心臓
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43 巻, 7 号
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Open HEART
HEART’s Selection(植込み型人工心臓の現状)-連続流型補助人工心臓による重症心不全治療のパラダイムシフト
HEART’s Original
臨床研究
  • 佐々木 修, 西岡 利彦, 井上 芳郎, 佐藤 俊一, 湯原 幹夫, 安藤 敏行, 神山 哲男, 桐村 正人, 伊藤 博之, 丸山 義明, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 871-879
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, これまで見解の一致をみていない血清脂質が冠動脈リモデリングの規定因子となり得るかという仮説を検証することである.
    方法: 対象は, 当院において心臓カテーテル検査·治療を受けた連続200人の200冠動脈責任病変. 血管内超音波検査(intravascular ultrasound; IVUS)にて冠動脈をイメージングし, 血管断面積(external elastic membrane cross sectional area; EEM CSA), 内腔面積(Lumen CSA), 最大および最小プラーク厚を病変部と近位および遠位対照部位にて計測した. 冠動脈リモデリングの指標として, リモデリング·インデックス(remodeling index; RI); 病変部EEM CSA/〔(近位対照部位EEM CSA+遠位対照部位EEM CSA)/2〕を, また, 病変部位の偏心性の指標としてEccentricity Index(EI); 〔(最大プラーク+中膜厚)−(最小プラーク+中膜厚)〕/(最大プラーク+中膜厚)を算出した. 冠動脈リモデリングの規定因子を明らかにするためにリモデリング·インデックスを従属変数として単回帰および重回帰分析を実施した.
    結果: 単回帰分析では, RIは年齢, LDLコレステロール(low density lipoprotein cholesterol; LDL-C)とは相関を示さなかったが, 急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS)(p<0.01), HbA1c(p=0.03), LDL-C/HDLコレステロール(HDL-C)比(p=0.03), プラーク面積(p<0.01)とは有意な正の相関を, HDL-C(p<0.01), ACE-I/ ARB内服(p=0.03), EI(p=0.04)とは有意な負の相関を示した. 重回帰分析では, RIはプラーク面積(p<0.01), LDL-C(p=0.03)とは有意な正の相関を, また, EI(p=0.03), HDL-C(p=0.03)とは有意な負の相関を認めた.
    結論: プラーク面積, 病変部の偏心性, 血清LDL-CおよびHDL-Cは冠動脈リモデリングの独立した規定因子であり, 特に, 血清脂質に関しては, LDL-C値はポジティブ·リモデリングと, HDL-C値はネガティブ·リモデリングと関連していた.
臨床研究
  • 寺沢 彰浩, 野田 友則, 井上 陽介, 朱宮 孝紀, 林 雄三, 近藤 圭太
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 880-886
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    背景: 急性心筋梗塞(acute myocardial infarction; AMI)で入院時高血糖を呈する患者は予後不良である. その機序として冠微小循環障害の関与が示唆されている. マルチスライスCTによる造影心筋CTで再灌流されたAMIの心筋染影低下は冠微小循環障害を示す. 本研究では, 造影心筋CTを用いて, 再灌流後のAMIの冠微小循環障害と入院時高血糖の関連について検討した.
    方法: 24時間以内に再灌流に成功し, 6カ月後に再狭窄を認めなかった初回AMI 40例を対象とした. 入院時血糖値200mg/dL以上をA群(10例), 200mg/dL未満をB群(30例)とし, 比較検討した. 発症10日目に造影心筋CTを施行した. 左室を17セグメントに分類し, 各セグメントにおいて, 動脈相での心筋染影低下の貫壁性の程度(transmural extent of myocardial hypoenhancement; TEMH)を求め, スコア化(0=normal~4=75~100%)した. 発症6カ月後に心エコーを施行し, 左室局所壁運動を半定量評価(0=normal~3=dyskinesis)した.
    結果: TEMHはA群(2.3±0.7)でB群(1.8±0.4)に比し有意に高かった(p=0.024). 6カ月後の左室局所壁運動はA群でB群に比し有意に悪かった(A群1.3±0.6対B群0.8±0.6, p=0.036). 両群間で梗塞前狭心症の頻度, 再灌流までの時間, 前壁梗塞の頻度に差はなかった.
