ビスフェノールA系エポキシ樹脂・硬化剤系配合物を粉末塗料もしくはペレットとして用いるため, 種々配合物の粉体工学的な性質および溶融特性を検討した。溶融混合法によって得た配合物をボールミルで粉砕した粒子は180mesh付近を境にして二つの粒径分布を示したが, それら分布の相対的な割合は粉末融点によって変動した。これら粉末より成型したペレットの溶融時の流れは, 粉末の粒度にはほとんど無関係であり, 同一融点の配合物では硬化剤によってDDS>DAM-ETP>HETの順に小さく, 同一配合物では粉末の融点に依存した。シリカや顔料などの充テン剤もしくは添加剤の影響を検討するとともに, 市販のエポキシペレットの溶融時の流れと比較議論した。
ビスフェノールA・エピクロルヒドリン縮合系エポキシ樹脂と各種硬化剤との溶融混合法によって得られる配合物を流動床浸セキ塗装用, もしくはペレット用配合物として有用か否かを検討した。用いた樹脂と硬化剤はEPikote 828およびジアミノジフェニルスルホン (DDS), ジアミノジフェニルメタン (DAM), クロレンド酸無水物 (HET), 無水ピロメリト酸 (PMDA), Epikure ETP (ETP), Epikure BF
3-400 (BF
3-400) とであった。ボールミルで粉砕した粉末粒子の微分分配関数は二つの極大値を有したが, これら二つのFractionの相対的な比は粉末の融点に比例して変化した。粉末の融点が低いとその経時変化が大きく, したがって棚寿命は短くなった。これら粉末配合物より粉末成型機によって得られるペレットの溶融流れは粉末の粒径には無関係だがその融点によって変動した。同一配合組成を持つペレットでは, 粉末の融点が高くなるとペレットの流れは小さくなり, 同一融点を示す種々のペレットの流れはDDS>DAM-ETP>HETの順に小さくなった。これは一つにはこれらの系における硬化速度の差異によって説明できるだろう。溶融時の流れの相対値は, 粉末配合物それ自体の融解時の粘度のみではなく, 融解状態で硬化反応が進行して, 系の粘度や融点が上昇し流動性が減少していく効果をも含んでいると思われる。
顔料や充テン剤など他の添加物の溶融時の流動性に及ぼす効果も検討した。またこれらの結果を市販エポキシペレットの溶融時の流動性と比較した。
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