鋼管外面ポリエチレン (PE) 防食被覆のプライマーに適用できる紫外線硬化型樹脂 (UVプライマー) を開発するため, エポキシジアクリレートを主成分とするUVプライマーの材料組成と被膜物性の関係を検討し, 希釈用アクリレートと紫外線非反応性添加剤を最適化した。
希釈用アクリレートとして, その分子内に水酸基を持つ材料をUVプライマーに適用すると, 無水マレイン酸分岐を持つ接着樹脂との接着性は向上するが, そのUVプライマーを用いたPE被覆の耐陰極電解剥離性は低下する。これは, 希釈用アクリレート中の水酸基が, UVプライマーと接着樹脂との水素結合性を高める一方で, プライマー被膜の吸水性をも高め, その耐アルカリ性を低下させるためである。従って, 接着樹脂との水素結合に必要な水酸基は, エポキシジアクリレートにより付与し, 希釈用アクリレートは水酸基を持たないものを用いるべきである。また, 希釈用アクリレートだけからの重合により得られる樹脂のガラス転移温度 (以下, 希釈用アクリレートの
Tgという) は, UVプライマーの
Tgに影響するので, 高温での密着性を得るためには希釈用アクリレートの
Tgは高い方が望ましい。
上記の耐アルカリ性はまた, UVプライマーの酸価の影響をも受けている。この酸価は, エポキシジアクリレート中に含まれている未反応のアクリル酸により発現する。これに対して, エポキシ化合物の添加がUVプライマーの酸価低減に有効であり, その中でも分子量380のビスフェノールA型エポキシを2~4wt%添加することが, 最適であると判明した。
抄録全体を表示