色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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91 巻, 8 号
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研究論文
  • 今井 将人, 稲田 駿介, 佐藤 迪吉, 片桐 洋史, 岡田 修司
    2018 年91 巻8 号 p. 253-259
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル フリー

    3-[4-(ジブチルアミノ)フェニル]-4-シアノ-5-ジシアノメチレン-2-オキソ-3-ピロリン1a,およびその1-ブチル(1b),1-ヘキシル(1c),1-(2-[2-(アクリロイルオキシ)エトキシ])エチル(1e)誘導体を合成し,X線結晶構造解析を行った。これらの色素は,ドナー基およびアクセプター基が結合した共通のπ共役系を有し,電気光学クロモファーとして用いることができる。これらの結晶の吸収について,結晶中のクロモファーの配列と関連させて議論した。π共役系間に逆平行の相互作用がある分子配列では,吸収がより短波長側にシフトした。最も長波長の吸収が観測された1eでは,π共役系は置換基によって隔離され,隣接するπ共役系間の相互作用はほとんど生じていなかった。

  • 小林 弘明, 森田 晃一, 山下 勝也, 片岡 泰弘
    2018 年91 巻8 号 p. 260-267
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル フリー

    金属材料は耐食性の向上や意匠性の改善を目的として塗装されることがある。塗装の目的を長期間維持するためには,適切な塗装前処理が必要となる。現状,代表的な塗装前処理として化成処理が挙げられる。化成処理は,塗装後耐食性や生産性に優れる一方で,廃液処理が必要となることから環境面で課題がある。そこで,本研究では,廃液処理の必要がない大気圧プラズマ処理に着眼し,塗装前処理としての適用性を検討した。結果,プラズマ生成ガスとして窒素を用いて大気圧プラズマ処理した場合,ぬれ性と付着性を改善できることがわかった。この要因は,金属材料表面における有機物と酸化物の残存状態に起因していることを明らかにした。また,大気圧プラズマ処理によってぬれ性と付着性を改善した金属材料の塗装後耐食性は,金属材料表面における腐食生成物の発生形態に大きく影響される可能性が高いことが示唆された。

解説
  • 桑原 和弘
    2018 年91 巻8 号 p. 268-273
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル フリー

    NMRは化学シフトから化学構造を決定する手法としてよく用いられているが,緩和時間や高分解能NMRスペクトルの線幅から分子運動性を評価する手法としても有用である。本稿では筆者らが,水性塗料用の顔料分散ペースト中における分散樹脂の吸着状態,および水中における増粘剤(レオロジーコントロール剤)の会合状態をパルスNMRと高分解能NMRより解析した例を述べる。樹脂(高分子)の分子運動性を評価することより,顔料への吸着が強い成分と弱い成分,樹脂同士の会合の強い成分と弱い成分を評価できる。 樹脂中のモノマー連鎖の違いが顔料表面への吸着挙動に与える影響などを解析した。

新しい機能をもった先端材料講座(第8講)
  • 飯島 一智, 石川 昇平, 大塚 英典
    2018 年91 巻8 号 p. 274-277
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル フリー

    繊維材料は衣料用途のみならず,航空宇宙や機械,電気通信,医療などさまざまな産業分野において利用されてきた。近年,繊維材料を再生医療における細胞足場材料として利用する研究が注目を集めている。本講座では,生体高分子や生分解性合成高分子の不織布やナノファイバーからなるハイドロゲルなど,繊維材料の再生医療への応用の現状について解説するとともに,著者らが取り組んできたシリカナノ不織布による細胞の三次元培養について紹介する。

塗料基礎講座(第8講)
  • 坪田 実
    2018 年91 巻8 号 p. 278-287
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル フリー

    塗料の必要条件とは,流動し,被膜を形成することである。ここで大きな役割を果たすのが塗料中の樹脂成分である。溶剤型塗料用樹脂の変遷を大型建造物の塗装系から概観した。次に,工業分野では橋かけ型塗料が一般的になっているので,2液型エポキシ樹脂塗膜について架橋間分子量の求め方を解説した。最後に,塗料用樹脂として使用量が最も多いアクリル樹脂について,モノマー組成の基本的な見方を説明した。

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