本研究ではポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体ジメチルエーテル(EPDME)を用いて粒子径100 nm以下の超微細エマルションを簡便に調製することができる新規な乳化法について示す。
EPDMEがペンタエチレングリコールドデシルエーテル(C
12E
5)の自己組織体に及ぼす影響について検討した。その結果,(1)流動パラフィンを可溶化することにより,C
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5の疎水基の凝集力が増加した際,油分を含んだ特殊なミセルが形成されること,(2)この際EPDMEはC
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5の親水基中に分配され,(3)油-水界面膜が正の曲率になることがわかった。
また,超微細エマルションの生成機構を明らかにする目的で,水-油-界面活性剤-EPDME系の相図を作成して検討した結果,(1)油分,EPDME,界面活性剤,水が特定の割合になったとき,従来のマイクロエマルション相とは異なる領域に特殊なマイクロエマルション相が形成され,(2)そのマイクロエマルション相を水で希釈すると2相領域の超微細エマルションが得られることがわかった。
EPDMEとポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤の濃度が高い場合,EPDMEは親水的なCo-surfactantとして機能し,この特殊なマイクロエマルションが形成されると推察される。EPDMEはポリオキシエチレン系界面活性剤のポリオキシエチレン基に分配されると推察される。このマイクロエマルションが希釈される際,EPDMEは界面活性剤のポリオキシエチレン基からバルク水中に速やかに拡散する。このようにして,界面活性剤と油分のみで構成される超微細エマルションが形成される。
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