アントシアニジン色素(アントシアニン色素のアグリコン)と中性条件下で合成したHMS型メソポーラスシリカの複合体の調製方法と,その赤色顔料としての性能を検討した。
合成段階でAlを含有したメソポーラスシリカ(Al-HMS)はアントシアニジン色素を吸着しやすく,Al/Si=0.05以下では鮮やかな赤色の複合体が得られた。しかしながらAl含有量が増加するにつれて,複合体の色は赤から紫にシフトするという問題が見られた。これは強塩基性条件下で合成したAl含有MCM-41型メソポーラスシリカではみられない現象であった。希薄なNaOH水溶液でAl-HMSを洗浄することで,複合体シリカ骨格の外部に存在すると思われるAlを除去したところ,得られた複合体はAl濃度が高い場合であっても,鮮やかな赤色とすることができた。
得られた赤色のAl-HMS複合体は,色素が水へと溶出しにくく,光照射に対して高い安定性を示した。
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