日本醸造協会誌
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116 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 大西 康夫
    2021 年 116 巻 6 号 p. 365
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
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  • −責任ある飲酒行動(適正飲酒)の普及啓発に向けた協会の取組−
    市田 浩恩
    2021 年 116 巻 6 号 p. 366-390
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー

    人類の社会文化に長年にわたり寄り添ってきた「酒」には,古来,「天の美禄」,「百薬の長」,「万病の元」等の多面的な評価が存在する。すなわち適度な飲酒は,心身をリラックスさせ,社会生活の潤滑油ともなるが,不適切な飲酒は,様々な健康面の問題等を引き起こす。

    したがって,いかにして飲酒による健康への悪影響を低減しつつ,歴史と伝統ある産業として,持続可能で健全な発達を継続していくかは,酒類業関係者にとって避けることのできない永遠の命題である。アルコール健康医学協会は,適正飲酒の普及と啓発を目的として,厚生省により昭和55年に設立された。

    そして,設立当初から酒類事業者が参画し,医療関係者と連携して運営に貢献してきたところであり,設立から40年を迎えた機会に,その歴史と現状をまとめていただいた。

  • 小松 さゆり, 坂口 恒介, 岩槻 健, Ken IWATSUKI
    2021 年 116 巻 6 号 p. 391-397
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
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    オルガノイドは,試験管内で幹細胞を培養することで作られた小さな臓器であり,本来の臓器と同様の機能を持つ。そのため,基礎生物学の研究や再生医療など病気の治療への応用が期待されている。筆者らは,味覚をつかさどる器官である味蕾オルガノイドの作製に世界で初めて成功し,それらが様々な呈味物質に反応する能力を持っていることを示した。味蕾オルガノイドを味覚センサーとして利用できれば,官能検査の代替や新規呈味物質の開発などに応用できる可能性がある。

  • 浅野 高幸
    2021 年 116 巻 6 号 p. 398-402
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー

    エバラ食品の「黄金の味」は,1978年に発売された焼肉のたれであり,40年以上にわたるロングセラーとして現在でも同社の主力商品の一つである。本稿では,その開発に携わった著者に,「黄金の味」誕生にかかわる市場背景から商品開発に至るマーケティング及び技術的設計の概要を解説していただいた。日本における焼肉の歴史や関東と関西の食文化の違いなどにも触れられており,興味深い内容となっている。

  • 独立行政法人酒類総合研究所
    2021 年 116 巻 6 号 p. 403-409
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー
  • 小笠原 佳美
    2021 年 116 巻 6 号 p. 410-413
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー
  • 高堂 泰輔, 西村 隆雄, 藤原 久志, 若井 芳則
    2021 年 116 巻 6 号 p. 415-427
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー

    深層畳み込みニューラルネットワーク(Deep CNN)を用い,酒造好適米外観品位を自動判定可能なモデルの検討をおこなった。玄米粒の表面反射画像と内部透過画像を撮影し,熟練した分析者により,整粒,未熟粒,被害粒,砕粒の4クラス,非胴割粒,胴割粒の2クラスにそれぞれ分類した。Deep CNNの構造は,畳み込み層8層,最大プーリング層4層,全結合層2層で構成されたモデルを基本とし,ハイパーパラメータチューニングによって,適切な層数,ドロップアウト率を検証した。評価用データの分類に最適化されたモデルを適用したところ,表面反射画像を用いた4クラス分類で89.9%,内部透過画像を用いた2クラス分類では86.1%の正解率となった。また,Deep CNNの判定材料となる画像内特徴をGrad-CAMを用いて可視化したところ,Deep CNNは視覚的な判断基準と同様の基準のもとに判定を行っていることが確認された。これらの結果からDeep CNNによる酒造好適米の外観品位評価は人の目視判断に近く,有用性が高いことが示された。

  • 髙橋 圭, 奥田 将生, 上用 みどり, 沼田 美子代, 包 紅彬, 河野 弘美
    2021 年 116 巻 6 号 p. 428-441
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー

    全国酒米統一分析法に基づいた2002年から2019年の酒米0次(早期)分析結果から米品種ごとに平均値を算出し,米品種間の比較解析を行い以下のことを明らかにした。

    (1)調整後千粒重については,華吹雪,おくほまれ,兵庫北錦が特に高く,雪女神,誉富士,秋田酒こまち,山田錦,きたしずく,千本錦,八反錦が高かった。

    (2)吸水率(20分)については,京の華や出羽の里で特に高く,誉富士,吟の夢,兵庫北錦,八反錦,山田錦,一本〆,華吹雪で高かった。

    (3)消化性(Brix)については,出羽の里で特に高く,京の華,誉富士,秋田酒こまちで高かった。消化性(FN)については,さぬきよいまい,中生新千本,雪女神で低く,フクヒカリ,吟風,兵庫北錦,おくほまれ,きたしずくで高かった。Brix/FN比については,出羽の里が極めて高く,続いて雪女神,山田錦,吟の夢,中生新千本,誉富士が高かった。

    (4)粗タンパク質含量と消化性(FN)は相関が見られたが,その程度は米品種により大きく異なっていた。

    (5)粗タンパク質含量については,おくほまれ,吟風,きたしずく,フクヒカリ,兵庫北錦で高く,京の華,五百万石,越の雫,彗星で比較的高い値を示したが,雪女神,出羽の里,山田錦,中生新千本,秋田酒こまち,吟の夢,さぬきよいまいでは低かった。

    (6)カリウム含量については,オオセト,松山三井,おくほまれ,兵庫北錦,さぬきよいまい,五百万石で高い値を示し,一方で吟風,出羽燦々,吟ぎんがで低かった。

    (7)多くの分析項目で同一産地の米品種間比較でも,全国の米品種間比較と同様の結果が得られた。以上から,米品種の違いが酒米特性に大きく影響することが明らかとなった。

  • 髙橋 圭, 奥田 将生, 上用 みどり, 沼田 美子代, 包 紅彬, 河野 弘美
    2021 年 116 巻 6 号 p. 442-454
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/05/23
    ジャーナル フリー

    1 2002年から2019年までの酒米0次(早期)分析データを用い,米品種ごとに年次間差解析を実施した。

    2 統計解析が可能な山田錦と五百万石の年次間差について,いずれの品種でも吸水率(20分,120分,120分/20分比),消化性(Brix),消化性(FN),Brix/FN比,粗タンパク質含量,カリウム含量はいずれも危険率0.01%~5%以下で有意に差があった。調整後千粒重に関しては,危険率0.1%以下で五百万石の年次間差が見られた。

    3 吸水率(20分)は,酒造好適米よりも一般米で年次間差及び変動係数が大きくなる傾向があり,記録的猛暑となった2010年は吸水率(20分)と吸水率(120分)のいずれも多くの米品種で高い値となった。

    4 消化性(Brix)は,各地で猛暑となった2007年,2010年,2012年,2019年には,多くの米品種で低い値となった。

    5 五百万石の消化性(Brix)は,年次内のばらつきが大きく産地間差が見られた。

    6 粗タンパク質含量は,産地・米品種に特徴的な年次間差を示し,カリウム含量は年次変動が高く気象条件の影響を強く受けると考えられた。

    7 山田錦と五百万石の消化性(Brix)は純米吟醸酒と吟醸酒の粕歩合と強く負に相関した。

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