠動脈造影検査で多枝同時冠攣縮が認められ, 硝酸イソソルビド冠動脈内投与により冠攣縮はすみやかに解除された. 左室造影検査上, 心基部前壁を除き広範な無収縮を呈し, 左室駆出分画率(left ventricular ejection fraction; LVEF)は29.5%であった. 最大クレアチンキナーゼ値は5,299 IU/Lであった. 第4病日に集中治療室を退室, 慢性期心エコー図検査でLVEF 47%へと改善した. 神経学的後遺症なく第18病日に退院した. 広大な医療圏を有する高度救急医療過疎地域において, ドクターヘリは重症心疾患患者の救命率向上に大きく寄与する.
Editorial Comment
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Meet the History
  • 新井達太先生に聞く(1)
    新井 達太, 四津 良平
    原稿種別: Meet the History
    2012 年 44 巻 3 号 p. 379-388
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    新井達太先生は, 日本の心臓外科の黎明期に, 東京女子医科大学の榊原 仟先生のもとで学び, 国産の人工心臓弁SAM弁を開発し, 世界に先がけて弁付き同種大動脈を用いた右室—肺動脈のjump graftの動物実験に成功されました. また, 世界で初めてA型単心室の隔壁形成術に成功し, その患者さんは40年を超えた今も元気で暮らしておられます. 今回は新井先生に, 本誌編集委員の四津良平先生が, 当時の成功談, 失敗談を交えたさまざまなエピソードをおうかがいしながら, 外科医として歩んできた道をお話しいただきました.
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