前報において報告したように一般には油変性アルキッド樹脂の稀釈価と供試量との関係はG.V.Schulzの式をよく満足させる。油変性アルキッド樹脂のキシロール溶液をリグロインで稀釈した場合には供試量と共に稀釈価がますという逆現象が認められた。これらはアルキッド樹脂がキシロール溶液中で不完全溶媒和の状態にあることに原因すると思われるので, あらためて供試量の変化による液底体効果を検討した。その結果稀釈価が溶質濃度の対数に比例するアルキッド樹脂-キシロールーメタノールは正常の液底体効果を示し, 上澄溶液はpolymer in solventの状態にあると見られるが, アルキッド樹脂-キシロールーリグロインでは異常液底体効果を示し, アルキッド樹脂のキシロール溶液はsolvent in polymerの状態すなわち高度膨潤体として挙動することを明らかにした。このため稀釈剤リグロインの許容量は溶質濃度と共に増大する結果を示したものと推測される。
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