硫酸チタン (IV), 塩化チタン (IV) およびチタニウムイソプロポキシド (TTIP) にアンモニアを反応させて得られた水酸化物を空気中400℃程度の温度で焼成する方法で可視光応答型酸化チタン光触媒を調製した。いずれの場合も鮮やかな黄色を呈するアナタース型酸化チタンが得られたが, 硫酸チタンおよび塩化チタンを原料に用いた酸化チタンSNH-Hy
calおよびCNH-Hy
calのみ可視光活性を示した。XRD測定より結晶子サイズ
D値を求めると, 可視光活性を示すSNH-Hy
calの
D値は数nm~約20nmの範囲となり, 活性が極大値を示す400℃焼成SNH-Hy
calは13.0nmであった。可視光活性を示さないTTIPから調製した試料の
D値は25.0nmであり, SNH-Hy
calにおいて可視光活性が確認された
D値の範囲を越えていたが, 350℃で焼成することで14.5nmとなり, このものは400℃焼成SNH-Hy
calと同等の可視光活性を示した。TEM観察の結果より, 可視光活性を示す結晶粒子は結晶粒界をもつ多結晶状態であることが確認され, 結晶粒界は結晶部分と比較して酸素欠陥やドーピングが生じやすいことから可視光活性発現には結晶粒界を有する多結晶構造が重要であると考察した。
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