水溶性アクリル樹脂の一つの試みとして, 本研究においては, 特に, 無水マレイン酸を変性成分として使用したものをつくり, 樹脂の生成反応, 特に, 共重合反応の条件の検討と, 簡単な分析による, 水溶性樹脂生成反応の研究を主要な目的とした。
結果を総括すると,
(1) 共重合反応の収率は, 無水マレイン酸の全成分中にしめる割合が少ないほど, また, 反応を高温還流状態で行なったものの方が良好であった。
(2) 15モル%以上の無水マレイン酸を含む共重合樹脂を水酸化アンモニウムと反応させると, 水溶性となったが, これは, 酸無水基が, 酸アミド基, および, カルボン酸アンモニウム塩に変化したことによるものと推定される。
(3) この水溶性樹脂に, 少量の水溶性メラミン樹脂を混合したものから焼付ケ塗膜をつくり, 性能を調べたところ, 無水マレイン酸量の少ないものほど, 耐水性が良好であった。
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