心臓
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20 巻, 12 号
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  • 小川 振作, 吉田 茂夫, 井上 恵, 中田 智明, 堀田 大介, 雫田 幸孝, 飯村 攻
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1377-1383
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞急性期および不安定狭心症に対する逆行性冠静脈灌流(RP)は,梗塞面積の縮小や狭心痛の軽滅をもたらすとされるが,その基礎的検討は意外に少ない.そこで本研究ではイヌ心を用い,急性心筋虚血に対するRPの効果を,局所心筋血流量,局所壁運動,不整脈の面から検討した.雑種成犬10頭を麻酔,開胸後,心膜を開き,左冠動脈前下行枝(LAD)を剥離,低抵抗金属caRnulaを挿入し,循環回路を作成した.まず5頭を用い,適性なRPの灌流圧,灌流量を検討する目的で,大心静脈に前述同様の金属cannulaを挿入し,RPを施行,2分ごとに灌流圧,灌流量を上げて,逆流血との関係を検討した.次に残りの5頭では,局所壁運動,不整脈に対するRPの効果を検討すべく,臨床的に可能なRP法として冠静脈洞より大心静脈にcatheterを挿入した.虚血時間は6分間とし,局所壁運動,不整脈の重症度を検討した.RPは逆流血を有意に増加させ,その増加はRPの灌流圧,灌流量に相関する傾向を示した.しかし,RPの灌流圧が80mmHgを越すと心表面,心筋内の出血や冠静脈の破綻が出現し,この圧が灌流圧の上限と思われた.RPにより逆流血の酵素分圧は低下し,虚血領域における灌流血からの酸素摂取が推測された.同時に,虚血領域の局所壁運動は改善し,心室性不整脈も軽減した.以上,RPは急性虚血の心筋傷害を軽減するが,その実施に際しては適性な灌流圧の維持が重要と思われた.
  • 富樫 賢一, 諸 久永, 中沢 聡, 横沢 忠夫, 江口 昭治
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1384-1392
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1973年1月から1986年12月までの14年間に,開心術後早期に急性肝腎不全を発症した13例(発生頻度0.85%)の病因,臨床経過,死因および病理解剖所見などを検討した.基礎疾患は,複雑心奇形が5例で,僧帽弁病変を伴った後天性弁膜症が8例であった.開心術後早期の急性肝腎不全は,perioperative shockか難治性心不全が主因であった.perioperative shockが主因のもの(I群)は4例で,急性腎不全はすべて早期乏尿型であった.そのうち術前に肝障害を認めなかった2例は,SGPTなどの肝細胞逸脱酵素の血中濃度の急激な上昇と,それらの速やかな回復を特徴とする肝炎型急性肝不全を呈した.一方,術前より肝障害を認めた2例は,STB値の急激な上昇と肝性昏睡を特徴とする劇症肝炎型急性肝不全を呈した.難治性心不全が主因のもの(II群)は9例で,乳幼児例2例は早期乏尿型を,後天性弁膜症例7例は後期乏尿型急性腎不全を呈した.急性肝不全は9例とも,STB値の漸増を特徴とするうっ血肝型を呈した.13例中肝炎型急性肝不全を呈したI群の2例のみが生存し,それ以外の11例は死亡した(致死率84.6%).死因としては,気道や消化管からの大量出血が5例と最も多く,肺炎や敗血症などの感染症が4例と次に多かった.11例中8例は死亡時MOFの状態であった.今後は,それぞれの病態に応じた治療を行うことが,成績向上につながると考えられた.
  • 門間 和夫, 高尾 篤良, 中沢 誠, 安藤 正彦, 柴田 利満, 笠貫 宏
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1393-1402
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    多脾症候群の50例について,経年的に(一人平均7年の経過)心電図450記録を調べた.全例に先天性心疾患または血管奇形が合併した.多脾症候群の診断は主に肺動脈造影所見,すなわち両側の肺動脈と気管支の関係が左肺型を示す所見によった.心電図記録の多い例では通常同一個体に複数の心房調律が認められた.最も多い調律は心房下部からの調律であった.全体の50%に上室性ペースメーカー機能の低下,すなわち,心房拍数の減少(徐脈化)が認められた.徐脈は40%では一過性,反復性であり,10%では永続性であり,40%では接合部調律が生じていた.徐脈例の頻度は年齢に進むにつれて増加し,その頻度は1歳以下で22%,15歳以上では65%であった.心房調律が複数ある症例では,単一の心房調律の場合より徐脈になる事がかえって多く,本症候群の複数の心房調律は不安定な複数のペースメーカーの存在を示していた.
