原子吸光法 (AAS) および電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフィー (ECD-GC) により, 自己研磨型船底防汚塗料からの銅およびトリブチルスズ (TBT) の溶出挙動について検討した。
自己研磨型船底防汚塗料を塗布した試験板 (有効表面積 : 140 cm
2) を, 人工海水中 (200
l) に浸せきして, 一定期間ごとに取り出し銅および TBT の溶出速度 (L. R.) を測定した。溶出速度は天然海水1,000 m
lが入ったビーカー (空気吹き込み量 : 約200 m
l/min) に一定時間浸せきして, 塗膜表面から海水中に溶出する銅および TBT を定量することで求めた。
その結果, 船底防汚塗料の塗膜表面から溶出する銅および TBT の溶出速度を同時に測定できる溶出テストの浸せき時間は2時間が妥当であることを示した。さらに, 定常状態における銅および TBT の溶出速度は, それぞれ 15~25 μg/cm
2/day および 1~2 μg/cm
2/day であることが明らかとなった。また, この溶出速度を持った塗膜はきわめて良い防汚性能を示すことがわかった。
抄録全体を表示