カルボキシル基濃度の異なる5種類のアクリル樹脂を合成し, 酸化チタン顔料表面への吸着挙動について検討した。さらにこれらの樹脂と酸化チタンからなる分散体について, アクリル樹脂中のカルボキシル基濃度と分散性の関係について検討した。
アクリル樹脂の酸化チタン顔料表面への吸着量は, カルボキシル基濃度が2mo1%まで増加し, 5mo1%でほぼ一定値となった。吸着層中の樹脂濃度は, カルボキシル基濃度が2mo1%まで増加し, 5mo1%で一旦緩やかな増加となるが, 10mo1%で急激な増加が認められた。さらに, 吸着層の厚さは, カルボキシル基濃度の増加に伴い減少する傾向を示し, 10mo1%で急激な減少が認められた。
酸化チタンとアクリル樹脂からなる分散体の分散性について, レオロジー測定, および透過型電子顕微鏡による観察を行ったところ, カルボキシル基濃度が2mo1%あたりまで分散性は大きく向上し, 以降緩やかに増加した。
これらのことより, アクリル樹脂中のカルボキシル基濃度が, 分子中に平均4個までは, 酸化チタン表面への相互作用は増加する。一方分散性は平均1個までは向上するが, それ以上増加しても変化しないことが認められた。
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