アクリル酸エチルとメタクリル酸2-ヒドロキシプロピルの2成分 (90 : 10重量%) 共重合体エマルションにγ線を照射し, 酸の生成とメラミン樹脂による硬化性を検討した。
照射によってエマルションのpHは低くなり, 電気伝導度は高くなった。これはエマルション粒子表面のポリマーが加水分解し, 酸が生成したためであった。しかし, 16Mrad照射したエマルションでも, 樹脂酸価は10以下であり, メラミン樹脂の硬化反応に対する触媒効果が無視できる生成量であった。
メラミン樹脂を10phr添加し, 160℃・30分焼付けを基準硬化条件とすると, エマルションを3Mrad以上照射することにより, 焼付時間は20分に短縮でき, 焼付温度は30℃低くできることが, 硬化皮膜のゲル分率から明らかとなった。また, メラミン樹脂の使用量も削減できることが明らかとなった。硬化性の向上は, 皮膜の耐キシレン払拭性試験からも明らかとなった。この硬化性の向上は, 照射によって粒子内のポリマーが橋かけしたためであった。
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