一般に不飽和ポリエステル樹脂は主として空気中の酸素の影響をうけて塗膜表面は粘着性を有する。われわれはアリルエーテル誘導体で不飽和ポリエステル樹脂を変性し, 空気硬化性ポリエステル樹脂を作成した。
すなわちアリルセロソルブ, アリルグリシジルエーテルでベースレジンを変性する系では, 空気硬化の効果はベースレジンの不飽和度の大きいものほどよいが, アリルセロソルブ変性樹脂のみは30℃で, ベースレジンの不飽和度40~50モル%のものが良好であった。またアリルエーテル末端基数の多いものほど, 空気硬化の効果, 表面硬度, 耐薬品性など優秀でありかつこの場合も前報同様ベースレジンのmp, ポリエステル分子の屈曲性に大きく影響した。
アリルセロソルブアクレート, アリルセロソルブメタクリレート, アリルグリシジルエーテルでベースモノマーを変性する系では, いずれの変性モノマーを用いた場合も, ベースレジンの不飽和度40~50モル%で空気硬化の効果はよく, また共重合反応熱を測定し, 空気硬化速度の大きい所では反応熱は最大値を示した。
また赤外線吸収スペクトルの3400cm
-1 (2.92μ) の吸収変化を追跡し, 硬化機構について考察し, さらに触媒, 促進剤, 塗膜厚さ, 各変性樹脂の物理的性質, 耐化学薬品性について検討を行なった。
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