色材協会誌
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82 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文
  • 佐藤 久美子, 平原 英俊, 川村 優文, 會澤 純雄, 成田 榮一
    2009 年 82 巻 11 号 p. 487-492
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2010/02/20
    ジャーナル フリー
    新しい表面処理剤の開発を目的に,トリアジンチオールを末端にもつオリゴ(2-ブチル-2-オキサゾリン)(OBuOZO)という新規のテレケリックスを合成し,銅板上に形成したその被膜について検討を行った。実験は,まずブチルオキサゾリン(BuOZO)のカチオン開環重合により得られたリビングOBuOZOをトリアジンチオールと反応させ,37.1%の収率でテレケリックスを合成した。次に,銅板をテレケリックス溶解液に浸せきして被膜処理した。処理銅板の質量測定から単位表面積当たりの吸着被膜量を求め,さらにX線光電子分光(XPS)分析,原子間力顕微鏡(AFM)分析および接触角測定から,処理銅板表面の性状の変化を調べた。その結果,生成被膜量は処理温度と処理時間の増大とともに増加することがわかった。また,未処理銅板に比べ処理銅板表面の接触角が増大し,表面の疎水化が確認された。さらに,XPS分析とAFM分析により処理銅板表面上の生成テレケリックス被膜の状態を明らかにした。
ノート
解説
  • 野波 弘忠
    2009 年 82 巻 11 号 p. 499-504
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2010/02/20
    ジャーナル フリー
    オフセットインキは,印刷方式,印刷機の特性により,硬さがほかの色材とは異なり高粘度で高弾性な色材である。また,平版印刷において水と油の反発を利用した印刷方式でありながら,適度なエマルジョンを形成することが重要であるため,使用可能な原材料も必然と限定される。そのオフセットインキにおける顔料分散という観点で,使用している顔料の製造段階まで遡り,顔料の分散状態や特性,分散方法と分散機などの製造工程,分散性の評価方法や印刷適性への影響について解説する。オフセットインキにおける顔料分散は,分散性の度合いが品質に強く影響しており,化学的・物理的の両面から分散性を向上させることが重要である。
解説
  • 宮原 令二
    2009 年 82 巻 11 号 p. 505-509
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2010/02/20
    ジャーナル フリー
    本研究ではポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体ジメチルエーテル(EPDME)を用いて粒子径100 nm以下の超微細エマルションを簡便に調製することができる新規な乳化法について示す。
    EPDMEがペンタエチレングリコールドデシルエーテル(C12E5)の自己組織体に及ぼす影響について検討した。その結果,(1)流動パラフィンを可溶化することにより,C12E5の疎水基の凝集力が増加した際,油分を含んだ特殊なミセルが形成されること,(2)この際EPDMEはC12E5の親水基中に分配され,(3)油-水界面膜が正の曲率になることがわかった。
    また,超微細エマルションの生成機構を明らかにする目的で,水-油-界面活性剤-EPDME系の相図を作成して検討した結果,(1)油分,EPDME,界面活性剤,水が特定の割合になったとき,従来のマイクロエマルション相とは異なる領域に特殊なマイクロエマルション相が形成され,(2)そのマイクロエマルション相を水で希釈すると2相領域の超微細エマルションが得られることがわかった。
    EPDMEとポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤の濃度が高い場合,EPDMEは親水的なCo-surfactantとして機能し,この特殊なマイクロエマルションが形成されると推察される。EPDMEはポリオキシエチレン系界面活性剤のポリオキシエチレン基に分配されると推察される。このマイクロエマルションが希釈される際,EPDMEは界面活性剤のポリオキシエチレン基からバルク水中に速やかに拡散する。このようにして,界面活性剤と油分のみで構成される超微細エマルションが形成される。
  • 原 義則
    2009 年 82 巻 11 号 p. 510-515
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2010/02/20
    ジャーナル フリー
解説
  • 白幡 直人, 目 義雄
    2009 年 82 巻 11 号 p. 516-521
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2010/02/20
    ジャーナル フリー
    半導体エレクトロニクスの基盤を築くシリコン(Si)の大きさを三次元的に微小サイズ化することで,本来,間接遷移型バンドギャップ構造を有するがゆえ発光しないはずのSiから可視波長領域でサイズ効果に基づいた蛍光発光を観察することができる。無極性半導体であるSiからの発光は,表面化学種の違いにより大きく影響を受けるため,安定した発光を導くには,発光Siナノ粒子の表面を適切に化学修飾することが必要となる。本稿では,『なぜSiなのか?』という疑問に対して答えることからスタートし,2000年以降に進歩した湿式合成法について探求する。室温に近いマイルドな溶媒分散系の環境下で蛍光量子収率10%を超える有機終端化Siの可視発光量子ドットがすでに実現している。コロイド状ナノ粒子を作製することにより享受できる室温高輝度発光について紹介することで,循環環境社会構築へ向けたSiの重要な役割が見いだされる。
ナノテクノロジー講座(第VIII講)
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