Al
3+とMg
2+の混合電解浴を用いて, アルミニウム陽極酸化皮膜を白色電解着色した場合のアルミニウムの材質の影響を調べ, その結果を基に着色機構に関する考察を行った。使用したアルミニウム素材は高純度Al (99.99%), 純Al系 (A1050), Al-Mn系 (A3003), Al-Mg系 (A5052) およびAl-Mg-Si系 (A6063) の5種類である。陽極酸化皮膜としては, 通常の硫酸浴皮膜と, これをリン酸中で再陽極酸化して得た二重皮膜の2種類の皮膜を使用した。
その結果, いずれの材質を用いても硫酸浴皮膜ではほとんど白色に着色しなかったが, A3003材, A5052材, A6063材を用いて二重皮膜を形成させると, 良好な白色となった。高純度Al材やA1050材では, 二重皮膜を形成させてもわずかに白くなる程度で, 皮膜破壊を生じやすかった。この理由は皮膜欠陥の多少によって説明でき, 欠陥の多い皮膜ほど, 皮膜破壊が起こりにくく, 良好な白色皮膜となった。
Al
3+-Mg
2+浴からの白色電解着色は, 従来の電解着色法のように, 金属が孔中に還元・析出することに基づくものではなく, 水の電気分解反応で生じたOH
-にょって, Al
3+やMg
2+が加水分解されて, 孔中に酸化物 (水酸化物) として析出することに基づくものであると推定した。
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