  • 渡辺 直, 小柳 仁, 遠藤 真弘, 八木 葉子, 椎川 彰, 中野 秀昭, 大西 哲, 笠貫 宏, 佐藤 禎二
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1403-1413
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1983年11月より1987年12月までに,24例のWPW症候群患者に心外膜アプローチ法により手術を行った.本法は,1)心外膜マッピングによりおおまかに同定された副伝導路部位の房室弁輪上脂肪織を,超音波組織破砕吸収装置を用いてていねいに剥離し,2)剥離部弁輪のマッピングにより副伝導路部位をピンポイントに同定,3)同部を心外膜側より凍結凝固するものである.同法によれば心臓への切開を必要とせず,通常人工心肺不要で侵襲が軽く,輸血も不要である.心内膜アプローチ法と異なり左心型であっても心拍動下に手術でき,δ 波の消失を確認しつつ硫実に副伝導路離断が果せる.24例中20例(83%)は外膜アプローチのみで副伝導路離断に成功した.内膜アプローチ法の併用例3例を含め23例(96%)でδ波,頻拍発作ともに消失,他1例ではδ波が残存したものの頻拍発作を認めない.内膜アプローチ併用の右後中隔型の1例で房室ブロックを合併したが,他では出血,術後肝炎,感染その他の主だった合併症をみていない.特に中隔型に対する手技および適応の判断,凍結温の設定にいまだ改良の余地があるものの,心外膜アプローチ法は成績良好で侵襲も軽く,試みるべき方法と考えられた.
  • 平田 展章, 榊原 哲夫, 野村 文一, 藤田 修弘
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1414-1418
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1975年より1986年までの12年間に穿通性心外傷を7例経験した.全例男性であり,平均年齢は41±11歳であった.刺創を5例に認め,銃創を2例に認めた.損傷部位は左心室1例,右心室1例,右心房2例,心膜3例であった.6例に合併損傷を認め,5例に腹部臓器損傷を認めた.来院時全例ショック状態であったが,血圧を測定し得ないほどの重篤なショックを示した左心室損傷例と右心房損傷例の2例を失った(生存率71%).創刺入部位は7例中6例でSauerらのdanger zone内であり,残りの1例も近接していた.全例に緊急開胸術を施行した.
    心腔損傷の4例中,DOAの1例(左心室損傷)を除く3例に心腔縫縮術を施行し止血し得た.体外循環を必要とした症例はなかった.重篤な腹部臓器損傷を合併した1例を失ったが,2例を救命し得た.また4例中2例に心タンポナーデを,2例に血胸を認めた.受傷より開胸術を施行し得るまでの時間は血胸を呈した症例では115分,120分であったが,心タンポナーデを呈した症例においては40分,65分と短く,術前循環動態を維持するのが困難であった.
  • 山門 徹, 山本 伸仁, 大北 典史, 増田 岳一, 位田 正明, 東 良久, 長野 公昭, 笠井 篤信, 中野 赳
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1419-1425
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    臨床上不整脈が問題となる心筋梗塞(MI)59例,肥大型心筋症(HCM)41例を対象に,トレッドミル自覚的最大運動負荷法(TM),24時間ホルター心電図法(H)を施行し,心室性不整脈(VPC)出現の比較および心エコー図法,観血的方法との対比を行い,以下の所見を得た.(1)MI,HCMのVPC検出率は,ともにHがTMより有意に高率であった.(2)TMによるMIのVPCは運動によるST低下の有無,冠動脈病変数に関係せず,左室拡張末期圧高値(20mmHg以上)例で多かった.(3)Hによる重症不整脈出現は,MIでは左室機能低下例に,HCMでは心室内圧較差の認める例に多い傾向が認められた.以上,両疾患ともにVPCの検出はTHよりHで高いこと,両方法によるVPCの出現は主として左室機能とその異常に関係することが示された.
  • 沢田 陽子, 上村 重貴, 富田 英, 東舘 義仁, 若林 淳一
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1426-1431
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は14歳6カ月の男児で1歳時に心雑音を指摘され,僧帽弁閉鎖不全として経過観察されていた.経過中,心拡大の増強,心電図変化もなく,また胸痛等の自覚症状はなかったが,ランニング中に急性心筋梗塞を起こし死亡した.剖検の結果,左冠動脈口閉鎖,左冠動脈主幹部低形成と診断された.
