色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
85 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究論文
  • アマタ チャイキェンカイ, 竹下 侑花, 柴田 雅史
    2012 年 85 巻 11 号 p. 439-448
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    Fe源,構造形成剤の除去方法およびメソポーラスシリカの型がFe含有メソポーラスシリカの紫外線吸収能に与える影響を検討した。また,これらFe含有メソポーラスシリカの紫外線防御剤としての可能性を,薄膜にしたときの紫外線透過性,外観色,光触媒活性により評価した。
    FeアセチルアセトナートをFe源としたMCM-41型を焼成した試料が最も良好な紫外線吸収能を示した。ただし,鉄濃度が高くなる(Fe/Si ≥ 0.02)と薄茶色の外観となった。一方,FeアセチルアセトナートをFe源としたHMS型またはMCM-41型で溶媒抽出によって構造形成剤を除去した試料は紫外線吸収能は前述のものより劣るものの外観色は白色であった。
    焼成したFe-MPS試料(Fe/Siモル比=0.02)の水分散物の薄膜は,シリカ表面処理をした酸化チタン水分散物と同程度の紫外線透過挙動であった。また光触媒活性もみられなかった。これらのことからFe含有メソポーラスシリカは紫外線吸収剤としての可能性があるものと考えられる。
ノート
解説
  • 舞 幹子, 緑川 俊文
    2012 年 85 巻 11 号 p. 453-458
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    紫外線(UV)硬化技術は,その利点である「瞬間硬化」「強靭な皮膜」「無溶剤」からさまざまな分野で利用されている。日常目にする印刷物に用いられている紫外線硬化型インキは,使用する用途に応じて必要な性能・物性を付与し,市場のニーズとマッチした製品の提供を行っており,紫外線硬化型印刷システムを用いた付加価値を高めるような印刷を行うことによる印刷物の差別化も進んでいる。また,近年のさらなる環境への配慮を考慮し,さまざまなアプローチからインキ設計を行っている。光学的な分野においても,紫外線硬化技術の利用は進んでおり,機能性を付与したハードコート剤が市場で利用されている。
    本稿では市場におけるこれら紫外線硬化型インキ・紫外線硬化型ハードコート剤の利用分野およびその特徴等について述べる。
解説
  • 高柳 順, 大竹 秀幸
    2012 年 85 巻 11 号 p. 459-464
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    われわれは,テラヘルツ波を用いた多層塗装膜厚計測技術の開発を行っている。テラヘルツ波は,光波と電波の間に位置する電磁波であり,塗装膜に対してほどよい透過性を有していることと,短パルス化が可能であることから,エコーパルス計測を行うことで非破壊・非接触で多層膜の層ごとの膜厚を計測することができる。さらに,非破壊計測であるために,ウェット状態の塗装膜厚も計測することができる。従来のテラヘルツ装置は大型であり,実用的な装置は存在していなかったが,フェムト秒ファイバレーザー技術を軸とした開発を行うことで,小型・安定かつ高分解能特性を実現することに成功した。われわれが開発した装置は,膜厚10 μm程度の塗装膜厚を計測することができ,またワークに対して移動させることやロボットに搭載して自動多点計測することも可能である。今後の技術開発により,塗装膜厚管理の新たなツールとして活躍できることを期待する。
最新化粧品・ヘルスケア講座(第XV講)
最新表面科学講座(第IV講)
  • 末吉 孝
    2012 年 85 巻 11 号 p. 471-477
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    走査プローブ顕微鏡は基本原理が確立して30年あまりが経過した。現在に至る装置環境の変化は目覚ましく,コンピュータや画像処理技術の進歩が装置をより使いやすくした。それにともなう用途の分化によって,いくつかの種類の顕微鏡技術として多様化している。とりわけ原子間力顕微鏡から派生した各種の応用測定モード(摩擦力顕微鏡,磁気力顕微鏡,走査ケルビンプローブ顕微鏡など)は,ほかの顕微鏡において取得できない情報を得られるという利点から注目が高まっている。
feedback
Top