新規経口抗凝固薬は原則として抗凝固モニターは不要とされるが, 薬物動態を評価し, 薬剤過量による頭蓋内出血や大出血を防止するためには, ある一定の血中濃度モニタリングは必要と思われる. われわれはXa因子阻害薬リバーロキサバンを服用した非弁膜症性心房細動患者を対象に, ヒーモスアイエル ヘパリン リキッド
®を用いた抗Xa活性測定によりリバーロキサバンの血中濃度を計測し, その臨床的意義を検討した. 対象は21名 (男性13名, 女性8名), 53~97歳 (平均74.8歳), CCr 33.0~134.3mL/min (70.5±29.3mL/min), 1日服用量15mg 13名, 10mg 8名で, 計35検体のリバーロキサバン血中濃度, PT, APTTを測定した. リバーロキサバン血中濃度は0~783μg/L (249.8±222.6μg/L ; mean±SD), PTは11.1~44.6秒 (16.6±6.6秒), APTTは29.9~69.7秒 (41.5±8.6秒) であった. リバーロキサバン血中濃度は, 3例を除けば, 既報の日本人健康高齢者の血中濃度推移にほぼ一致していた. 高値の2例は超高齢の97歳女性とCCr 33.0mL/minの84歳女性であり, 低値の1例は脳塞栓症後の88歳女性でリバーロキサバン15mgを粉砕し経鼻胃管から投与していた. CCrに基づいた投与量を用いれば, 大多数の症例ではリバーロキサバン血中濃度は想定範囲内であった. 一方, 超高齢者やCCr低値例, 規定外の投与方法の症例では異常高値, 低値となる可能性があり, 血中濃度測定による薬物動態の検討は有用と考えられた.
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