本研究ではマイクロアーク酸化法により金属Ti板を酸化し,多孔質な結晶性TiO
2膜を作製した。この一体化した金属板を陰極にし,透明導電性ガラス(ITO)板を陽極にすることで,新しい色素増感太陽電池を作製した。このセルは色素増感太陽電池の特性をもっていることが確認された。マイクロアーク酸化法を用いて三種類の電解溶液(NH
4H
2PO
4,(NH
4)
2HPO
4,(NH
4)
3PO
4)中で調製したTiO
2膜はXRDによる物質相同定を行い,SEMによる表面状態を観察し,さらにその膜厚を測定した。その結果,得られたすべての酸化膜はアナターゼTiO
2の単一相であり,その表面形態は多孔質であり,平均膜厚は約2~5 μmであった。また,各電解溶液が得られたTiO
2膜に与える影響を検討した。その結果,(NH
4)
2HPO
4溶液で調製されたTiO
2膜は孔径が最も小さく0.5 μmであり,その表面形状も平滑であった。本研究で作製した色素増感太陽電池の最大起電力は394.7 mVであった。
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