オレオサイエンス
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25 巻, 12 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集序言
特集総説論文
  • 番匠谷 研吾, 大西 正俊, 田中 哲郎
    2025 年25 巻12 号 p. 515-521
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/04
    ジャーナル フリー

    難水溶性の医薬品や食品由来機能性成分は,その低い溶解性によって液状製剤化やバイオアベイラビリティの面で課題を抱えており,可溶化は医薬品開発における重要なテーマとされている。筆者らは,機能性高分子を活用したドラッグデリバリーシステム(DDS)によって,難水溶性化合物の溶解性を改善し,その有効性および応用可能性の拡大を目指した研究を進めている。その一環として,食品由来機能性成分であるレスベラトロールおよびコエンザイムQ10にはポリエチレングリコールモノステアレートを用いたナノミセル製剤を,また抗真菌薬アムホテリシンBにはヒアルロン酸およびポリビニルアルコールを用いた点眼用製剤と,スチレン-マレイン酸コポリマーを基盤とした静脈内投与製剤を開発し,いずれにおいても薬物の溶解性や安全性の向上を確認した。これらの成果は,高分子DDSが難水溶性化合物の可溶化製剤化に資する有効な基盤技術となり得ることを示すものである。

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  • 古石 誉之
    2025 年25 巻12 号 p. 523-529
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/04
    ジャーナル フリー

    イオン液体(ILs)は従来にない化合物可溶化能を持つことから,水とも既存の有機溶媒とも異なる新たな溶媒としての利用が期待されている。しかし,従来のILsは生体応用を企図していないことから,毒性・安全性の面で懸念がある。このような背景のもと,コリンやアミノ酸のような生体由来成分からなるILs,すなわち生体適合性イオン液体(Biocompatible ILs)が医薬品の分野では注目されている。本総説では,コリンとゲラン酸からなるCAGE,アミノ酸-脂肪酸およびコリン-アミノ酸からなるILについて取り上げ,それらのILsによる難溶性の医薬品有効成分(API)の溶解性改善ならびに可溶化メカニズムについて述べていく。これらBiocompatible ILsによるAPIの可溶化により,APIの経口投与時の吸収性,皮膚透過性,生物学的利用能の向上に寄与することが期待される。

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  • 内山 博雅, 門田 和紀, 戸塚 裕一
    2025 年25 巻12 号 p. 531-537
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/04
    ジャーナル フリー

    難溶性化合物では,溶解過程が経口吸収の律速段階となる場合が多いため,その溶解性を改善することは化合物の利用効率を高めるうえで重要である。糖転移化合物は,親化合物に酵素処理を施し,糖を付加した誘導体である。この化合物の興味深い点として,元の化合物に糖を1分子付加するだけで,溶解度が劇的に向上することが挙げられる。溶解度が劇的に向上するメカニズムを検討した結果,糖転移化合物は水中で分子集合体を形成し,その構造内部に化合物を可溶化できることが明らかとなった。さらに,この分子集合体構造は糖転移化合物の種類によって異なることも明らかとなった。本研究では,糖転移ヘスペリジン,糖転移ルチン,糖転移ステビア,および糖転移ナリンジンの4種の糖転移化合物について,その溶解性改善効果および経口吸収性改善効果を紹介する。

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  • 小川 法子
    2025 年25 巻12 号 p. 539-546
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/04
    ジャーナル フリー

    シクロデキストリン(CD)は,グルコースが環状に結合した分子であり,その内部は外部よりも疎水性環境であることから,CDはその内部の空洞に疎水性の物質を包接する。この包接によって,CDは水に溶けにくい化合物の溶解性改善や不安定な化合物の安定化などの機能を示す。CDによる化合物の包接は疎水性相互作用やファンデルワールス力,水素結合といった非共有結合に基づく分子間相互作用によってもたらされるため,溶液中でのCDと化合物の包接複合体の形成は平衡状態にある。薬物の可溶化を目的としたCDの使用例は多くあるが,生理的条件ではCDは生体膜をほとんど通過せず,CDから遊離した薬物のみが生体膜から吸収される。このため,水性溶媒中での強固な包接複合体形成が薬物の可溶化につながるが,生体への吸収の際には遊離される必要がある。したがって,薬物の可溶化にCDを利用する際には,薬物とCD間の安定度定数を把握することが重要である。近年,ハイスループット技術の導入が進み,開発される化合物には水に溶けにくい性質をもつものが多くなっている。CDの特性を最大限に活用することで,多くの水に溶けにくい新規化合物を医薬品などに利用できるようになることが期待される。

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