今回のインタビューでは,平成24年~25年(2012年~2013年)に色材協会会長を務められ,現在は環太平洋大学国際科学・教育研究所 所長として後進の指導に当たられている川島 德道教授に,ご経歴を伺うとともに現在興味があること,また若手の方々に期待することなど伺ってまいりました。
金属と樹脂との複合化技術を開発するため,金属イオンを還元する作用を有する部位が含まれる樹脂を用いて樹脂内での金属イオンの還元,樹脂内での金属ナノ粒子の形成・埋め込みについて検討した。その結果,2級アミンを含むナイロン66やポリウレタンを金属塩水溶液に浸漬して加熱すると,樹脂内に金属ナノ粒子が形成されて,埋め込まれることが明らかとなった。また,金属塩エタノール溶液にナイロン66やポリウレタンを浸漬して加熱すると,樹脂内での金属ナノ粒子の形成・埋め込みが促進されることがわかった。さらに,形状の異なるナイロン66(球,チューブ,板,ワイヤー)においても同様にナイロン66内に金属ナノ粒子が形成されて,埋め込まれることが明らかとなった。このように2級アミンのような還元作用を有する部位を含む樹脂は,溶液中で金属イオンを樹脂内に取り込み,金属イオンを還元して金属ナノ粒子を形成し,自発的に金属と複合化することができる。
車載用燃料電池の実用化を目指して,150-500℃の広域温度帯をカバーするプロトン固体電解質の開発が精力的に行われている。本論文では,種々あるプロトン固体電解質の中でも,複数のカチオンを組み合わせて合成されたリン酸塩のユニークな結晶構造と,優れた熱安定性およびプロトン導電特性との相関について紹介する。
サステナブルな社会を目指す,SGDs・カーボンニュートラルという目標を前にして,自動車生産,その中でも環境負荷の大きい塗装工程の課題は大きい。自工程で問題となるCO2,VOC,廃棄物,水というSCOPE1・2に類する環境負荷低減に加えて,製品使用時のSCOPE3環境負荷低減を考えたとき,製品の軽量化,その一つの解として樹脂外板を想定した工程を考える必要がある。
しかし,樹脂外板の塗装は,色一致性の問題があり,採用は限られている。
当社では,PP製のフェンダー,バックドアの採用に当たって,鋼板塗装と樹脂塗装の間の色不一致(色変動)が起こる原因について手がかりを得るために,アルミ配向が決定する過程を可視化した。その結果から,塗装工程管理のヒントを提示する。
また,樹脂外板を採用した当社「コペン」を生産するために構成した塗装ラインについてご紹介し,樹脂外板の製品を実現する生産工程を考える一助とされたい。