紫色無機顔料のコバルト・バイオレット・ディープの色相や粒子性状を改質するために, その原料であるCo
3 (PO
4)
2・8H
20を150°~350℃のリン酸カリウム水溶液中で水熱処理し, 生成物の性状を検討した。処理液のpH, 濃度, 処理温度, 時間などの違いによって, 生成物の組成, 粒子性状は異なった。
1.0mol dm
-3KH
2PO
4水溶液を用いてCo
3 (PO
4)
2・8H
20を水熱処理をした場合, 15℃処理ではCo
3 (PO
4)
2・4H
2Oに, 200℃処理ではCo
3 (HPO
4)
2 (OH)
2に, 250°~300℃処理では未知物質に, 350℃, 72時間以上ではKCo
4 (PO
4)
3に, それぞれ変化した。KCo
4 (PO
4)
3は熱安定性にすぐれ, 耐熱性の紫色顔料への利用が期待できる。
1.0mol dm
-3K
2HPO
4, またはK
3PO
4水溶液を用いた場合には, いずれの処理条件においてもCo
3 (PO
4)
2・8H
2OはKCoPO
4に変化した。しかし, 処理温度, 処理液のpHの違いなどにより, KCoPO
4の粒子形態は, デンドライト晶, 棒状晶, 粒状晶, 多面体晶と異なった。さらに金属イオソを添加することにより生成粒子の形態を変えることができ, 色相の改質もできた。ZnCl
2を添加してえたKCoPO
4はあざやかな色相であり, その添加量の変化によって平均粒子径も変わった。
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