色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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83 巻, 10 号
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技術論文
  • 八木 修, 鈴木 和参, 尾上 智邦, 大石 不二夫
    2010 年 83 巻 10 号 p. 411-416
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    紙の引張強度向上をはかる目的で三種類のメトキシシラン(テトラメトキシシラン(TMOS),メチルトリメトキシシラン(MTMS),ジメチルジメトキシシラン),2種のオリゴマー(TMOSオリゴマー,MTMSオリゴマー),および反応促進剤としてチタンブトキシドを用いた反応液を原紙に含浸させた。メトキシシランの場合,最高の含浸量を与えたのはTMOS溶液であり7.2 g/m2であった。また,最高の引張強度はMTMS溶液であり4.3 kN/m(原紙の130%増)であった。一方,オリゴマーの場合,含浸量および引張強度ともに最高値を与えたのはMTMSオリゴマー溶液であり,それぞれ50 g/m2と6.8 kN/m(200%増)であった。全体的にオリゴマー溶液と比較してモノマー溶液が低い値になったのは,モノマーの揮発性の高さに起因し,十分な塗工量が得られず低い値になったものと思われる。MTMSオリゴマー溶液が最も高い値を与えた理由は,その分子構造に由来するものと推測した。すなわち,MTMSはその分子内に1個の非加水分解性置換基(メチル基)と,3個の加水分解性置換基(メトキシ基)をもっているため,得られた高分子鎖はメチル基由来の柔軟性とメトキシ基由来の硬さのちょうど良いバランスをもっているものと推測した。重合度の異なるMTMSオリゴマー(n=3.1,4.4,6.3,8.7,12.4,26.1)を用い,重合度と引張強度の関係を調べたが,ほとんど差はなかった。
ノート
  • 沼田 睦章, 鈴木 大輝, 香西 博明
    2010 年 83 巻 10 号 p. 417-420
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,新たな有機蛍光材料として注目されているフェノチアジンに,高い溶解性を有する2-エチルヘキシルブロマイドを付加させ,Suzuki-Miyauraカップリングを用いて共重合を行った。生成ポリマーは,数平均分子量(Mn),9.8×103重量平均分子量(Mw)15.7×103であり,トルエンやクロロホルムなどの有機溶媒に可溶であった。TG測定によるポリマーの熱重量損失開始温度は,378℃と一般的な蛍光性高分子材料に比べ高い熱安定性を示した。また光機能性について検討した結果,蛍光スペクトル測定では493 nmにおいて蛍光ピークを示し,青緑色に発光した。
資料
最新顔料講座(第IV講)
  • 中村 和也
    2010 年 83 巻 10 号 p. 424-429
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    アゾ顔料は,印刷インキを中心に幅広い用途で使用されている顔料で,構造により溶性アゾ・不溶性アゾ・縮合アゾ顔料に分類される。溶性・不溶性アゾ顔料は,おもに黄~赤の色調を示し,高着色力で鮮明性に優れ,その使用量は有機顔料全需要量の半分以上を占める。本稿では溶性・不溶性アゾ顔料の製法・特性・構造別各論について説明する。さらに,溶性・不溶性アゾ顔料の大きな弱点である耐光性を向上させた縮合アゾ顔料についても補足説明する。
最新塗料講座(第III講)
  • 長沼 桂
    2010 年 83 巻 10 号 p. 430-439
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    添加剤は,塗料・塗装時の不具合や欠陥現象を防止し,塗料の性能や機能を向上するために微量添加される塗料原料の一つである。添加剤には多くの種類があるが,流動性を制御するチクソトロピック剤,表面・界面を制御する分散剤や表面調整剤について,その作用機構および効果について解説する。添加剤の選択使用においては作用機構を理解したうえで十分な予備検討が必要であり,塗膜物性に悪影響を与えないことを確認したうえで使用することが重要である。
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