Mg合金は生分解性高分子よりも強度に優れた生体吸収性金属材料として注目され,骨折固定材やステントへの適用が検討されている。骨折固定材などの整形外科インプラントを目指したMg合金において,腐食を抑制し,かつ生体適合性を向上するために水酸アパタイト(HAp)などのリン酸カルシウム被覆が検討されている。一方,水溶液中で容易に腐食するMg合金に水溶液浸漬で任意のリン酸カルシウム,とくに水酸アパタイトを被覆するのは困難である。著者らは水溶液浸漬(化学溶液析出法)でMg合金をHAp被覆する方法を開発した。本稿では,著者らが開発したMg合金のHAp被覆法,リン酸カルシウム被覆Mg合金の培養液中でのMgイオン溶出挙動,初期の細胞適合性,引っ張り変形にともなう被膜の剥離挙動および疲労挙動を紹介する。
Cpol-AZ31,HAp-AZ31およびポリスチレン(PS)表面で24 h培養したヒト骨芽細胞様細胞の(a)-1 細胞密度および(b)培養液中のMgイオン濃度。(a)-2 PS表面,(a)-3 Cpol-AZ31表面および(a)-4 HAp-AZ31表面で培養した細胞の蛍光画像
36)。細胞播種密度:10,000 cells/cm
2。PS:n=1,Cpol-AZ31およびHap-AZ31:n=3。
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