硬化剤の種類が異なるエポキシ粉体塗料を用いて, 硬化時の動的粘弾性の変化をTBA (Torsional Braid Analysis) 測定によって追跡し, 塗料の硬化反応を等速昇温法と等温法で解析した。等速昇温法では相対剛性率G
rの変化率から, みかけの硬化の活性化エネルギーを各変化率ごとに求めた。この方法によって得られた活性化エネルギーは20~30 kcal/mol の範囲にあり, 文献のそれとほぼ一致する。さらに, 対数減衰率の減少し始める点の温度も昇温速度に依存し, 硬化の活性化エネルギーが得られ, その値はG
rの変化から求めた低変化率での値にほぼ一致する。等温法で測定したG
rの経時変化を一次反応速度式で解析した。反応速度定数の温度依存性から, 反応の速い塗料では130℃付近を境にして低温側から高温側に移行すると, 硬化の活性化エネルギーの値は大きく低下する。これは硬化反応の進行によって系の粘性項が増加し, ゲル化後にガラス化を生じたためであると考えられる。
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