ポリエチルメタクリレート/水系において, 流動電位法から求まるζ-電位の経時的減少過程とポリマー固体の水分率の増加過程との相互関係をガラス転移点 (T
g51℃) を含む温度範囲で追求した。収着はT
g以下ではポリマー組織の内部空隙に起こる水和過程ののち生ずる毛細管流動に従って進行し, T
g以上ではセグメントの拡散運動に従って進行するということが仮定されている。その結果, ζ一電位の経時的減少から得られる速度定数Kの温度依存はT
g以上と以下において, 上の理論的推定と一致したが, 収着法から求まる拡散定数Dの温度依存はT
g以上で一致したが, 以下では一致しなかった。これは (1) ポリエチルメタクリレートが疎水性であるため, 水和による収着が非常に少ないことと (2) ポリマーの外部層に関する動電気現象から得られるζ-電位とポリマーの内部層に関与する収着の相違と考えられる。
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