    本症は文献的にも報告は極めて少ない.また本症の予後は副血行路の発達状態により大きく左右され,発達不良の症例に対しては早期診断,早期外科治療が必要と思われた.
  • 加藤 克治, 藤原 優子, 小川 潔, 簡 瑞祥, 鈴木 和彦, 橋本 和弘, 中村 譲, 松井 道彦
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1432-1437
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性肺動脈弁欠損はまれな疾患で心室中隔欠損と弁輪部の狭窄を伴い血行動態的にはFallot四徴の形を取る事が多い.
    しかし,動脈瘤様に拡張した肺動脈が気管,気管支を圧迫して乳児期早期より重篤な呼吸困難をきたす事が多く臨床像はFallot四徴とは異なる.
    本症に一側肺動脈の起始異常を伴う事はまれである.
    我々は左肺動脈近位部欠損を伴った肺動脈弁欠損の1例を経験した.
    左肺の機能回復と右肺動脈への血流軽減を目的として左肺動脈一右肺動脈吻合術を35日齢に施行したが,術後,呼吸管理に難渋し77日齢に突然心停止をきたし救命し得えなかった.
    乳児期早期より呼吸困難の高度な本症の非手術例の多くが3カ月以内に死亡している事を考えると乳児期の外科的治療も積極的に考慮すべきと思われる.
  • 馬場 雄治, 小西 弘起, 瓦谷 仁志, 山本 晃司, 横井 良明, 佐藤 潤, 山根 渉
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1438-1444
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性.前胸部痛を主訴に来院し,心電図にてV3R,V4R,V1~4のST上昇,断層心エコー図にて右室自由壁の運動低下を認めた.発症5時間後に心臓カテーテル検査を施行したところ,左室造影所見は異常なかったが,冠動脈造影にて右冠動脈より分岐する太い右室枝の近位部に著明な狭窄を認めた.右室造影を施行したところ,右室心尖部を中心とする壁運動低下を呈したが,圧所見および心係数は正常域にあり,以後血行動態の異常をきたすことなく順調な経過をたどった.血清CRK最高値は胸痛出現後15晴間で802 IU/l(CPK-MB103 IU/l)であった.本例は右冠動脈より分岐する右室枝を責任血管とし,右室自由壁に限局する孤立性右室梗塞と考えられた.右室梗塞例の大部分は,冠動脈の解剖学的特性から左室の後下壁梗塞に合併するため,孤立性右室梗塞はまれであるが,本例のように右室枝病変による孤立性右室梗塞例の報告はなく,極めてまれである.また,血行動態指標が正常であった理由として,右室自由壁の障害が比較的軽度であったことと,心室中隔を含む左室の障害が存在しなかったため,これによる右室機能への影響がなかったことが考えられた.
  • 平田 篤実, 城ケ崎 倫久, 中川 隆一, 足立 桂子, 大坪 重信, 俵 哲
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1445-1449
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,64歳の男性で循環虚脱にて緊急入院となった.入院時心電図所見では,高度房室ブロックがあり,補充調律は右脚ブロックおよび左軸偏位を呈して左脚後枝領域からの刺激生成を示唆する所見を呈していた.硫酸アトロピンおよびイソプロテレノールの投与が無効であり,血圧低下が著明となった.血液ガス所見にては,著明な代謝性アシドーシスの所見を呈していた.Sodium bicarbonate40mEqの投与を行ったところ,臨床所見も改善し,心電図所見にても正常房室伝導および電気軸も正常軸所見を呈していた.心エコー所見にては著明な心膜液貯留を認め,代謝性アシドーシスの原因と考えられた.本症例は,心室性期外収縮に対してジソピラミドの投与を受けていたが,入院当日のジソピラミド濃度は治療域であった.本症例の高度房室ブロックは,代謝性アシドーシスおよびジソピラミドの相乗効果によるものと考えられた.Sodium bicarbonateの投与により,高度房室ブロックが治療されたとの報告は,我々の今回の記載が初めてであり,ここに報告した.
  • 上塚 芳郎, 三浦 芳則, 栗山 正子, 伊藤 直人, 田中 直秀, 木全 心一, 広沢 弘七郎
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1450-1455
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    41歳の女性で,子宮筋腫からの不整性器出血のため,Hb1.4g/dlと高度の貧血を生じ,心不全,心停止をきたし,心肺蘇生術により蘇生し得た1例を経験した.
