色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
72 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 島崎 益男, 河原 肇, 河野 通, 桃澤 信幸, 酒井 秀樹, 阿部 正彦
    1999 年 72 巻 12 号 p. 726-732
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    逆ミセル法により調製した酸化チタン (TiO2) 微粒子を基板上に担持することによりTiO2超薄膜を作製し, その表面構造および光物性に及ぼす担持された微粒子の大きさや膜厚の影響を検討した。基板上に担持された膜のUVスペクトルおよび原子間力顕微鏡 (AFM) 観察から, 透明性に優れたTiO2微結晶薄膜の形成が確認された。さらに, 平均粒子径10nmおよび30nmのTiO2微粒子を担持した薄膜の光電流特性に及ぼす粒子径・膜厚の影響を検討したところ, いずれの大きさの微粒子を担持した場合も, 光電流はある特定の膜厚以上でのみ観察されることが分かった。また, 膜厚のしきい値は担持されている微粒子の粒子径に依存し, 平均径10nmの粒子を担持した薄膜の場合には約10nm, 30nmのTiO2微粒子を担持した薄膜の場合には約30nmであることが分かった。
  • 真木 伸一郎, 奥津 聡, 玉野 美智子, 鬼久保 俊一, 榎田 年男
    1999 年 72 巻 12 号 p. 733-738
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    我々は, トリフェニルアミン誘導体である2種類の正孔輸送材料系, FTPD, OTPACの性質にっいて検討をfrった・FTPDは・硬直なフルオレン骨格を有している。FTPDは80℃以上のガラス転移温度を持ち, そのイオン化ポテンシャルは, FTPDのフェニル基に置換した置換基のハメット定数と相関があった。FTPDを用いた2層型の有機発光ダイオード (LED) の駆動電圧は, FTPDのイオン化ポテンシャルが大きくなるに従って高くなった・OTPACは・トリフェニルアミンがオリゴマー化した構造を有する。OTPACのガラス転移温度は, FTPDのそれよりも高かった。有機LEDの駆動電圧は, イオン化ポテンシャルと相関は見られなかったが・FTPDの場合と比べると低くなった。OTPACについては, 正孔輸送層のモルフォロジーがデバイスの性能に主として影響を与えていると考えられる。
  • 肥田 敬治, 富岡 秀雄
    1999 年 72 巻 12 号 p. 739-747
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    紫外線硬化塗料の耐候性を向上させることを試みた。一般的に, 塗膜の耐候性を向上させるために, 紫外線吸収剤の添加が行われる。しかし, 紫外線硬化塗料に紫外線吸収剤を添加すると, 硬化に必要な紫外光まで, 紫外線吸収剤が吸収してしまうため, 満足な硬化性が得られないのが現状である。他の手法としてヒンダードアミン系の安定剤を用いる場合があるが, これは, 紫外線吸収能を有していないため, 下地保護機能が劣るという問題点がある。
    そこで我々は, 紫外線吸収剤のメカニズムに着目し, 水酸基を保護した新しい紫外線吸収剤の設計を試みた。光脱離型保護基であるキサンテンカルボン酸エステル, o-ニトロベンジルエーテルで水酸基を保護した紫外線吸収剤はその性能が抑制され, 紫外線硬化塗料において, 硬化阻害を引き起こさないことがわかった。また, これらの保護基は紫外線の照射下, 水酸基を再生し, 紫外線吸収剤としての機能を再発現することがわかった。しかしながら, 促進耐候性試験においては, 脱離し塗膜中に残存する保護基の影響で, 塗膜に黄変が観察された。これらのことから, より耐候性の優れた保護基で水酸基を保護することで, 紫外線硬化塗料の硬化を阻害しない新規な紫外線吸収剤が得られる可能性が示された。
  • 広瀬 正一, 周 建暉, 谷口 竜王, 長井 勝利
    1999 年 72 巻 12 号 p. 748-759
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    部分的に末端がビニル基で封鎖されたポリウレタンに酸モノマーを含むビニルモノマーの混合物をグラフトすることによって, 両親媒性アクリルーポリウレタングラフト共重合体を合成した。分散剤を使用して有機溶媒中にあらかじめ分散されたカーボンブラックと有機顔料は, この両親媒性重合体を用いた転相乳化プロセスによってカプセル化できた。有機顔料を疎水性樹脂からなる固体の顔料分散体を使用しても同様な方法でカプセル化が可能であった。乳化条件と顔料/バインダー比の影響について研究した。ポリウレタンセグメント中に三級アミノ基を有する両親媒性アクリルーポリウレタングラフト共重合体を使用することによって, 分散剤を使用せずに顔料を直接樹脂でカプセル化できる可能性を示した。
  • 中村 高志, 村上 泰, 高須 芳雄
    1999 年 72 巻 12 号 p. 760-764
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    チタンアルコキシドを, あらかじめイソステアリン酸に作用させることによりオイル中に分散させ, 一辺の長さが0.5~200μmの薄片の形状をしたオイルに分散する酸化チタンを合成した。合成した酸化チタンの30wt%オイル分散液は透明であり, かつin vitro SPFが16と高いUV-B吸収能を示した。既存の微粒子酸化チタンをこの分散液に加えることで, さらに高いUV防止能が得られた。不飽和脂肪酸であるリノール酸への酸化テストや, モルモットを用いた安全性テストを行った結果, 市販の表面処理された微粒子二酸化チタンと同程度の表面活性と, 安全性が確認された。
  • 林 永二, 阿部 隆, 大森 浩太, 柳原 正典
    1999 年 72 巻 12 号 p. 765-770
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    フルオロァルキル基として, 鎖状あるいは環状の数種類のペルフルオロ (ジアルキルアミノ) 基を有するオリゴマー型のフッ素系界面活性化合物をペルフルオロ (ジアルキルアミノ) 基置換ペルフルオロカルボン酸フルオリドと重合度の異なるポリエチレンイミンを反応させることにより合成した。これらの化合物では, ペルフルオロ (ジアルキルアミノ) 基鎖がイミノ基に対して, 0.4~2.2%導入された。ペルフルオロジアルキルアミノ基鎖の導入率が比較的高い試料では, 対応する含窒素ペルフルオロカルボン酸アルカリ金属塩単独と同程度の表面張力低下能を示した。
  • 市原 聡, 今井 大輔, 佐々木 雅啓
    1999 年 72 巻 12 号 p. 771-776
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    塗膜耐久性と光触媒活性を両立させたプレコート型塗装ステンレス鋼鋲の開発を目的として, 塗料における樹脂系およびTiO2光触媒の選定に関する検討を行った。その結果, ポリ弗化ビニリデンからなるフッ素樹脂にオルガノシリカゾルを10wt%配合したシリカゾル含有フッ素樹脂をベースとして, これに顔料級のアナターゼ型およびルチル型TiO2を重量比10/90の割合で樹脂固形分比0.8となるように配合し, さらに暗所においても抗菌性能を発揮させるためトリアジン系, イソチアゾロン系および銀-リン酸塩系の各抗菌剤を必要量添加した上塗り塗料を得た。これを適正に表面処理したステンレス鋼飯上に下塗り塗料とともに焼付塗装した材料は, 環境機能性プレコート鋼板として内外装建材用途に十分適用できる塗膜性能を有していることが確認された。
  • 小越 昇
    1999 年 72 巻 12 号 p. 777-783
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
feedback
Top