テレフタル酸系と二官能性アルコールのエチレングリコールを主としたアルコール成分から製造された線状飽和ポリエステル樹脂の工業用溶剤に対する溶解性を検討するために, この樹脂を真溶剤に溶解して単独溶剤による溶解性パラメー・・一一・・ター範囲を求め, さらに5種類の樹脂溶液に芳香族炭化水素系希釈剤を添加して, 希釈率と混合溶液の溶解性パラメーター範囲を同時に求めた。次に塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体とポリエステル樹脂との相溶性, およびポリエステル樹脂単独や他の樹脂を併用して塗布した場合の塗膜の性状を調べた。
その結果次のことが判明した。
1) 溶解性パラメーターは8.7~11.1の範囲にある。
2) この樹脂に対する真溶剤は, ミクロヘキサノン, メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤が溶解力が大きく, トルエン, キシレンは希釈剤として良好であり, アルコール類は溶解性カミ小さい。
3) 相溶性はニトロセルロースと相溶し, 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ではVAGH>VMCH・VYHHの順で相溶した。
4) ポリエステル樹脂単独の場合の塗膜の性状は耐摩耗性, 耐衝撃性, 促進耐候試験後の二次物性などがすぐれていた。
5) メラミン樹脂を併用した場合, 耐沸騰水性, 耐洗剤性, 耐溶剤性, 不粘着性が良くなった。
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