無機顔料 (SiO
2, PbCrO
4, PbO) 上のアマニ油変性アルキド樹脂の熱劣化を熱重量分析 (以下TGAと略す) とIRスペクトルを用いて調べることにより, 顔料と塗料用樹脂の相互作用を検討した。
SiO
2の表面は不活性なので, 樹脂のみのTGA曲線からSiO
2上に種々の厚さにコーティングした樹脂のTGA曲線を差し引いたものは, コーティング層の厚さの影響を示す。
樹脂のみとSiO
2上10%樹脂膜 (重量比で樹脂 : 顔料=10 : 90) のTGA曲線の差曲線では, 温度差が50~97。C低い温度で劣化した。
SiO
2上の1%樹脂の膜厚の影響は10%樹脂の場合より22~24%増大した。
PbCrO
4上の10%樹脂膜のTGA曲線とSiO
2上の10%樹脂膜のTGA曲線の差曲線はPbCrO
4と樹脂の相互作用をあらわす。この相互作用は分解温度が13℃から27℃も低い温度で分解が起こることを示した。
PbCrO
4上1%樹脂膜の相互作用は分解温度を28℃から34℃も低下させた。
同じ方法でPbOと樹脂との相互作用を解析した結果3段階で分解が起こった。
PbCrO
4上の1%樹脂膜中のエステル基は210℃で'20%分解し, それ以上の温度で激しく分解した。
PbOと樹脂の相互作用により, 120℃でPbO上の1%樹脂膜のエステル基は分解し, カルボキシルアニオン基が生成した。
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