    結語: 入院時高血糖は, 再灌流された梗塞心筋において冠微小循環障害と関連し, 慢性期の心機能に影響すると考えられた. また, 造影心筋CTは, 再灌流された心筋の冠微小循環評価に有用である.
症例
  • 高野 隆志, 緑川 博文, 渡辺 晃佑, 菅野 恵, 小野 正博
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 887-890
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは, 頸部分枝再建術を併用し, ステントグラフト内挿術を施行したハイリスク遠位弓部大動脈瘤の1例を経験したので報告する. 症例は, 69歳, 男性. 瘤は左鎖骨下動脈を含む遠位弓部大動脈に位置し, 多発性脳梗塞, 認知症, 腎機能障害などの合併症を有することから, 従来の外科手術ではリスクが高いと判断しステントグラフト内挿術を選択した. 手術は頸部分枝に対し, 両側腋窩動脈交叉バイパスを施行し, その中央より左総頸動脈にバイパスを施行して, 脳血流を確保したのちにGORE TAGを左総頸動脈中枢から留置した. 瘤内への造影剤漏出なく正確な位置に留置し得た. 術後経過は良好で, 合併症を認めなかった. ハイリスク遠位弓部大動脈瘤に対し, 頸部分枝再建を併用したステントグラフト内挿術は有効であったと考えられた.
症例
  • 田淵 正樹, 川原田 修義, 伊藤 寿朗, 小柳 哲也, 前田 俊之, 栗本 義彦, 樋上 哲哉
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 891-895
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    症例は, 40歳, 男性. マルファン症候群と診断されており, 32歳時にB型大動脈解離を発症し, 降圧治療を施行されていた. 38歳時にA型大動脈解離を発症したため, 他院で大動脈基部置換術と弓部大動脈置換術が施行された. この時の再解離で左鎖骨下動脈以下の大血管が三腔解離となり, その後, 拡大傾向を認めるようになったために, 手術適応となった.
    手術は, 前回手術の末梢吻合部が食道と癒着していたために, 左開胸での超低体温循環停止, 高本法による逆行性脳灌流を用いたopen proximal anastomosis法で中枢側吻合を行った. また, 脊髄を保護のため, 術前に同定されていた責任肋間動脈に対し選択的肋間動脈灌流を施行した. 肋間動脈および腹部分枝動脈を再建して, 左右の総腸骨動脈までのCrawford IIの範囲で人工血管置換を行った. 術後経過は順調で合併症なく術後19日目に自宅退院となった.
    三腔解離を伴うマルファン症候群の胸腹部大動脈瘤の1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.
症例
  • 千葉 義郎, 遠田 譲, 海老原 至, 福永 博, 大平 晃司, 山下 文男, 会澤 彰, 村田 実, 倉岡 節夫, 篠永 真弓, 上原 彰 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 896-900
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    症例は, 20歳代, 男性. 2日前に職場でロッカー移動などの作業を行った. その後, 左上肢に腫脹·疼痛を自覚するようになり, 当院に紹介受診. 血管エコーで左鎖骨下静脈から左腋窩静脈にかけての血栓閉塞を認め, パジェット·シュロッター症候群(Paget-Schroetter syndrome; PSS)と診断した. 抗凝固療法を開始するとともに, ただちに静脈造影を行い, 引き続きカテーテル血栓溶解療法(catheter directed thrombolysis; CDT)およびバルーン拡張術を行った. 2回のCDTで良好な左上肢血流の改善が得られ, 軽快退院となった. PSSに対して早期のCDTが奏功した症例を経験したので報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 安 健太, 五十嵐 仁, 楠原 隆義, 中塚 大介, 廣瀬 圭一, 岩倉 篤, 山中 一朗
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 904-908
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    症例: 82歳, 男性. 大動脈弁狭窄症に対し, 大動脈弁置換術を施行した(Carpentier-Edwards perimount; CEP弁23mm使用). 術後3年目より下腿浮腫を中心とした心不全症状が出現. 心エコーにて左室駆出率81%, 大動脈弁逆流1~2度, 大動脈弁口面積0.6cm2, 大動脈弁口血流速度5.0m/秒で, 弁尖の動きは極めて不良であった. 心カテーテル検査では, 平均肺動脈喫入圧18mmHg, 収縮期肺動脈圧40mmHg. 冠動脈に有意狭窄を認めなかった. SVD(structural valve deterioration)に伴う大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と診断され, 初回手術から41カ月で再手術となった. 切除された弁尖は黄褐色に染まり, 硬化していた. 石灰化はみられなかった. CEP magna生体弁21mmによる再弁置換術を行った. 術後1日目に抜管, 術後2日目にICU退室となった. その後も経過良好で, 心エコー上弁の動きが良好であるため, 軽快退院となった. 病理学的精査の結果, SVDの原因は弁尖の変質による硬化であったが石灰化は関与していなかった.
