屋外塗装で使用される塗料の水性化はVOC排出削減対策としては重要であるが,基材への浸透性が求められる屋根などの無機素材,防食性の必要な鉄・金属基材に塗装される塗料の水性化は進んでいない。
水性塗料の耐水性向上・高耐候化技術の一つがカルボニル/ヒドラジド間の反応によるエマルションの粒子間架橋技術で,これにより造膜時の脆弱さを架橋で補い耐水性,塗膜物性を改良することができる。しかし,この架橋は一方ではエマルション粒子同士の十分な融合を阻害することから,水遮断性が必要な防食塗膜への適用は難しい。このため一般的には,防食塗膜への適用には2液型のウレタン架橋エマルションまたは造膜性を高めた新規エマルションを用いた上塗り塗料が好適である。本稿ではさらに,水性化が困難とされた柔軟性塗膜の低汚染化技術と伝統的な無機造膜性を活かした塗布型漆喰についても解説する。
抄録全体を表示