色材協会誌
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82 巻, 3 号
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研究論文
  • 鈴木 福二, 橋本 正博, 大久保 真吾, 無類井 行男, 橋本 和明, 戸田 善朝
    2009 年 82 巻 3 号 p. 99-104
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2009/06/20
    ジャーナル フリー
    新規な光輝材として黒色真珠光沢粉体を調製し,その光学特性を明らかにした。
    原料には,粒子径の異なる天然白雲母に二酸化チタンを被覆した真珠光沢粉体と,その白雲母を被覆している二酸化チタンを還元するために金属チタン粉末を用いた。また,二酸化チタンの還元度合を変えるために,白雲母を二酸化チタンで被覆した真珠光沢粉体に対する金属チタン粉末の混合割合を3~40 mass%の範囲で実験した。これらの混合粉体を小型混合粉砕機でさらに混合し,真空中850℃で12時間焼成した。焼成後,小型混合粉砕機で粉砕し,粉砕した粉末を水簸分級法で残存した金属チタン粉末を分離し,還元粉末をろ過乾燥し,還元真珠光沢粉体を得た。最も黒くなる真珠光沢粉体は,平均粒子径7 μmの銀色真珠光沢粉体に金属チタン15 mass%混合して還元した還元真珠光沢粉体と,これらをさらに大気中で低温酸化した酸化還元真珠光沢粉体とを混合することによって隠蔽力の高い黒色真珠光沢粉体が得られることを明らかにした。
  • Chau Van DINH, 久保内 昌敏, 酒井 哲也, 津田 健, 小林 良治
    2009 年 82 巻 3 号 p. 105-111
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2009/06/20
    ジャーナル フリー
    本報は塩酸水溶液における防食ライニング用無水マレイン酸およびその他の変性ポリエチレンの劣化挙動を検討したものである。二種類の変性ポリエチレンについて0,10,20%の塩酸濃度,40,60,80℃で劣化挙動を調査した。比較として未変性のポリエチレンについても同様の条件で試験した。重量変化,塩素の浸透,化学構造変化について調べた。
    浸漬試験の結果,未変性ポリエチレンでは水と塩素の浸透が単純にFickの法則に従ったのに対し,変性ポリエチレンは二種類ともに水と塩素の浸透が低温領域でのみFickの法則に従い,80℃の塩酸水溶液浸漬では二つの飽和ステージが見られた。サンプルに劣化は見られたが,ポリエチレン樹脂そのものは化学的な劣化は確認されなかった。高分子の変性化学成分に起因するIRスペクトルに,高温になるほど大きな劣化が確認された。EDSによる塩素マッピングから塩素がポリマー中へ浸透する挙動を評価した。
資料
  • Erwin HONCOOP, Hans RIDDERIKHOFF, Paul CAMERON
    2009 年 82 巻 3 号 p. 112-117
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2009/06/20
    ジャーナル フリー
    ポリウレタンディスパージョンと放射線硬化技術は,UV硬化型ポリウレタンディスパージョン(UV-PUD)において同時に利用されている。産業界はこの2つの技術の組み合わせを歓迎している。ポリウレタンディスパージョン技術は応用分野を選ばない自由度を高度な機械的耐久性と化学的耐久性を両立しつつ与えることができる。さらにUV硬化前のタックフリーコーティングも可能になり,これらUV-PUDの高分子量化により硬化収縮が低減され密着性が改善することができる。他のUV配合に比べて粘度が低くスプレー塗装にも理想的である。また共溶剤,反応性希釈剤,アクリルモノマーも不要で健康や環境にやさしいコーティング技術である。
    このUV-PUDにおける課題はプレ乾燥における水の除去と形成された塗膜の加水分解安定性であり,それが実用上のネックであった。われわれはこの課題をダイマー脂肪酸ベースの加水分解安定性に優れるポリエステルポリオールを使用することにより解決を試みた。
    本稿では最初にこのポリエステルポリオールが従来のポリウレタンディスパージョンの加水分解安定性を改善することを示した。それに引き続き従来のポリウレタンディスパージョンの諸特性はUV硬化型ポリウレタンディスパージョンおよびそのコーティングに移行されている結果を示した。さらに密着性に関連してウレタンアクリレートへ本技術がどのように影響するか示した。
解説
―マイクロ波を用いた化学―
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