新規高機能性複合材料の構築を目的として, マグネシウムエトキシドと種々のジオール (ヒドロキノン, 4, 4'-ジヒドロキシビフェニル, ビス (4-ヒドロキシフェニル) スルフィド, およびビス (4-ヒドロキシフェニル) スルホン) との反応により, 有機基とマグネシウムが交互に共有結合した新規ハイブリッド共重合体を合成し, これらの物性について検討した。
その結果, フェニレン骨格を有するハイブリッド共重合体は酸素に曝露することで, 白色から緑色へと変化し, これらが酸素吸着・活性化能を有することが示唆された。
そこで, フェニレン骨格を有するハイブリッド共重合体のUV-VISおよびESRスペクトルを酸素雰囲気下で測定したところ, UV-VISスペクトルでは600nmに吸収が認められ, さらに時間の経過とともに吸収強度が増大することが判明した。またESRスペクトルでは, 337mT付近に有機ラジカルに由来するシグナルが認められた。これは, ハイブリッド共重合体が酸素分子を吸着し, フェニレン核からマグネシウムへの電子移動によって生成したラジカル種に由来するものと考えられる。さらに, スピントラップ法によって生成するラジカル種の特定を行ったところ, ヒドロキシラジカルおよびヒドロペルオキシラジカルに由来するシグナルが認められた。これらの結果は, 共役系有機骨格を有するハイブリッド共重合体が酸素吸着, 活性化能を有することを強く示唆している。さらに, 生成する活性酸素種によるアセトアルデヒドの酸化分解を行ったところ, アセトアルデヒドの分解が認められ, ハイブリッド共重合体が酸化触媒として機能していることが示唆された。
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