色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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92 巻, 12 号
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特集 微細構造と色材
総説
解説
  • 佐野 航季
    2019 年 92 巻 12 号 p. 345-348
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    色素や顔料は特定の波長の光を吸収することで発色する一方,光の波長程度の周期構造は特定の波長の光を反射することで発色する。本研究では,無色透明な水の中で,1%未満の微量な酸化チタンナノシートを規則正しく一定間隔に配列すると,鮮やかな構造色を示すことを見いだした。得られた微細構造は,ネオンテトラやルリスズメダイなどの熱帯魚の表面に存在する色素細胞(虹色素胞)の構造と類似しており,構造秩序性と流動性を兼ね備えるために環境の変化に応答して構造色を自在に変化させる。本稿では,酸化チタンナノシートの特徴,水中でナノシートを超長周期で配列させる方法,構造色の外部刺激応答性などについて解説する。

    酸化チタンナノシート水分散液中のナノシート濃度を変えた際の,模式図(上),実際の写真(中),反射スペクトル(下)7-9)
解説
  • 平野 文美, 山根 貴和
    2019 年 92 巻 12 号 p. 349-354
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    マツダは「カラーも造形の一部」という考えの下,魂動デザインの造形をより美しく見せる陰影表現を追求し,ソウルレッドプレミアムメタリック™,マシーングレープレミアムメタリック™を量産化してきた。

    一般的に,発色や質感を高める場合は塗膜層を増やす手法が主流であるが,多くの塗料と塗装工程数が必要になり,環境性能と経済性が低下する。マツダでは地球環境に優しい塗装工程を目指し,環境負荷物質の排出量低減に取り組んできた技術を活かすことで,塗膜層の数を増やすことなく,高意匠カラーの開発を進めている。本稿では,進化した魂動デザインの造形をさらに際立てるソウルレッドクリスタルメタリック™を開発した取り組み内容を紹介する。

  • 片桐 清文
    2019 年 92 巻 12 号 p. 355-361
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    構造発色性材料は,安全な原料から合成でき,退色しにくいことから,新たな色材として注目を集めている。なかでも微粒子集積型の構造色は,粒子サイズに応じた多様な色を得ることができるなど利点も多く,発色原理の解析も急速に進展している。一方で,微粒子集積型構造色をコーティング膜として,塗装に応用するための検討は十分にはなされていない。筆者らはこのような背景において,泳動電着法に着目し,微粒子集積型構造色をコーティング膜として作製する手法の開発を行っている。シリカ粒子を用いて鮮やかな構造色を呈するコーティングができ,それが複雑形状表面にも適用可能であることを見いだした。さらに,電着条件の検討により,構造色の角度依存性を制御する技術や,コーティング膜の耐摩擦性を飛躍的に向上させる技術を実現した。

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