流動性,分散性などの機能性付与のために,粉体材料の表面改質が種々な方法で行われている。一般的に用いられているカップリング剤は表面官能基(おもに水酸基)と反応し,化学結合が形成される。また,多くの手法が改質剤と粉体の化学性状に応じて適用されている。本稿では,おもにアルコール,シランカップリング剤を用いた改質手法と改質試料の特性評価法についてわれわれの研究成果を,その歴史的な面を含めて解説する。
エア霧化塗装,回転霧化静電塗装について,被塗装面の近傍領域における塗料粒子の状態(径,比電荷,速度)と塗料粒子の飛行空間の状態(エア速度,電界強度など)を二次元でモデル化し,塗着効率が全塗料粒子の単なる軌道の問題としてシミュレーションで求められることを示した。さらに,その結果に基づき,実用面において塗着効率を向上させるためには,塗料の微粒化の最適化,比電荷や電界強度の増大,さらに必要に応じてパターンの狭小化が有効なことを説明した。また,塗着効率100%の塗装技術として期待されるインクジェット塗装は,生産性(時間当たりの塗装面積)が飛躍的に向上しない限り,自動車ボデーの塗装工程での採用は難しいことを示した。
精密質量分析法を活用すれば分子の組成式を推定できるため,一定の繰り返し周期をもつことがわかっている高分子材料の場合には分子の構造解析を行うことができる。一方で高分子は分子量に分布をもつ混合物であることから,精密質量分析を行ったとしても結果が複雑で,解析が困難であることが多い。ここでは,精密質量分析の特徴を説明した後,高分子の精密質量分析に関する二つの実例および解析例を紹介する。
NMR装置を計測的に利用し,統計的パターン認識を応用して可視化することにより,前処理なく混合物溶液から変動のみを抽出し,その背景を推定することができる。この方法をNMR-MPと呼び,可視化しながら,変数の探索を行うことによりさまざまな応用ができる。
この手法の実施のための設備,操作,解析方法を解説し,散布図の変化を例示する。