    本症例は,心エコーの記録から,発症急性期には拡張型心筋症のごとく,左室の心筋収縮が全体的に低下しており,また左室腔の拡大も著明であったが,3カ月後には貧血の改善とともに左室壁運動の改善が認められた.また,回復期に右室心内膜心筋生検を施行したが,心筋細胞の大きさのばらつき,配列の乱れや核の変形が認められた.これらの変化は,慢性貧血による心筋障害または心停止→蘇生の際の心筋障害による変化と考えられた.
  • 望月 孝俊, 東丸 貴信, 羽田 勝征, 芹澤 剛, 飯塚 昌彦, 杉本 恒明, 川井 充
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1456-1461
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Myotonic dystrophyの心病変の合併の報告は多いが,そのほとんどが伝導障害または不整脈などの電気生理学的異常であり,心不全等のポンプ機能異常の報告は少ない.今回我々は陳旧性心筋梗塞様の心電図を呈し,心エコーおよび左室造影にて心機能障害を示した1症例を経験した.症例は40歳の男性で,25歳頃より指摘されていた陳旧性下壁梗塞様の心電図異常の精査のため,昭和61年4月7日当科入院.心電図上,I度の房室プロツク,およびII,III,aVFにSTの上昇,IIIaF,に異常Q波を認め,陳旧性下壁梗塞が疑われた.胸部X線写真ではCTRが54.0%で軽度の心拡大が認められた.心エコー図では,心基部の後壁が薄く,この部位に壁運動の低下とエコー輝度の増強が認められた.心臓カテーテル検査では,左室造影で,心室全体にわたる軽度の壁運動の低下を認め,EFは0.52と軽度に低下していた.冠動脈造影所見は正常であった.一方CPKが318U/lと高値を呈し,筋萎縮,筋力低下,gripmyotonia等の神経学的所見,典型的な筋電図所見,左上腕二頭筋の筋生検組織所見より,myotonic dystrophyと診断された.心臓カテーテル検査と同時に施行した心筋生検では,心筋の肥大,心筋細胞の核の肥大,間質の軽度の線維化の所見が認められ,一般には非特異的であるが心筋の肥大をしばしぼ認めるという従来の報告にほぼ一致した.
  • 今村 俊之, 松崎 忠樹, 村谷 智子, 江口 政則, 池田 洋, 古賀 秀隆, 原 耕平, 高木 正剛, 黒岩 正行, 釘宮 敏定, 津田 ...
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1462-1468
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    両心房粘液腫はきわめてまれなものであり,本邦では2例の報告をみるに過ぎない.我々は,左房粘液腫で卵円孔を通じ右房側に著明な発育を示した両心房にまたがる粘液腫の1例を経験したので報告する.症例は69歳女性.検診にて胸部X線上肺動脈陰影拡大を指摘され,精査のため当科へ入院した.心臓超音波検査にて両心房にmass echoを認め,digital subtraction法にて右房内に塊状のfilling defectを認めたが,左房内ではfilling defectは認めなかった.また,右心カテーテル検査,肺動脈造影,肺血流シンチにて,多発性肺動脈栓塞による肺高血圧症を認めた.外科的に中隔を含めた両心房の腫瘍摘除を行い,病理学的に左心房側中隔より発生し卵円孔を通じ右房側にも著明な発育を示した粘液腫と診断された.
  • 朝比奈 利明, 相沢 一徳, 清水 憲明, 三沢 明彦, 中村 政彦, 祢津 光廣, 薬袋 興児, 加賀美 年秀, 飯田 良直, 土屋 幸治 ...
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1469-1473
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    リウマチ結節により急性大動脈弁・僧帽弁閉鎖不全症の発症をみた,慢性関節リウマチ(RA)の1例を経験した.症例は62歳女性.26年前より慢性甲状腺炎,3年前よりRAの治療を受けていた.昭和59年3月より左心不全症状出現し,近医入院したが軽快せず,4月30日当院に転院した.精査の結果,大動脈弁閉鎖不全症で,炎症反応も著明であり,感染性心内膜炎を疑って強心剤,利尿剤,抗生物質等の治療を施したが軽快せず,5月22日緊急手術を施行した.心外膜炎を認め,大動脈弁・僧帽弁置換術を施行した.切除標本にて両弁にリウマチ結節を認め,RAの心合併症であることが判明した.RAに種々の心・血管病変を合併することはよく知られているが,弁膜にリウマチ結節が出現することは極めてまれであり,本邦での臨床報告も極めて少ない.本症例は生前診断が困難であったが,今後RAの心病変に特異的な診断法の早期開発が望まれる.
  • 大地 陸男
    1988 年 20 巻 12 号 p. 1477-1485
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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