フェノールの光触媒反応に及ぼす酸化チタン微粒子の荷電状態の影響を, 界面化学的および速度論的に検討した。光触媒反応に伴う酸化チタンのζ電位変化を測定したところ, フェノール無添加時のζ電位はほとんど変化しなかったが, フェノール存在下のζ電位は大きく変化した。この変化は水溶液のpHが小さい場合ほど顕著であった。ζ電位の変化は, フェノールの光触媒反応生成物であるカテコール, ピロガロール, さらにこれらが酸化されたカルボン酸類の酸化チタン粒子上への吸着に起因していることが分かった。また, フェノール分解反応の初速度は分散媒が塩基性側であるほど, すなわち, 酸化チタン微粒子が負に帯電しているほど大きかった。さらに, 反応生成物の吸着を考慮したLangmuir-Hinshelwood式の拡張式を導入し, フェノールの光触媒分解反応の速度論的検討を行った。
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