    考察·結語: CEP弁をはじめとする生体弁の寿命は一般的に10~15年程度で石灰化が主な原因と考えられているが, 非石灰化要因により短期間にSVDに陥った症例を経験したので報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 岡島 真里, 西田 剛, 荒尾 憲司郎, 須賀 幾, 菅原 養厚, 久保 典史, 阿古 潤哉, 百村 伸一
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 911-917
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    症例1は, 62歳, 男性. 急性後壁心筋梗塞を発症し, 左回旋枝#13に対して経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行, sirolimus-eluting stent(SES)を留置した. 3年後, ステント血栓症(stent thrombosis)を発症. #13ステント部は完全閉塞しており, 血管内超音波(intravascular ultrasound; IVUS)にてpositive vessel remodelingとincomplete stent apposition(ISA)を認めた. 同部位にpaclitaxel-eluting stent(PES)を2本留置した.
    症例2は, 80歳, 男性. 急性前壁心筋梗塞を発症し, 左前下行枝#7に対してSESを留置した. 4年後, ステント血栓症を発症. #7ステント部は完全閉塞しており, IVUSにてpositive vessel remodelingとISAを認めた. 同部位に対して, everolimus-eluting stent(EES)を留置した.
    SES留置後, very late stent thrombosis(VLST)を発症した2例を経験した. どちらもIVUSにて, positive vessel remodelingを伴うlate acquired incomplete stent apposition(ISA)を認め, ステント血栓症に関与している可能性が考えられた.
症例
  • 加藤 寿光, 金古 善明, 中島 忠, 入江 忠信, 倉林 正彦
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 7 号 p. 918-924
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/15
    ジャーナル フリー
    症例: 61歳, 男性. 1997年, 好酸球増多症による心筋炎から拡張型心筋症, うっ血性心不全を発症した. 2003年, 洞不全症候群に対し, DDDペースメーカーの植え込みを行ったが, うっ血性心不全を繰り返したため, 除細動機能付き両室ペースメーカー(cardiac resyncronization therapy defibrillator; CRT-D)にアップグレードした. 2007年, 頻脈性心房細動のレートコントロールのため, 房室接合部アブレーションを施行した. 2009年12月, 冠静脈洞リードのペーシング不全を契機に心不全が悪化した. 再留置を試みたが, 冠静脈洞内のペーシングでは横隔膜刺激が出現し, また, 刺激閾値が高く左室を捕捉できなかったため, 右室流出路に留置し右室心尖部の2点ペーシングとした. しかし, NYHA III-VI度, 心胸郭比65%, BNP 997pg/dL, 左室駆出率25%, 機能性僧帽弁逆流の増悪(IV度)を認め, 入退院を繰り返した. そのため, 一期的に僧帽弁置換術と心外膜左室リードの留置を追加して3点心室ペーシングを行った. 術後, NYHA II度で経過し, 心不全による入院はなく経過している. 本例は, CRTの冠静脈洞リード不全による難治性のうっ血性心不全, 機能性僧帽弁閉鎖不全に対し弁置換術, 心臓再同期療法の外科治療を行い, 心不全の改善を認めた貴重な症例である. 重症僧帽弁閉鎖不全症, 心臓非同期を合併した拡張型心筋症症例では, 内科的治療, 外科治療を含めた集学的治療により, 重症心不全の改善が期待できる.
研究会(第17回 肺塞栓症研究会)
一般演題
要望演題(PCPS装着例は内科的治療のみで対処できるか)-Pros and cons
一般演題
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