多孔性, 非多孔性コロイド状物質を特性づけるために重要なガス吸着等温線の測定法としては, 容量法が最も広く用いられている。しかし, この方法の原理は簡単であるが, 測定法および操作にはきわめて多くの実験誤差が含まれており, 真空系, 真空技術, 圧力測定法, 死容積の見積り, および試料などに関係する17項の誤差の原因が存在する。それらの内で, 試料に関係する誤差が最も大きい。本研究では, 死容積の精密測定, 試料の精密秤量および真空排気などを容易にできる吸着用試料管を開発した。以上の考察と操作による比表面積測定値の誤差は土0.3%である。しかし, その絶対値の信頼度は, 適切な較正法がないために低い。本研究では, 高純度シリカゲルを参照物質として14の研究室に送付し測定値を比較した。得られた吸着等温線, BET比表面積値, “C” 値および全細孔容積の値が幅広く分布していることから, 信頼性のある参照または標準物質の設定が望まれる。
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